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旭日の惑星  作者: 小林ミメト
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第参拾参話:大図書館攻防戦(前編)

 クロノラーズが図書館に向かって歩き出した頃、蒸気戦闘艦ハイザーキに乗艦している兵長以下の階級の乗組員全員や、後から接岸してきた船から次々と略奪行為を行うために兵士たちが上陸した。

「よし、武器は持ったかヤロー共!?」


「オーーーーーッ!!!!」


この略奪隊の中でイチバンの古株であり、隻眼で右目に眼帯をしているオーラフ・ディートハルト・ゲルストナー上等兵が声を上げたのと同時に、全員が右手に持つ大小さまざまな銃や剣を掲げて叫んだ。


「行くぞーーー!!」


「ワーーーー!!!」


船員たちは、オーラフの掛け声とともに一斉に破壊された店や無事だった建物に侵入し破壊と略奪を行った。


その中には、ジョンたちが通っている酒場も例外なくターゲットにされた。


だが、現地の通貨や宝石などの貴重品はすでに持ち去られた後で、残っていたものは、運ぶのにちょっと苦労しそうな大きな壺や訳の分からない絵画ばかりだった。


「クソっ!!!」


「まあいいさ。どうせあの突撃バカが連中を蹂躙しているかもしれん。俺たちは、その後にそいつらから金品宝石を奪えばいいさ。」


「ついでに女もな。」


男たちが下卑た笑いをしていると。女性兵士たちが甲冑の音を立ててやってきた。


「ちょっと、あたしたちじゃ満足できないってわけ?」


その先頭に立っている女性は、金髪のおさげでまつげも長めの黄金色だが、それ以外は女性と呼ぶにはあまりにも荒々しい風貌で、体や顔には無数の刀傷が走っていた。そして、体格もほかの男性に劣らないくらいガタイがよい。


この軍団に入ったばかりの新米兵士の男性は首を横に振った。


「フリーダ兵長。そう言うわけではありません。何なら、ここで私たちが一つ手ほどきを・・・。」


「フン!やめとくわ。あたし、路上でやる趣味はないからね。私の寝室だったらいつでも相手してやるよ。」


だが、それを聞いて新米兵士以外の男たちは身震いした。


「おい・・・新人。行くつもりか?」


「え?上司とはいえオッケーが出たんですよ。行くに決まっているじゃないですか?なんせ僕は年上でもいける口なんですよ。」


「あほか!!そう言う問題じゃねえ!あいつは、強欲の兵長と謳われるフリーダ様だぞ!!」


「強欲?」


「おまえなんも知らねーんだな。あいつは、部下の人間が・・・特に男性団員が粗相をしでかすと、必ずと言っていいほど自分の寝室に連れ込み、部屋に置いてある得体のしれない道具で、いろんなところを開発されて最終的には通常任務ができない体にされてしまうんだ。しかも、その後の彼女はなぜか肌つやが良くなっているって話だぜ。」


新人は、それを聞いて身震いした。


「発言には気をつけろよ。」


「ぜ、善処します。」


「オイ!男どもォ!!!」


「ひゃい!」


聞かれたかと思って彼は震えあがったが、彼女は満面の笑みでぼろきれのような服をまとったドワーフの男の子を連れてきた。


その子は、深緑色のクリッとした瞳に髪は緑色の小顔ボブで男性陣でもその美しさに一瞬みとれるほどだった。


「こいつ気に入ったから帆船リッチヒルに連れていく。クロノラーズの支援おもりは任せたぜ。」


 「キャー可愛い!ねえ、フリーダ様!あたしたちも抱いていい?」


 「ああ、あとでな。じゃ、そう言うことで♡」


 男性陣は、自分たちの貞操の危機を彼が守ってくれたため、心の中で敬礼した。


 一方図書館では、館長のネビュラがこちらに向かってくる小隊規模の集団を双眼鏡で見ていた。


 「なんだ?あれは。」


 ネビュラは、双眼鏡を片眼鏡の和装を着た女性ドワーフに手渡した。


 「帝国軍の兵装をしていますが、亜人奴隷らしき集団を従えています。もしや脱走兵でしょうか・・・ネビュラ様?」


 ネビュラに敬語で話すこの女性は、彼の秘書であるキャメルでお互いに小さい頃から主従の関係にある。


 「お待たせしました!!」


 その時、息せき切ってやってきた二人の女性ドワーフがいた。コンヒーロ姉妹だ。


 「トペ!プランチャ!無事だったか。」


 「ハイ。あの・・・これをみんなに。」


 そう言ってプランチャがキャメルに手渡した箱の中には、かなりの数の小銃が入っていた。


 「伝説の銃がこんなに・・・!!わかりました。でも、使い方は?」


 「これが使い方を書いた紙や!!」


 トペが紙を渡すと、キャメルは二人に一礼して早足で去っていった。


 「よくやったプランチャ、トぺ・・・自分たちの命の危機が迫っている中、良くこれだけのものを持ちかえってきてくれた。これは、村長賞・・・いや、族長賞がもらえるかもしれんぞ。」


 「ぞ、族長賞ですか!?」


 プランチャが驚くのも無理はない。族長賞は、戦争で敵を一個師団壊滅したものに送られる賞で、平時の時は海獣などの災害級の魔物を倒したものに送られる。なので、イージス艦『きぼう』の搭乗員も、もちろん全員この賞をもらっていたりする。


 さらに、この族長賞を提示することによって酒場や鍛冶屋、ありとあらゆる店の商品を通常の値段の10分の1の値段で買うことができるのだ。


 生活に困っていた彼女らにとって、族長賞はまさに天の恵みに等しいものなのだ。


 「じゃあ、諦めていたきれいなドレスや、美味しい食べ物も・・・じゅるり・・・。」


 プランチャは妄想が膨らみ、緩んだ口元からよだれが滝のように流れ出た。


 「あー、プランチャ?族長の前ではその顔はしないようにね。」


 「い、いけない!私ったらまだ戦闘中だというのに・・・失礼しました!!!」


 我に返ったプランチャは、恥ずかしくなったのかよだれを拭き、顔を真っ赤にして一人で執務室を逃げるように出ていった。


 「あーん、姉御まってェ!!!」


 それを追いかけるように、妹も足早に去っていった。彼女らを苦笑いしながら見送ると、ネビュラは再び窓の外を眺めた。


 「さて、どう出るかな?あの帝国兵は・・・。」


 こちらは、土嚢の内側でつかの間の休息をとるゴドナベツ国の兵士たち、


 兵士とは言っても、この国には正規の軍隊はなく、各村々から集められた力自慢の男たちの集団が外敵や魔物から国を守っている、今回はその中でも特に精鋭ぞろいである『ヘル・ファイヤー』が族長の命によって図書館を守っている。


 団長のハルノブ・イワハラは、人種のちょっと特殊な転生者で、アメリカに敗北した世界線の現代日本で地味が取り柄の普通のサラリーマンをしていたのだが、信号無視をしたトラックにはねられて死亡し、神様を名乗る女性に来世はもっと死なない体でハジケたいという珍妙なお願いをしたところ、快く承諾されて特殊スキルである『超速再生』『全魔法属性自動習得』『気分高揚』というものを得ることができた。


そして、3つのスキルを受けたハルノブは女神の力で死亡前の姿で、この地に降り立つことが特別に許可されたのだ。


ちなみに、髪型は黒の短髪のツーブロックで顔は卵型のモブ顔、服装は着物に袴のような出で立ちで色は上が黄土色、下がオレンジ色である。


元々、もっさりした髪型だったのだが、この地に降り立った時に自分を変えるためにツーブロックに変えたのだ。


「この地に降り立ってから、八十年か・・・長いようで短かったぜ。」


「団長!コンヒーロ姉妹からの贈り物です。」


「贈り物?」


中身を見た彼は驚愕した。なぜなら、ミリタリー系の創作物においてよく目にしたものばかりが入っていたのだ。


「こ、これは?」


「なんでも、八十年前に流れ人が乗ってきた戦闘艦の横に置いてあった代物だそうです。船の名はたしか・・・『きぼう』とか。」


彼は、頭の中が真っ白になった。実は、イージス艦『きぼう』は彼の生前の世界で、とある大震災の折に助けてもらった自衛隊員たちが乗っていたイージス艦『きぼう』が行方不明になったとのニュースをその数年後に耳にしたからだ。


少しの間の後に、彼は高らかに笑った。


「クハハハハ!!!」


「どうした?団長。」


団員は、かなりフランクに話しかけてきたがこれは団長である彼の方針で身分に関係なく、友人のように話し合おうというものだ。おかげで、戦闘前だというのに和気あいあいとした雰囲気で、戦意は重畳ちょうじょうで誰一人としておびえてはいない。


「まさか、また彼らに救われることになるとはなあ!これも何かの縁というわけか!!」


彼は、団員にいつにもましてハイテンションになっている理由を話した。


「なるほど、俺たちには・・・いや、この国にはまさしく希望が見えているということだな。」


「そういうこった。テメーら!これで怖いものなんてねえ。あの帝国兵が、敵であるにしろ味方に寝返るのであるにしろ、どちらに転んでも丁重にお迎えするぞ!!!」


「オオオオオーーーッ!!!!」


ついに次回から本格的(?)な戦闘が始まります。

お楽しみに!!

次回こそ主人公を活躍させるぞ!!!

追記:抜けていたところがあったので訂正します。

『一方図書館では、館長のネビュラがこちらに向かってくる小隊規模の集団を目にしていた。』

『一方図書館では、館長のネビュラがこちらに向かってくる小隊規模の集団を双眼鏡で見ていた。』


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