第121話
第121話です。
パソコンには海外のヒーロー映画が再生されていた。
シーンはタコのような機械の足を4本持ったヴィランと主人公が電車の上で戦闘するシーン。このシリーズで屈指の人気を誇る名シーンだ。
そのシーンを集中しながら見ているとピコンとスマホに連絡が入る。一度映像を止めてスマホを見ると相手は利根里さんだった。
『ごめんね、夜遅く』
『いいよ。どうかした?』
『ちょっとご相談がありましてですね』
何やら改まった様子の文面が送られてきた。少し身構えつつ俺は『どうしたの?』と返信する。
『えーとね、もうすぐ文化祭があるでしょ?』
『あるね』
『そのー……それを一緒に回れないかなぁって思ったりしてですね、誘った次第です』
『そういうことか』
『うん。あ、嫌なら別に無理にとは言わないから!断ってくれてもいいけどさ』
『いや、別にいいよ?特に約束も入れてないし』
『ほんと!?やったー!』
文面からでも喜んでくれている様子が手に取るように分かる。こうも喜ばれるとこちらまで嬉しくなるものだ。
『うん、今日はそれだけ言いたかったからありがとうね!』
『うん』
『じゃあまた明日ね』
非常に短いやり取り。
ただそれだけでも少し心が暖かい。
顔には微笑みを湛えながら俺はまた映画を再生した。
やはりヒーローはかっこいい。
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