第114話
第114話です。
「取り敢えず連絡先だけ交換してもいいですか?」
「そりゃもちろん!ほら、メグさんもこっちにおいで!」
「は、はい!」
3人は扉付近で固まりながらお互いの連絡先をQRコードを使用して交換していく。その様子を後ろから眺めながら俺はふと壁に貼ってある一枚のポスターに目が向いた。
大阪のラジオ局のものだろうか。どうやらそのラジオ局の主催する音楽フェスの告知ポスターだったらしい。日付を見てみると既に終わったものらしいが、ポスターの文言的にどうやら毎年やっているようだ。
「京弥」
「ん?」
1人でポスターを眺めていると隣からアスミさんに話しかけられる。見てみればスマホを片手に持ちながら俺にQRコードを見せてきていた。
「京弥も私の連絡先追加してて」
「え?俺別にバンドメンバーじゃないけど」
「知ってる。何回も聞いたから。それとは関係無しに京弥が一番カオリさんとの関係が長いんでしょ。それだったらカオリさんの性格を第三者の目から見て知りたい時に京弥に聞いた方が正確じゃない」
「そうかな」
「そうなの。ほら、早くして。腕疲れた」
そう言うアスミさんの腕は確かにプルプルと震え始めていた。急いでスマホを起動しアプリを開いてQRコードを読み込むとアスミさんの連絡先を追加する。
「追加したよ」
「そ、ならいい」
「うん。でもあんまし使わない気もするけどなぁ」
「……同い年だからたまに話し相手になってもらう用に使う」
「いや、別にいいけども。連絡ぐらいいつでもくれたらすぐ出るし」
「ならそれを信じる」
そうとだけ残すとアスミさんは先輩達の元に行き「ひとまず外で話しましょう」と先輩達の事を誘導し始めた。
アスミさんは同い年とは思えないほどに堂々としていて少し羨ましいと感じた。
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