第107話
第107話です。
アツアツのたこ焼きを口に入れながら私達は少しの間沈黙の時間を過ごす。もきゅもきゅと咀嚼すればソースの味と鰹節の香りが口に広がり、タコの食感もいいアクセントになって飽きさせない。
少しはふはふとしながらまた次のたこ焼きに爪楊枝をぷすりと刺すと、口に運んだ。
「先輩よく食べますね」
「はふっ……だって美味しいんだもん」
「まぁ、そうなんですけど。それにしてもというか」
後輩くんは少しだけ冷ややかな目をしながらこちらを見てそう言った。
確かにこのたこ焼きの前にも二つほど同じお店で購入はしていたけど。もちろん美味しくいただきもしたよ?
私の座る隣にはからになったトレーが積み上げられており、いかにこの短時間でたこ焼きを平らげたのかがひと目で分かるようになっていた。
「メグさんは少食な方?」
「た、多分……。あんまり人と比べたことがないから基準が分からないけど」
「なるほど。まぁ、私と比べたから確実に少食っぽいけどね」
「ですね。だけど私いっぱい食べれるのって少し羨ましい」
「……どうして?食べるのは好きだけど、食べ過ぎたら太っちゃって大変だよ?」
「それは、そうなんだけど。そうじゃなくて……ほら、安いお店とかに行った時に沢山食べれるから。家族とバイキングとかに行っても私だけ全然食べれないことなんてしょっちゅうだし、だからいいなぁって」
「そういうものかねぇ」
「多分、そういうもの」
そんな他愛もない普通の話をしながら私達はたこ焼きを完食し終えて場所を変える。
特にあてもなく歩くが、やはりここは目的地を決めた方がいいだろう。
「どこか行きたい場所ってある?あ、後輩くんも提案していいからね」
「俺は別に」
「じゃあメグさんはある?」
「私は……CDを見に行きたいかな」
「おー、いいじゃん!そういえば私の好きなアーティストさんの最新のアルバムまだ買えてなかったんだぁ。よし!そうと決まれば早速行こ!」
私はスマホで目的地だけ調べると、2人の手を取る。
そしてそこから駆け出した。
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