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旭日の惑星  作者: 小林ミメト
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第玖話:裏切り者の魔法使い

コルトネを倒したオードリーは、ガツマーに近づきおびえる演技をやらなくてもいいことを伝えた。

すると、あれほど顔を青くして膝を抱えておびえていたガツマーが急に立ち上がり、大げさな拍手をしながら声高らかに笑いだした。


分厚い白の手袋をしているため、パンパンと鈍い音がした。


「いやはや、恐れ入った・・・さすがはローゼン王国のスパイ、見抜いたのでゲスな。」


「なぜ、お前が依頼人の主を殺してしまうほどの危険人物を護衛に雇うのかと思っていたが、お前さんもこいつをあれこれ理由をつけて殺したかった口だろ?」


オードリーがコルトネをこいつとののしりながら蹴っているところを、仕えていたはずのガツマーはにやにやしながら見ていた。


「そうさ!そうなんでゲスよー!!」


共感してくれる人がいてうれしかったのか、ガツマーは何かのスイッチが急に入ってしまった。


「こいつは、悪魔、鬼、人でなし、デブ、サディスト!どんな蔑みの言葉さえもすべて当てはまるクズなんでゲスよ!!!」


顔を恐ろしいほどに歪ませながら、同じ敵を持つオードリーに愚痴を言った。


「なるほど、なのに実力が上の貴様より奴の方が階級や皇帝陛下からの待遇が上なのが気に食わなかったというわけか・・・。」


「ええ、ですが同じ敵がいなくなった今、知りすぎたあなたは始末されなければいけないんでゲスよ!!!」


 ガツマーは、両手で狐を作り、そのまま親指と人差し指、小指同士をつなぎ合わせ、大声で詠唱魔法を唱えた。


 「ザーヴァイ!!ツイン・エレクトロドラコン!!」


すると、次の瞬間彼の目の前にキリル文字のような言語が描かれた魔法陣が浮かび上がった。


 直後、すさまじい轟音とともに電気をまとった紫色の目をした黄金に輝くドラゴンが二体出現した。


 大きさは二体とも同じで、体長は約10メートルほどの中型といったとことだろうか。


 「クソ!エレクトロドラゴンを二体もだと!!」


 オードリーが悪態をつくのも無理もない。エレクトロドラゴンの召喚には、本来はきちんとした儀式を行ってからごく限られた祭壇の上で行われる。そうでもしないと、彼らは召喚できないのだ。


「なるほど、お前さんは異能持ちというわけか・・・。」


「そのトーリでゲス!!龍使いの私に出会ったのが運のツキでゲしたな!!」


そう言って彼が手を目の前に突き出すと、片方のドラゴンの二本の角の間から稲妻が発生して青白い球体を形成し、それが程よく大きくなった瞬間にそれが放たれた。


「オードリーさん危ない!!よけて!!」


シュラナは、思わず拳を握りしめて叫んだ。だが、時すでに遅し。ものすごいスピードで電気球は彼に向かって少しばかりの稲妻を纏いながら飛んで行った。


ドカーン!ゴロゴロゴロー!!という雷が近くに落ちてきたのと同じくらいの衝撃が彼の近くで発生し、一瞬だけ周りの景色が白くなった。


「オードリーさん・・・。」


思わず現れた自分たちの唯一の味方がいなくなってしまったことにより、奴隷少女たちは絶望に打ちひしがれていた。


「ゲーシャシャシャシャ!!!!二体も召喚するまでもなかったでゲスな・・・だが、これで邪魔者はいなくなった!さあ!さすがのわたくしも魔力が切れちまったでゲスから・・・そこの可愛らしいエルフ女!まずは、貴様から魔力と純潔をいただくでゲスよ~~ん。」


ガツマーは、顔に影を作りながらズボンのベルトを外して彼女たちに近づいてきた。


これから、自分たちの身に起こる最悪の事態を想像して、シュラナは恐怖で顔を青くして震え、あるものは、両手を合わせたお祈りのポーズで目をぎゅっとつむった。


「ひっ・・・いや・・・来ないで・・・。だれかぁーーーー!!!!」


彼女が叫んだ次の瞬間、ズドーンという爆発音とともにガツマーの後ろで龍の断末魔の悲鳴が聞こえた。


「な、何事でゲスか!!??」


ガツマーが後ろを振り返るとそこには、どてっ腹に穴が開いた一体のエレクトロドラゴンの横に、オードリーとそれを庇う奇妙な格好をしたエイジア人(この世界での肌が黄色い人種)の男性が立っていた。


「老いぼれジジイを助けた上にエレクトロドラゴンを無傷で瞬殺だと!貴様一体何者でゲスか!?」


俺は、このヒョロガリの魔導士が何を言っているのかわからなかったが、見た感じ切り札のドラゴンを一体倒されたので焦ったのだろう。だが、周りの現状を見る限りそのヒョロガリが悪者側という感じであったため腕を組んだ歴戦の戦士のような立ち振る舞いで名乗った。


「私は、弱きものをいじめる悪い奴らを挫く正義の味方。富士見力だ!!」


名乗った直後、追いついてきた椿に後頭部を思いっきり蹴られた。


「仲間を置いていく正義の味方がどこにいるでありんすか!!!」


蹴られた勢いで俺は数百メートルほど吹き飛んだ。普通だったら顔面ぐちゃぐちゃになる勢いだが、衝撃が来ただけで全く痛くもないし、血すらも出ていなかった。


「おまえ!人がカッコつけているときに何すんだよ!!」


だが、俺の顔には涙と鼻水が泥を巻き込んですごいことになっていた。


 「飛び蹴り。」


 椿はむすっとした顔で言った。


 「いや、仕掛けた技じゃなくて理由を言ってんの!!」


 椿と俺が言い合っていると、パワードスーツが走る音が近づいてきた。


 「やっと追いついたゾイ!お前さん確か元引きこもりだったはず。なんで、鍛錬を積んでる椿君より早く走れるゾイ?」


 そういえば、早く走ろうと思った瞬間周りの景色が新幹線に乗っているかのような速さで流れていった気がする。


そう思って俺は、能力測定眼鏡をかけた。


画面には、以前表示されていた項目の中にある使用可能魔法の中に『俊足(爆速)』が追加されていた。


 「俊足の爆速・・・おそらくこの魔法が無意識に発動したせいかもしれない。」


 もちろん、異星人たちはこんな技術を知らないものだから、三人が訳の分からない言語をしゃべった挙句に一人が奇妙な眼鏡を掛けたものだから、歴戦の猛者らしきフードのヒョロガリ魔導士と先程助けた白髭の老剣士が臨戦態勢に入った。


 だが、俺もその後この老剣士に驚かされることになるのだが・・・。


 「先程は助けたことに感謝する。たしか名は、富士見とか申したな・・・アシハラ語をしゃべれるようだがどこの使いのものだ?返答次第では命の恩人でも斬り捨てねばならぬ。」


 「え?おじさん日本語をしゃべれるのか?あ、いや・・・よく異世界転生小説である言の葉の加護のせいかも・・・。」


 「言の葉の加護?あんな高度な精霊魔法をわしが使えるわけなかろうが!どこの使いの者かと聞いておるんだ!」


 老人は、いらだっているのか、剣の切っ先を俺に向けた。


その刀には魔導士の後ろで転がっている首なし死体のものと思われる血がついていた。


俺は、敵対心がないことを示すため両掌を見せてそれを横にひらひらと振った。


 「あーえーと・・・私は大日本帝国政府の命で資源探査に来たものです。」


 「大日本帝国の者だと?」


 老人は、その国に心当たりがあるようなそぶりを見せて刀をしまった。


 「そうか・・・わしは、ローゼン王国第一秘匿任務遂行隊隊長、オードリー・ヒロード・シップバーンと申す。」


 「秘匿任務の最中だったら、俺らに教えるのはまずくないですか?」


 だが、オードリーは首を横に振った。


 「君は、とっさにアシハラ語を話したからな。秘匿任務には支障がないと判断した。」


 俺が魔導士の話題に移ろうとしたその時、雷が落ちるような音がこちらに近づいてきたので二人がとっさによけると。二人がいた地面は深くえぐれていた。


 「スイッ!ヘブリモウブッ!(ちいっ!外したか!)」


 三人と一体が臨戦態勢に入ろうとしたその時、上空から女性の黄色い悲鳴が聞こえてきた。


 見上げるとそこには、不安定な飛び方で空を飛んでいる檸檬の姿があった。


 彼女の背中にあるリュックサックから回転翼機が飛び出していてそれで空を飛んでいるのだが、バランスを保つための後ろの回転翼が故障しているためにぐるぐると回転しながら落ちていった。恐らく、俺を追いかけるためにろくに整備もせずに飛び立ってしまったのだろう。


 「檸檬!危ない!」


 檸檬の機械は操作不能になっているため、ドラゴンの方に向かって落ちていった。


 これ幸いと見たのか、電流を纏ったドラゴンは檸檬に向かって口を大きく開けて喰らおうとしていた。


 「ヤメロオオオ!!!」


 「嫌アアアアア!」


どうなる檸檬ちゃん!?続きをお楽しみに!

次回更新は五月十日です。


追記:極力、直接のエロ表現は省きました。僕もう疲れたよパ〇ラッシュ_(:3 」∠)_

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