第肆拾陸話:奴隷救出作戦 ~其の陸~
独立第二十四飛行団は、2人乗りの戦闘機『神雷』5機、隊員10名からなる大日本帝国空軍が誇る精鋭部隊で、現在は隊長の栗林中佐と副隊長の神御田中佐が乗る『神雷』を先頭に八の字に列をなしてゴドナベツ国付近の海の上を飛んでいた。
空母加賀から発進してからわずか数分で、クラウドペガサス帝国第七師団の船団を目視した。
「目標発見!これより攻撃態勢に入る!帆船は極力無視、戦艦の艦橋は私たちが行う!お前たちは空母の無力化を図れ!!ドラグーンのスクランブル発進に気をつけろ!」
「「了解!」」
栗林は、蒸気戦闘艦『ハイザーキ』の艦橋に誘導弾の目標を定めた。
「目に焼き付けろ!これが皇御国の力だ!!」
ボタンを押すと同時に誘導弾一発が発射された。
蒸気戦闘艦『ハイザーキ』では、エンゲルが額に汗を流しながら鬼の形相で部下を指揮していた。
「魔力注入はまだか!!」
「たった今終わりました!!」
「発射まで五秒前!5、4、3、2、1・・・発射!!!」
ものすごい轟音とともに発射された実体弾は見事に誘導弾に命中した。
それを栗林は、信じられないといった表情で見ていた。
「コレで証明できたわね。栗林。」
「ああ、そうだな神織田、誘導弾に不備があったんじゃねえ・・・あの艦橋の中に腕の立つ砲撃兵がいる!だが、裏を返せばソイツさえ叩けばこの戦いは終わる!」
・・・・・・・
エンゲルは、防戦一方ではじり貧になることを悟り、こちらから仕掛けることにした。
だが、相手が飛竜をも上回るスピードと旋回能力を誇示し始めたため、狙いが定まらずいらだっていた。
「エンゲル少佐殿?どうなされたのですか。」
「う、うるさい!」
エンゲルは、敵の動きを読んで次にどこに向かっていいかを必死に考えた。
だが、そんな余裕を与えるほど敵は甘くはなく、至近距離からミサイルが飛んできた。
「しょ、少佐殿ー!」
彼の脳裏をよぎったのは、名案ではなく走馬灯だった。
彼は元々剣士の名家の長男として生まれたが、次男、三男に剣技で全く歯が立たず。父親に、剣がだめならせめて砲撃兵として出世しなさいとあきれられて、陸軍に入隊した彼は父親に認めてもらいたい一心でここまで上り詰めた。
「ちち・・・うえ・・・せめて、あなたに・・・。」
彼の思いもむなしく、ミサイルが艦橋に着弾した。
そして、轟音とともに戦艦ハイザーキの艦橋は崩れ落ちた。
それとほぼ、同時刻に飛竜母艦フロンテ・ブリージアを戦闘不能にしたとの報告が二人の下に入った。
神織田と栗林は、それらを無線で海田艦長に報告した。
海田大佐は、ほっとした顔でねぎらった。
「ご苦労さん。こちらに戻るようにほかの8人にもそう伝えておいてくれ。」
『了解!』
独立第二十四飛行団は5機すべてが、無事に空母加賀に帰還することができた。
そして、海田大佐の提案で雷に捕虜として捕らわれているベルノルトの言葉で彼らに降伏を勧告することになった。
蒸気戦闘艦ハイザーキの艦橋喪失、飛竜母艦フロンテ・ブリージアの飛行甲板大破と言った、クラウドペガサス帝国海軍の要というべき船がことごとくやられたのをきっかけに第七師団の間で厭戦気分が蔓延していた。
そこへ、ほぼ無傷の敵国の艦隊がやってきた。
皆が死を覚悟した刹那、聞き覚えのある声が敵国の艦隊から聞こえてきた。
『私は、大日本帝国海軍の捕虜となったベルノルト・フォルクハルト・トーン二等兵であります。日本軍は、彼らの世界での降伏の印である白旗を掲げれば、これ以上の戦闘はしないことを約束するとおっしゃっています。どうか、どうか皆様のご英断を!』
当然、第七師団の連中はざわついた。
「断固、戦闘継続するべき!我々に敗北の二文字はないぞ!!」
「だが、ハイザーキもフロンテ・ブリージアも使い物にならなくなった。これ以上戦っても無意味だ!」
しばらく沈黙が続き、それぞれの船の中で数十発ほどの銃声が響き渡った後、白い布切れを縫い合わせた白旗がハイザーキとフロンテ・ブリージアから振られた。
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