第122話
第122話です。
さて、本日は俺の高校で文化祭が行われる約半月前だ。
そして今現在俺は単独で大阪に乗り込んでいた。
「……わっかんねぇ」
前回先輩とここに来た際は先輩の先導があったため、比較的迷うことなく大阪の街を周る事が出来たが、今回は少し訳が違う。
完全に単独なので初見のルートはほとんど分からないのだ。マップアプリも使いはするが、何せここは人が多く回線が混線しやすいため、GPS機能が上手く働かない。
アプリ上の自分の向いている方向と、実際に向いてる方向が真逆なんてこともざらにある。そのせいで先程から目的の場所に中々近づかないのだ。
「やばい、あとアスナさんの所の文化祭1時間で始まる」
アスナさんの所の文化祭は10時からスタートとなっており、かなり余裕を持って家を出た。それこそ道に迷っても間に合うだけの時間があるくらいには。
そのはずだったのだが、どうやらそんな余裕をかましている暇もないらしい。このまま行けば確実に遅れる。そしてアスナさんに睨まれる。そこまで読めた。
「しょうがない……」
俺はLINEを開いてアスナさんに電話を掛けた。
そうだ。情けない話だが、ここはアスナさんに迎えに来てもらうしかない。
『もしもし?』
「あ、アスナさん。ちょっといい?」
『何かあったの?』
「その、情けない話でなんですが……迎えには来て貰えないでしょうか」
『……別にいいけど、迷ったの?』
「はい……面目ない」
電話口の向こうで『はぁ……』と言ったため息が聞こえてきたのでものすごく申し訳ない気持ちになる。
『分かった。今から行くから、どこにいる?』
「大阪駅です」
『ん、20分もあれば着くと思う。適当な所で待ってて』
「はい……」
そこで電話は終わった。
ほんとうに申し訳ない。
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