第参拾弐話:統べる者
主人公が五話連続で不在な小説も珍しいんじゃない?どうでしょうかね(;^ω^)
追記:さすがに、御脳の回路がプッツンしているクロノラーズと言えど、クリスティーネの名前の間違え方はまずいと思ったため変更しました。
彼女たちは、突如現れたゾンビの集団に襲われかけたが謎の木箱に入っていた銃で何とかしのいだ。
「姉御・・・このゾンビたちどこから湧いて出てきたんやろか?」
「召喚勇者と思わしき人種のものもおったから、恐らくここは元ダンジョンで地下深くに潜んでいたゾンビを討伐した際にやられてしもうたんやろ。」
「もしかして、この船の乗組員さんも・・・。」
「だが、この『きぼう』とやらの船員はみんなきれいな身なりをしていたと、おばんが言っておったしゾンビの中にそんな人はおらんで。」
確かに、トペが動かなくなったゾンビの死体を見ても、それらしき人物は見当たらなかった。
「さ、急いでここを脱出せな。みんなが私たちを待っている。」
「せやな。」
姉妹は、ゾンビの死体から魔石を取り出すと銃が入っている箱に入れてプランチャがそれを持ち、トペが魔石ランプをかざして出口まで向かっていった。
ようやく小屋から出た二人は、急いで村長のいる図書館へ向かっていった。
その様子を蒸気戦闘艦ハイザーキの艦長が双眼鏡で見ていた。
「彼女たち、しぶとく生き残っていたな。」
艦長は、そう言ってクロノラーズに双眼鏡を渡した。
「しかも、なんか箱みたいなものを持ってやすぜ。」
クロノラーズは何かを見つけたようでニヤッと笑っていた。
「どうした?ほかにも何か見えたかね?」
「いんや。何にも・・・にしてもさすがは砲撃の天使。寸分の
狂いもなく打ち出された実体弾に当てるとは。」
「あなたに褒められても、みじんもうれしくありませんよ。」
「言ってくれるじゃないの。」
エンゲルブレヒト少佐とクロノラーズ二等兵は、お互いに不気味な笑みを浮かべた。その後、艦長に向き直って敬礼をした。
「報告します。アミスラス砲台、ディーヴァー砲台ともに沈黙しました。」
「ご苦労・・・。」
そう言うと、艦長はすっくと立ちあがりクロノラーズを上陸作戦の先遣隊の隊長に任命した。
「ただし、貴様が使うのは亜人奴隷だけだ。」
「了解いたしました艦長!」
クロノラーズは嬉々とした表情で敬礼をして艦橋を後にした。
彼が真っ先に向かったのは奴隷収容室だった。そこは床が鋼でできており、奴隷をつないでおくための足枷がついている。
そこのドアを蹴破り、中にいた亜人奴隷たちはびくついた。彼らの右足には足枷が付いており、容易に逃げ出せないようになっている。
「テメーらあ!!戦争の時間だゴルア!!!」
その声にびくついて亜人たちはおびえた。だが、その亜人の中で一人だけ落ち着いている犬獣人がいた。
犬獣人のウルフェンシュタインだ。ほかの奴隷たちから羨望のまなざしで見られているため、こいつがリーダーだろうとクロノラーズはにらんだ。
彼の容姿は、主人にしっぽを振って愛想笑いをするような犬獣人ではなく、真っ白い毛並みをざわつかせながら、主人に牙をむかんとする白狼族のようだった。
「足枷が付いたまま戦えとおっしゃるならば、俺はここを一歩も動きません。というか動けません。」
ピリピリと張りつめた空気が、一瞬にして笑いの空気に包まれた。
クロノラーズは、締まりがなさそうな顔をして頭を抑えた。
「誰もそんなことは行ってねーだろがバカ!今外してやるよ。」
クロノラーズは、通路に置いてあった救命いかだのロープを切るための斧を持って足枷に刃を入れた。
クロノラーズの手によって、男性の亜人たちの足枷が次々と断ち切られていった。
「あ、あたしたちのも外しなさいよ!!」
「そうよ!そうよ!」
案の定、男子だけずるいと女子たちがわめき始めた。
「うるせえ!男どもに腰振るしか能のないクソビッチどもは黙ってろ!!!」
だが、クロノラーズは少し考えたところであることを思いついた。
「そうだ。やっぱ二、三人来ていいぞ。」
「あたしが先よ!」
「何言ってんの!わたしよ!」
「あーあ、醜いねお嬢ちゃんたちィ。」
そう言いながら、クロノラーズは斧を振りかざした。
「よし、お前とお前とお前来い!!」
彼が鎖を断ち切って指名したのは、手足にウロコのあるビキニアーマーのリザードマン、茶色い体毛のウオーリアーバニー、そして金髪童顔のハーフリングだった。
クロノラーズは、奴隷たちを引き連れて武器庫へと向かっていった。
「オーイ!クリスティーネちゃんいるゥ?」
クロノラーズが武器庫のドアを叩くと、中から少しばかり筋肉質な女性が出てきた。
服装は、チェーンを組み合わせた通気性がよい鎧の上に胸当てと銅鎧のズボンを穿いている。
髪型はヘルメットをかぶっているのでわからないが、そこから覗く金髪は手入れが行き届いているのか、薄暗い武器庫を照らす魔石ランプによって光り輝いていた。
彼女は、自分が上等兵であるのにも関わらず、全く上司を敬わない二等兵に対して顔を真っ赤にして怒った。
「上等兵をつけなさいよ!鼻ピアス野郎!!」
「まあまあ、そー言わずに。ところで、こいつらの体格に合う武器は余ってねーか?」
「突撃兵用のものは、取り揃えているわよ。」
そう言って、彼女は奥の方に置いてあった木箱を持ってきた。箱の上には世界共通語で『突撃兵用魔小銃』と書かれていた。
彼女が箱を開けると、中にはぎっしりと中世ヨーロッパか戦国時代の日本に出てきそうな小銃がつまっていた。一つだけ相違点があるとすれば、回転式小銃のようなリボルバーが、引き金の近くにくっついていることだろう。
「うひょー!こんだけありゃあ、ドワーフの連中なんざあっという間にハンバーグになっちまうぜ!」
クロノラーズは、子供のように目をキラキラさせて銃をその手に持った。
「これは、77年式魔小銃。通称『ニムゲン』、これは従来の70年式よりもはるかに連射性、殺傷性の高いものよ。」
今更の解説だが、ここで言う77年や70年とは、クラウドペガサス帝国をはじめ周辺諸国で使われているクリスティア歴のことで、今は1580年である。
「召喚勇者が偶に持っていた銃に、ライフリングってやつが施されているが、ああいうのはねーのか?」
「ないわ。でも、詠唱魔法を施したミスリル製の撃鉄は爆裂魔法の威力を少しだけ高くしてあるから、リボルバーよりは幾分か性能は近づいたわ。」
「ひっひっひ・・・それがこんなに大量にあらあ十分っすよ。」
「この銃たちの良さがわかってくれて何よりだわ。」
二人は、通りすがりの船員がドン引きするほど、ひどく悪い笑みを浮かべた。
そして、早速奴隷たちに銃を持たせたが、ハーフリングの子にはちょっと重たかったのか、持たせた瞬間よろけて尻餅をついてしまった。
「あうう・・・ごめんなさい。」
半泣きになりなりながらも、何とか持ち上げようと必死にもがいたが駄目なようだ。
「ハーッ。つっかえ・・・。」
見かねたクロノラーズは、何か他にないかクリスティーネに探させた。
「軽いものねー。あ、この銃ならいいんじゃない。」
そう言ってクリスティーネがハーフリングの子に投げたのは、ワルスーP23というライフリングがほどこされていない回転式小銃だった。
「ひゃうっ!!」
「落とすんじゃねーぞ。敵を撃った時にお前の手が爆発するからなヒャヒャヒャ!!!」
「ヒイッ!!!き、気を付けます。」
蒸気戦闘艦ハイザーキは、先程の砲撃で静まり返ったオビーチェ村の船着場に漁船を押しのけながら接岸した。
奴隷たちと一緒に上陸したクロノラーズは、遠足の引率の先生のごとく手を広げてみんなの注意を自分に向けた。
「ハアイみなさん。横三列に並んでェー!!注もーくっ!!!」
その様子を艦橋から、艦長とエンゲルが見ていた。
「あんなのが突撃兵で大丈夫なのですか?艦長。」
「大丈夫だ。今にわかる。」
「はあ・・・。」
桟橋では、クロノラーズと奴隷たちのやり取りが行われていた。
「あのー。クロノラーズ二等兵・・・さん。」
「なんだ。ハーフリングの嬢ちゃん。ご主人様とお呼び!」
「えっと、ご主人様は銃はいらないのですか?」
「テメーら、俺の目を見ろ・・・。」
「来るぞ・・・目を見開いて奴隷をよく見ておくんだエンゲル君。」
「ハ、ハイ。」
すると、奴隷たちは見る見るうちに精気の無くなった目になり、同時に不安げだった顔はバーサーカーのごとく険しくなった。
「艦長・・・まさかこれが・・・。」
「そうだ。これが彼の能力、『統べる者』だ。まあ、とは言ってもクラースヌイの嬢ちゃんには劣るがね。」
この時、書記長のクラースヌイの女子高に通う女子高生がするような盛大なくしゃみがラドニコフ館に響き渡った。
「いいかよーく聞けテメーら!!」
「ハイ!!」
小気味よい返事を合図にクロノラーズは、彼らに背を向けた。
「俺には、銃は必要ない・・・なぜなら、テメーらが俺の銃となるからだ!!」
「ハイ!!ご主人様!!」
「よーし!行くぞテメーら!!」
クロノラーズが図書館に向かって歩き出したのを合図に、奴隷たちは寸分の狂いもない歩幅でついていった。
「戦争の開始だァ!!!」
すっごーい・・・投稿が遅くなってごめんなさい。
私事ですが、最近寝不足で頭の中で『ようこそジ〇パリパーク』が、エンドレスで流れ続けています。だれか・・・たす・・・け・・・みんみー。




