第125話
第125話です。
片手にホットドックを持ちながら俺はマップを見る。
飲食系も然ることながら、ゲーム形式を取ったクラスの出し物も少なくない。分かりやすい所で言えばいわゆるボウリング。その他にも射的や、ダーツなんかもあるらしい。一番驚いたのはカジノがあったことなのだが。
ちなみに余談だが、このカジノに現金は使用されないらしいのでただのお遊びとして楽しむのがいいらしい。
「うーん、遊ぶにしてもアスナさんが楽しくないと意味ないしなぁ」
「私は別に……何でも」
アスナさんもモグリモグリとホットドックを食べながら話しているので、時々喋らなくなる。
黙る度に何かあったのかと振り向いてしまうが、その事を思い出すと思わず笑ってしまうのだ。
「じゃあ、射的でもする?本格的な感じらしいし」
「京弥が行きたいならそこでいいよ」
「じゃあそうしよっか」
射的をやっているクラスは2年生らしくつまるところ俺達と同学年ということになるのだ。もしかしたらその中にはアスナさんの事を知っている人がいるかもしれない。
「ここかな?」
教室の前にでかでかと貼り付けられていた『縁日の定番!射的!!』という看板からしておそらくここで合っているだろう。
中に入ると受付担当らしき生徒が俺達の応対をしてくれた。
一回100円で、弾は十発と実際の射的よりかは比較的リーズナブルでかつ易しい設計になっている。
2人横に並びながら俺達は受け取った銃を構えて机の向こうにある景品を狙いすました。
パピュンッ―――
空気によって押し出された弾がまずは軽い景品を台の後ろに落とした。アスナさんも同様に景品を射止めたようで小さくガッツポーズをしていた。
初発から景品を手に入れれたのはかなり運がいいだろう。
横目にアスナさんのガッツポーズを見ているとこちらの視線に気がついたのか、ちらりとこちらに視線をよこした。
「何?」
「いや、お互い初発から景品ゲットできてラッキーだなって思って」
「ふーん。まぁ、確かに確率としては本来低そうだけどねっ」
そう言ってアスナさんはまた景品を一つ撃ち抜いた。
「ふぅ……意外といけるかもな」
「確かに才能ありそうだね」
そう言いながら俺も予め弾を込めていた銃を景品に向けてトリガーを引いた。こちらも難なく当たる。
突然来た2人がこうも簡単に景品を取ったせいだろうか。若干教室内がザワつき出した。しかし俺達はそれを気にも止めずに何個も景品を獲得した。
お互いの残段数が三つになったところで俺は一つアスナさんに提案をした。
「あの一等の景品、協力して狙わない?」
「別にいいけど……何で?」
そう言いながらアスナさんは受付の隣に飾られている一等の景品を見た。
「黒猫のぬいぐるみなんている?しかも大中小の三つセットって……」
「まぁまぁ、ちょっと欲しくなってさ」
「ふーん、あっそ」
そう言いながら俺達は台の方を向き直って一番上にある少し大きめの的を見た。
一等の的だけは他の景品とは違うようにできており、他の景品はお菓子そのものが的だったのに対し、これは手作りの的となっている。さらに手作りな分かなり重そうにも見受けられた。
証拠として試しに一発当ててみたが、少し傾く程度ですぐに元に戻ってしまったのだ。
「アスナさん、多分これ連続で間髪入れずに当てないといけないやつだ」
「なるほど?」
「だから俺が一発目当てた後すぐにもう一発撃ち込んでくれないかな?」
「分かった」
「それでも倒れそうになかったと判断したら、俺が最後の一発でもう一回撃つよ」
「ん、それでも無理そうだったら私の所から一発取ってね。京弥が撃った直後に私ももう一回撃つから。それで最後に私から取った弾でトドメを刺して」
「了解」
俺達は銃に弾を込めながら狙いをすませる。
手には次の弾が握られており、準備は万端だ。
「じゃあ行くよ」
その声と同時に俺はトリガーを引く。
この一発で倒れないことは先ほど把握済みなので、アスナさんが撃つ間に俺は再度弾を装填した。
「私も当たったっ……けど無理っ!京弥次っ!」
「おっけー」
三発目を撃ち込むと一発目と二発目の勢いが乗っていたお陰なのか、先程よりもさらにぐらつき始めた。
「アスナさんっ!」
「はいよっ!」
四発目。
弾は景品の上部に当たりさらにぐらつきを加速させる。
最後のひと押しだ。
俺はこの短時間ですっかり慣れてしまった手付きで弾を装填すると、景品に向かってトリガーを引いた。
パスンッ―――
的は後ろに大きく傾きそして台の後ろにドスンと落ちた。
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