プロローグ
この作品は「普通の男子高校生である俺の日常は、どうやら美少女が絶対につきものらしいです。〜どうやら現実は思ったよりも俺に優しいようでした〜」のサイドストーリーです。一切読んでいなくても楽しめますのでぜひ短い連載ですがよろしくお願いします。
小さめの1LDKの一室。
テレビの中にはよく見知った顔の人がいる。あの人のあの真剣な表情を最後に見たのはいつだろうか。
もう何年も前。
時というのは油断すれば光よりも早くすぎていくもので、だから「光陰矢の如し」なんて諺があったりもするわけだ。
ふとテレビ画面を見ていると右肩に暖かい体温と重み、サラッとした髪の毛が当たる。
気持ちよさそうな寝顔。ほんのりと上気した頬は柔らかそうで、少しつついてみたくもなる。いや、欲求として表現するよりも、過去形で表現した方が正しいか。
つまりは、もう既にフニっとつつき終わった後だ。
「んにゃ……」
少し眉をひそめた後、すぐに「すー」と柔らかい寝息を立て始めた。すぐに起きるものかと思ったが、案外人というのはこの程度の刺激では起きないらしい。
ちょっとした発見を喜びつつ、サラリとかかっている髪の毛を除けると、頭を撫でた。
「本当に久しぶりだな」
もう一度テレビを見ながらそう呟く。
夜中の音楽番組。そこにゲストとして招待された彼女は、今では近くて遠い存在となってしまった。
触れられるのに、触れられないこの距離。そのなんとも言えないもどかしさに胸はキュッと苦しくなりながら、心臓はトクトクと鼓動を続ける。
思い出すのは5年前の、最初の出会いの記憶だ。
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