第108話
第108話です。
最近の曲が多く流れる店内で私達は各々好きなアーティストのコーナーに入り浸っていた。
店内は私達の住む田舎にあるCDショップとは訳が違うくらい広い。好きなアーティストのコーナーなんて横幅1mもあれば田舎ではかなりいい方なのに、こちらでは注目のアーティストじゃなくてもそれを軽々と超えてくるのだ。
さすが都会。
「あ、最近気になってたやつ」
店内が広いゆえなのか、目的にしていた以外のアーティストのアルバムにも目が移ってしまいどうにもいけない。先程からそれで予想外の出費を重ねているのだから。
「先輩……って、めちゃくちゃ買うんですね」
「う、うん。気付いたら沢山買うことになってた」
両手にかなりの枚数のアルバムを持ちながらそう言うと、後輩くんは少しため息をついた。
「お金、足りるんですか?」
「そこは何とか。バイトで貯めてきた好きに使っていい分が沢山あったから」
「ならいいんですけど」
うむ、さすがにもう少し選別しよう。
内心でそう決めると私は絶対に欲しいものと、そこまでと欲しくないものとを分けた。
「これくらいかな?」
「……結構買うんだね」
「わぁっ!?」
後ろから不意にメグさんに声をかけられて私は思わず叫んでしまう。すぐに辺りをキョロキョロと見ながら誰にも見られてないことを確認すると、「はぁっ……」と大きくため息をついた。
「驚いた……」
「ご、ごめん……気配出して近付いたつもりだったんだけど」
欠片の気配も感じませんでしたが!?忍びかなにかの子孫かな!?
そんな事を内心で思いながら私は「大丈夫」と手で制す。
あぁ、心臓がバクバクしすぎて痛い。
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