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合流

キャッキャしてます。こういうのがたくさん書きたい。女子会いい……

「椿ッ!」


 進もうとしていた先と逆方向から名前を呼ばれる。


 向きを変えて視界に入った親友の姿を見た途端、安堵の息が漏れた。思ったより気を張っていたらしい。


「無事で良かったよ。ポニテが半分の長さになってるけど。」


「八重、君こそ無事で良かった。これは切られた。こっちの動きやすいし、平気だよ。」


 髪の心配をされ、自分の髪を触ってみた。ボサボサだな。顔も酷いんだろうな。


ボロボロの私に比べ、薙刀を構えた彼女は格好良かった。


 よくみると普段きっちり束ねている腰までの長い黒髪はほつれ、綺麗な肌にも傷がつき、血を浴びていた。でも大きな怪我はないし、姿勢も変わらない。彼女の切れ長の目も凛とした光が宿っている。精神的にも大丈夫だろう。本当に強い。合流できて良かった。


 もう一度、安堵の息を吐く。


 完全に気が緩んだところで気がついた。


「八重、何故ここに?君は薙刀部部長でしょう。」


 部長会議に出席してるはず。なら南棟一階であるここではなくて、西棟3階あたりにいないとおかしい。


「私は、資料を薙刀部まで取りに行ってたの。そこで見たんだけど玄関は大量にアイツらがいたよ。あと吹き抜けの廊下で外を見たんだけど、森だった。」


「森?そして玄関に多くいる?」



 薙刀部のある部活棟一階まで行く過程で左に曲がれば玄関。そこを見てきた八重が言うんだ、玄関が1番多いのかもしれない。玄関から入ってきている?最初の音も玄関方面からだったな。そして周囲が森になっているって、そんなこと現実にあるか?


「椿の方は……弓道部は無いはずだから、柊弥待ち?」


「そう。美桜と美術室で待っていたんだ。そこから渡り廊下を通ってきたから玄関の方は見ていなかった。」


 話しながらとりあえず歩こうと彼女に促す。


「何が起こってるんだ。まるで漫画や夢の世界だ。」


「分かんないよ。急に暗くなるし、寒くなるし。」


 確かに。今まで動き通しだったうえ、気を張っていたから気づかなかった。


 ブルリと体を震わせ、自分の体を見下ろす。所々切れているのは仕方ないとして、汚れてはいるが激しい損傷はない。


 制服がちゃんとしているのに寒いと言うことはやはり気温が下がっているのだろう。そりゃそうか。今は12月。窓が割れている音がするし、空調が正常に働くかも怪しい状況だ。


 ブレザー着てくれば良かったな。カーディガンじゃ足りない。美術室に置いてきているブレザーの存在を思う。


「寒い。上着持ってくれば良かった。」


 八重も同じことを思っていたようだ。八重は道場着だものな、もっと寒そうだ。先程まで空調が効いていたため下にもあまり着てないだろう。


 物音もあまり聞こえず、気は緩んでいく一方だ。多分、緩めたかったんだろうな。訳がわからなすぎて現実から目を背けたい。


 そんな思考のせいか寒いしか考えられ無くなってきた。


「ぎゅーしてもらいたい……」


 寒いし。不気味だし。してもらえたら心身共にあったかくなれるんじゃ無いかなってそう思っていたら急にじっとりした視線を横から感じた。


「何だ?」


「いいね。恋人もちは。お幸せに」


 じっとり目から一転、にやけながら揶揄われ、


「口に出てたか?!」


 顔に血が集まるのがわかる。今私の顔は真っ赤だろう。だって……だってな?……八重と会ったら欲が出ちゃったというか、なんというかな……。悶絶していた私を八重はスルーした。なんでもなかったかのように質問してくる。


「椿は将弓(まさゆみ)を見なかった?」


「見ていないな。どうして?」


 先程八重が言ってた通り、弓道部もない。だから弓道部員である将弓がいるはずないんだが。


「部長会議が終わったら一緒に帰る予定だったの。言いたいことがあるって誘われて。だからまだ校内にいたはず。あの人が約束破るわけないもん。」


 なるほどなぁ。確かに、あの人は誠実な人だ。それはそうとして、言いたいことがある。


 思わず口角が上がる。


「八重さん。やるじゃないですか。」


「いや、その、まだわからないもの!」


 今度は八重が真っ赤になっている。いいんだよ、認めても。好きな人にそんなこと言われたら、期待してしまうのはよくわかる。お似合いだしな。おっとりしてるがしっかり者の将弓と、姉御肌だけど抜けてる八重。


 いいじゃないか。八重が170と将弓が172だったかな?お似合いだ。


 並んでいるのを想像しただけでもニヤケが止まらない。


「そのにやけ顔やめてよ!リア充の椿さん!」


 じゃれあいつつ駆け足にかえ、一階の階段下まで一気に進んでいく。


 その間に1匹現れたが、謎の女子テンションで乗り切った。この状況にも慣れつつあるのだろうか。それとも色々な意味で疲れていたのか。ここら辺はあまり汚れていないし、2人なら余裕だろうという油断?が出ているのか。


この状態は危ないかもしれない


なんて考えてみるが、1度緩んだものはなかなか元には戻らない。元に戻したく無いという気持ちもある。だってずっとピリピリしていたら疲れてしまうし……。大丈夫だろうと不安は頭の隅へ追いやった。



緩みすぎじゃねって感じですが、彼女たちも女子高校生。気を張ってたら反動が来るはず!と言い訳をしておきます。

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