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旭日の惑星  作者: 小林ミメト
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第伍話:無敵の肛門様VS毒角ウサギ前編

体力に自信のないはずの富士見は、なぜか一時間以上歩いていても疲れなかったので不思議に思い、能力測定眼鏡をかけるととんでもないものが表示されていた。

名前:富士見ふじみ つよし


年齢:20歳


魔力:無限大


体力:無限大


腕力:無限大


脚力:無限大


知力:36/100


職業:なし


魔法属性:水、氷、炎


使用可能魔法:龍殺激流、自爆炎、即死吹雪


特性:超速回復、細菌耐性、不死


俺は、自分の能力や特性に開いた口がふさがらなかった。


何よりも驚いたのは不死者になっていたことだ。


「つまり、切り刻まれても銃で急所を撃たれても、魔物に食われても・・・何されても死なないってことなのか?」


「そういうことになりんすね。」


そう言って椿は頷いた。


「ふう・・・なんか一気に疲れたな・・・どっこいしょ。」


体力的には問題ないが、今ので精神的に疲れてしまい、俺は近くにあった岩に腰かけた。


「危ない!!」


檸檬は、俺に対して座ろうとしている岩の方を指さして忠告したが、俺は気にも留めずにそのまま座った。だがそれがいけなかった。


座ったと同時に何かが俺のケツの穴に勢いよく突き刺さったのだ。


「ンガアアアアーッ!!!」


俺は、刺さった痛みで変な声を出してのたうち回った。


「誰か助けてくれ!何かが尻に刺さったァ!」


「わしに任せるゾイ!!」


G3OPがロボットなのに指をぽきぽきと鳴らしながら、俺のケツに刺さった何かをむんずとつかんだ。


「行くゾイ!せーの!よいしょー!!」


「あんぎゃああああ!!!」


だが、全く抜けずに激痛が走り俺はたまらず悲鳴を上げた。涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながらも、俺はG3OPにやめるように言った。


「だめゾイ。引っ張っても全く抜けんゾイ。」


「ロボじいちゃん。こういう時は、引いてだめなら押してみろってやつよ。もしかしたら、穴が大きくなって抜けるかもしれないわ。」


なんかとんでもなくサイコパスな発言が聞こえた気がするのだけれど、この際贅沢なことは言えないので、俺は早くやるようにせがんだ。


だがその後、俺は自分の発言をひどく後悔することになった。


「えい!」


可愛い掛け声とは、対照的な一段と腹の底から響く鈍痛を感じた。その痛みは先程の引っ張られた時の痛みとは比べ物にならなかった。


「ぬううううん!!」


俺は、脂汗を流しながら痛みを必死で耐え抜いた。よくやった俺、あとで村か町についたら、彼らにうまいもんをおごってもらおうなどと思っていた。


「ロボじいちゃんあとは任せた!」


「おう!富士見君ちーっと我慢するゾイ!今から最大出力の腕力でこの動物を引っこ抜くゾイ!」


え?最大出力?おまえ何言ってんの?などと考えている暇はなく俺の肛門は死んだ。


「うおりゃああっ!!」


ズブシャアア!!!というおおよそ人のケツからは絶対出ないような音がした。


「アゲエエエエーーー!!!!!!!」


「すさまじい血の量でありんすね。これでも倒れないなんて、さすが富士見さんでアリんすね。」


俺は、恐る恐る後ろを見ると血まみれになった赤子を抱いた産婆さん・・・ではなく、血まみれになった角をはやしたウサギのような何かを、暴れないように必死で押さえつけているG3OPが立っていた。


確かにすさまじい血の量だが、それでも倒れない自分はすごいなと思った。


また、なぜか気絶しそうなほどの尻の痛みが不思議と消えていたのだ。これも能力のおかげなのか・・・。


「おおっ!傷がふさがっていくゾイ。」


数分後、俺はG3OPに治っているかどうか確認した。


「どうだ?きれいになったか?」


「ばっちりゾイ!だが、ズボンの穴はどうしよう。」


「確かにこのままこの星の人間に接触しようとしても変人扱いされるだけだしな。」


俺は、少し考えていたがいいことをひらめいて手をポンとたたいた。


「そうだ。その角ウサギを洗って皮の一部をつなぎ合わせればしのげるかも。」


「名案ゾイ。」


早速、G3OPは近くの池で角ウサギを洗い、見事な手さばきで皮を剥いでいった。


「できたゾイ。」


しばらくするとG3OPの手には、ズボンの破れた個所より少し大きめに四角く切られた皮と角が握られていた。


 ちなみに肉の方は、檸檬がたまたま空のゴミ袋を持っていたのでそれに入れることにした。


 「裁縫はわっちに任せるでありんす。」


 そう言うと椿は、慣れた手つきで俺の尻に針を刺さないように慎重に縫い付けていった。


 日本であれば、いい歳こいた大人の男性が女子高生に施しを受けてもらうという事案待ったなしの光景なのだけれどね。


 「さっきの岩って、もしかして角ウサギの巣なんじゃ・・・。」


 「だとしたら、恐らく仲間がやってくるかもしれないでありんす。」


 「そうだとしても、この四人で何とかなるさ。・・・よし!それじゃあ再び探索と行きますか。」


 俺が意気込んでいると、後ろから女性陣のとはまた違った鳥のような金切り声がした。


 振り向くとそこには、20匹近い角ウサギがいた。先頭の一匹がキイキイ鳴いているので恐らく仲間を殺された恨みを言っているのだろう。


 その時、後ろから角ウサギの群れをかき分けながら一回り大きなボスらしき個体が二本足で歩いてきた。


 その見た目は、ほかの個体よりも筋骨隆々で角も途中で二本に分かれており、太さも二回りほど大きかった。


 「二足歩行するウサギ・・・実物を見るのは初めてでありんす。」


 「かなり珍しいかも!動画にしよーっと。」


 などと女性陣がのんきなことを言っていると、ボスが右腕を上にあげた。

 

 「キキーッ!!」


 少しの沈黙の後、ボスの一声で角ウサギたちが一斉にとびかかってきた。


 俺は、ところどころかじられながらも頭のてっぺんにしがみついている奴の角をつかんで引っぺがした。その後、そいつをつかんだまま胸の部分に向かって人指し指から先程龍にはなった水流を放った。


 俺の龍殺激流は、指から粒子砲のごとく飛び出して角ウサギの心臓を貫いた。


 「ぎゅぴゃっ!!」


心臓部分に風穴をあけられた個体は、断末魔の悲鳴を上げて絶命した。


その後は、まるで事務作業のごとく片っ端から俺にかみついてくる個体を同じ方法で始末していた。


「おーい!お前ら大丈夫・・・・のようだな。」


案の定というかやはりというか、俺以外の奴も善戦しており椿とG3OPが檸檬を守る形で戦っていた。


「おう!みんな無事ゾイ!」


「何とか守られてます。」


「富士見はん!よそ見してたらあぶないんじゃありんせん!?」


俺が前を見ると、一回り大柄なボスが俺に向かって突進して右ストレートをかまそうとしていた。


突如現れた毒角ウサギの群れ、持ち前のチート能力と仲間のサポートにより何とか全滅できたものの、今度はボスを相手することに!どうなる富士見!?次回もお楽しみに!


次回更新は五月六日です。

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