第106話
第106話です。
「……それで、この後はどうしますか?目的は達成しましたけど、ここではいさよならも何だか寂しい気がしません?」
後輩くんのその言葉に私は大きく頷く。
確かに私達は家が近いわけではないし、何よりもまた直接会おうと思ったら時間もかかるお金も馬鹿にならない。だから、今日のうちにある程度の人柄というか性格みたいなものを共通認識としてできる限り理解しておきたいのだ。
それにそうしておけば、いざと言う時にも本音で会話ができるし、何よりコミュニケーションが円滑に進むことはすごく重要だ。
「よーし、じゃあメグさん!」
「は、はいっ!」
「たこ焼き!食べに行きましょ!」
「は、はいっ!……た、たこ焼き?」
◇◆◇◆
半円球の生地から半回転させて、そして全てを一気にひっくりかえす。串を使って高速で行われるそれはまさに達人技で、素人が見様見真似でできるものではない。
ほのかにソースの香りと鰹節の芳ばしい香りが漂ってきて食欲を誘った。
「さすが本場大阪、レベルが違う」
「だねぇ」
適度に相槌をつきながら私はメグさんの方に視線を向ける。メグさんは目をキラキラと輝かせながら無言で楽しそうに職人さんの手元を覗いている。
「楽しいですか?」
「はい。私こんなにすごいの初めて見ました」
「ですよね。私もです」
お互いに顔を見合わせて笑いながら、一度私は口をつむぐ。そしてふと急に黙った私を不審に思ったのかメグさんはこちらを向いた。
ここで話そう。
「メグさん」
「はい?」
「私達って同い年ですし、何よりこれから一緒に頑張る仲間です。だから、タメ口にしませんか?」
「た、タメ口……。あまりそういうのに私……慣れてなくて敬語が出るかもしれないんですけど」
「それは大丈夫!慣れていけばいいからね」
「は、はい。じ、じゃあ……よろしく」
「はい、よろしく!」
改めて握手を交わすと私達は頬を綻ばせた。
「先輩達ー、たこ焼き出来たみたいですよー」
「後輩くんに呼ばれたし、行こっか」
「だね」
小走りで受け取り口に待つ後輩くんの元に向かう。
両手にはたこ焼きの入ったトレーが右手に二つ、左手に一つ持たれている。そこから私は一つ受け取り、メグさんも受け取ると私達は礼を伝えた。
「じゃあ、あそこにでも座って食べよっか」
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