第127話
第127話です。
「私のクラスはここだ」
そう言って案内されたのはオシャレに飾り付けのされた教室の前だ。
教室の前には衣装を身にまとった女子生徒が2人ほど立っており、店の宣伝をしたり、案内をしたりと活躍している。
「メイド喫茶かぁ」
「まぁ、ありきたりなところだな。寝てる間に決まっていたからその間にどんな議論がなされていたのかは知らないが、楽しそうに準備をしていたから完成度とかについては申し分ないと思うぞ」
「へぇ」
「まぁ、ここで話してるのもなんだ。ひとまず入ろう」
アスナさんの先導のもと俺は教室の中に入る。
入って早々にお決まりのあのセリフが飛んできた。
「お帰りなさいませご主人様♡」
「は、はぁ……」
こういった類のものに触れるのがそもそも初めてなので、どうリアクションをしていいのか分からず、なんとも面白みの無いことしか出来ない。
「ではご主人様を席にまで案内しますね〜」
俺の目を見てそう言った後にメイドさんはアスナさんの方を見た。
「お嬢様の方は……って西条さん!?」
「ん、何だ?」
「い、いやいやなんだも何も無いよ!みんな西条さんのこと探してたんだけど!?」
何やらメイドの役も忘れてすっかり素の態度でアスナさんに話しかけているが、果たして大丈夫なのだろうか。
「何で私の事を探してたんだ?」
「シフトだよ、シフト!ちょっと前の時間から西条さんの仕事だよ!?」
「そうだったかな?」
「ほら、これ見て!クラスラインに送ったシフト表!」
そう言いながらメイドさんはアスナさんの目の前にスマホを突き出す。
画面をジィーっと見つめた後にアスナさんはパッチリと目を開いて「本当だな」と呟いた。
「……という事はもしかしてだけどアスナさん」
「うん、忘れてた」
「あちゃー」
いや、おそらく俺を迎えに来てくれていた段階でもはや仕事の時間には間に合わない気もするのだが、忘れていたとなると迎えに来させた俺の責任にしようにもできない。
「どうする?俺は別にシフトが終わるまで待ってれるけど」
そう聞いてみるとアスナさんは「じゃあ待っててくれ」と言い残し、メイドさんと俺だけを残して裏に回ってしまった。
「ご、ごめんね?もしかしたら西条さんとデートしてる最中だったのかもしれないのに……」
「いや、それは別に気にしてないからいいですよ。それにデートでもありませんし」
「彼氏さんじゃないんですか?」
「ただの友人ですよ」
そんな会話をしながら俺はメイド喫茶での時間をスタートさせた。
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