第103話
第103話です。
新キャラクター名.松木恵
5月のゴールデンウイーク。
この日に私はDMで連絡を取りあっていた人と会う事になった。
家がお互いに離れている事もあったので待ち合わせ場所は大阪にすることにした。向こうの人が広島から来るらしいので少し待つことになるだろうけど、暇つぶしという点においては問題ない。
「まさか、先輩がバンドにシフトチェンジするとは思ってませんでしたよ」
そう後輩くんがいるのだ。
始業式の日以降に諸々の事について話してみたら特に反対することも無く納得してくれて今に至る。
「にしても、俺ってここにいりますか?」
「いるよ!もしかしたら、女子高生を装った危ない人かもしれないじゃん!」
「いや、その場合は確かに危ないですけど、だけどもし相手の人がちゃんと女子高生だった場合俺の存在って目障りじゃないですか?」
「私はそんな事ないよ?」
「いや、向こうからしたらって事です」
「そうかなぁ」
「そうですよ。ただでさえ初対面で緊張してるだろうに、実際に会いに行ったらもう1人しかも男が増えてたってなんの冗談ですか。ストレスではげますって」
「あはは〜」
後輩くんのジョークに適度に愛想笑いを返しつつ私はくるりと周りを見渡してみる。
一応分かりやすい場所に立ってはいるつもりだが、何せここは広い。できることなら私の方から見つけてあげるのが効率的だろう。
「……あの人じゃないですか?」
「ん、どこどこ」
後輩くんの指をさす方向に視線を向けるとそこには黒基調の服に身を包んだクール系の女の人が挙動不審気味に周りを見ているところだった。
確かに事前に貰った服の感じと合致するし、多分あの人で間違いない。
「じゃあ呼んでくるね」
「はい、行ってらっしゃい」
後輩くんに見送られると私は小走り気味でその人の元に向かった。
「すみません、メグさんですか?」
声をかけてみるとメグさんと思しき女性は驚いたように振り向きながらこくりと頷いた。
「よかったぁ、間違えてたらどうしようかと。あ、私カオリです」
「は、はい……存じ上げてます」
「あ、そうだ。私もう1人サポートしてくれてる男の子連れてきてるんですけど、いいですか?」
「お、男の子っ!?」
「あ、もしかしてあんまり得意じゃなかったとか……?」
そう聞くとメグさんはブンブンと首を横に振りながら少し恥ずかしそうに話し始める。
「……じ、実はその、私小学校から女子校に通ってて……その……男性に対して免疫がないんです」
「へぇ、という事はお嬢様って事ですか!?」
「い、いや、普通の家庭です……」
顔を庇うように手を掲げながらそう言う。
なるほど、女子校であれば免疫がなくても仕方がない。
「じゃあ後輩くんはどうしよっかな……」
ぽつりと呟きながら後ろの方に視線をやると後輩くんの視線とぶつかった。
「ひとまず大丈夫そうかだけ確認して貰ってもいいですか?一応無害な男の子なので大丈夫だとは思うんですけど」
「は、はい……頑張ります」
はたしてこれは頑張る事なのかとは思うが、それについては特に言及しない。
手招きをして後輩君の事を呼ぶと、すぐに駆けつけてくれた。
「こちらがメグさん。あのドラムがすごく上手な子ね」
「知ってますよ。散々先輩に見せられたんですから。あ、どうも先輩の後輩をやってます。碧染京介です」
「よ、よよっ……よろしくお願い…します」
うーん、すごく緊張していらっしゃる。
見た目はもっとクールな感じで対応しそうなイメージなのにこれがギャップというものか。ギャップ萌えで思わず惚れちゃいそう。
そんな事を考えながら私はひとまず場所を移すことにした。
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