第100話
第100話です。
日が過ぎるのは非常に早く、気付かぬうちにもう桜の咲く季節となっていた。
ちらりちらりと空を舞い踊る花弁に頬を撫でられながら俺は校門を通った。
数ヶ月前まで学校にいた最高学年が卒業し、今は一つ上が最高学年となっている。そして俺達の下には後輩も入ってきた。
「やぁ、碧染くん!今年もよろしくね!」
後ろから不意に声をかけられる。
茶色の髪の毛が特徴的な利根里さんその人だ。
「ん、よろしく」
事前にクラス分けは知らされていたので利根里さんとまた同じクラスだということは把握していた。そのクラス分けを見た感じ昨年同じクラスだった人も数名いるにはいるが、その大半は理系に進んだり、他クラスになったりと各々である。
「ついに私達も先輩だよー!」
「やけに嬉しそうに言うね」
「そりゃそうでしょ!だって私中学の時とか部活してなかったから、後輩の子と関わることなんてほとんど無かったんだもん。だから高校では積極的に関わろうと思ってるの!」
部活の上下関係にある訳でもないのに、俺と先輩は間違いなく今利根里さんが目標としている関係にあった。もしかしたら部活や生徒会関連以外で他学年と関わりを持つのは本来珍しいのかもしれない。
そんな事を考えながら俺はいつもたむろする屋上にちらりと目をやった。
そこにはフェンスに背中を預けながらいつもの様にくつろぐあの人の姿が見えて、何だか安心するのだった。
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