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守るために。

男の子……ワカラナイ……

 椿、無事でいてくれよ。そう願いつつ、木刀を化けもんに叩き込む。椿は強いが、自己犠牲の精神が強すぎるし、ドジをよく踏むから…心配だ。






 ことの起こりである大地震の時。俺は剣道部部長として部長会議に出ていた。


「おい!なんだ今の揺れは!」

「とりあえず放送を待たないと!」

「なに?なに?めっちゃ揺れたよね?!」


 なんて騒いでいるところに、悲鳴が聞こえ始めた。そしてもう揺れていないはずなのに、断続的に響く窓の割れる音や、何かが壊れる音がする。


 これだけ不審な点があるんだ。ただの大地震ではないことはわかる。

 どう転がるにしても椿が心配だ。横に立てかけていた木刀を持ち、


 ガタ


 立ち上がって会議室を出ようとした。すると横に吹部部長が並んで言う。


「椿さんの元に行くんだろ?1階の美術室だっけ。そこ僕の彼女も一緒にいるはずだから、僕も君と行くよ」


 無言で頷き、今度こそ出ようとすると、


「ああっどこに行くんだ!勝手に行動するな、お前が行ったらいざという時の盾がいなくなるだろ!隣の眼鏡!お前も強いんだろ?ここにいろ!」


 うるさいな。サッカー部、いいやつ多いのになんでコイツが部長なんだ。


 舌打ちを抑え、一応質問に答えてから部屋から出た。


「彼女のところに。」


 後ろであいつは喚いていたが、他の奴らは「しっかり守れよー」なんて声をかけてくれていた。次の会議の心配はしなくても良さそうだ。


 さあ、椿のとこへ急いで行かねば。と、左右を見てふと気づき、愕然とした。ここから美術室までの道のりがわからん。会議室なんてこの一年半来たことないし。


 …今いるのが西棟ってのはわかる。美術室が北棟ってこともわかってる。確か…西棟と北棟って繋がってなかったよな。南棟を介さないといけなかったはず…そしてそれぞれの棟には階段が1つずつしかないから…もういいや。


「めがね吹部部長、ナビ頼む。」


 丸投げすることにした。


「りょーかい。あと会議終わったし、(かおる)って呼んでくれない?」


 そうか。確かにな。


「とりあえず西棟の階段まではわかるね?」


 流石にわかる。


「走るぞ」

「言われずとも」


 2人で駆けて行くと階段で化け物に生徒が襲われていた。殴って生徒をのがしてから観察すると、ますます訳がわからない化け物だった。


 なんだこいつは。頭が豚だ。被り物……ではないな。リアルすぎるうえ、手のどす黒い肌の色と顔の色が同じだ。


椿が最近ハマりだした!って報告してくれた漫画を思い出す。こんなやついたな。


 まあ、正体は後でいい。さっきから上がってる悲鳴の原因がコイツだとしたら、まだいるってことになる。


まずいな。コイツは棍棒をもっているが、別の武器を持っている個体もいるかも知れん。


 しかもコイツは今、生徒を殺そうとしていた。と言うことは覚悟を決めねぇと下手したら死ぬ。喧嘩とは違う。汗が流れた。これから人ではないといえ、殺そうとしている。


 息を吸う。仕方ない。正当防衛だ。殺やなきゃ殺られる。それに、


 守るって決めたんだ。


 心配なのは


「薫。戦えるか?」


 薫は強い。


一緒に戦ってくれるならそれが1番いい。でも強要はしたくないし、覚悟が決まらないのが普通だ。決まらないなら俺が守るだけだ。ただ、死体とかもダメだったら精神的にかなりキツいところに放り込もうとしている。不安だったが


「戦えるよ。僕も守りたいものがある。」


 流石だよ。 


 目を合わせて頷くと、とりあえず眼前の敵を殴り飛ばした。




 そして冒頭に戻る。2階の廊下を駆け抜けつつ


「―ッ!」


 殴って蹴ってトドメをさす。西棟3階には全くいなかったのに南棟の2階にはかなりいる。下に行くたび、玄関に近くなるたび増えるとしたら……そう考えて、血の気ひいた。もう何度目かわからない願いをする。椿……怪我しないでくれよ。


「柊弥!あっちから声が聞こえる!」


「チッ」


 思わず舌打ちしてしまったが、向きを変えてそちらに向かう。


全員を救うのは無理だ。でも手の届く範囲の人は救いたい。


 幸い、今日は部長会議だったから生徒数が少ない。残っているのは自己学習か居残りかだ。それも先生にあまりするなと言われていたからな。


 生徒数も少ない。豚の動きは遅い。先程、理事長室で真剣を調達した、薫や俺が豚の数は減らしている。被害は少ないはずだ。


 非常階段の方へ向かっていくと、通常の廊下より広くなっているところがある。


 そこにソイツはいた。窓の外を眺めている?


 縦にも横にもデカイ。全長3メートルはあるであろう犬頭の巨体。豚は俺と同じか小さいぐらいなのに、犬頭はえげつないほどデカかった。天井にはギリギリつかないぐらいだろうか。


 豚だけではないなら、豚とは何か見た目以外に違いがあるのか?そう犬頭の観察を始めた瞬間、犬頭から生徒が投げつけられた。


「なっ」


 慌てて受け止め、息を確認しようとする。


 思わず目を見開いた。


 剣道部の後輩だった。血は出ておらず、死んではいない。気を失っているだけだ。しかし左腕と左足が変な方向に曲がっている。


 それに自分の骨で攻撃してしまったのか、肘あたりの肌の色が変色している。


 この折れ方は不自然だ。腕と足が両方とも逆関節を向くなんて。考えられるのはひとつ。 


 コイツ弄んだのか……俺の後輩を。


 こちらをチラとみた犬頭は襲いかかってくるわけでもなく。2人目の被害者を出そうとしていた。



 殺す。



「薫!(けい)を頼んだ!」


 そう叫んで背に薫に後輩を預ける。


 まずは今捕まってるやつを救助それから


「ぶち殺す」


 そいつを睨みつけ、真剣を構えた。


映像で思い浮かぶのに、それを文章にする力がない…

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