第弐拾弐話:富士見力とシュナラの過去
ここも、卑猥なのかと問われるとちょっと怪しい感じだったので少し変えました。
でも、カカポダンスのパロディは変えたくない(血の涙)
十五年前の東京都杉並区某所、どこにでもある一般的な一軒家。それが、激しく燃え盛り、周りには消防隊員と警察、そして、携帯を構えるやじ馬たちが取り囲んでいた。
「みなさーん!!危ないですので規制線から離れてください!!」
警官たちは、赤色誘導灯を上下に振って危険であることを知らせた。
その間に、消防隊員たちによる懸命な消火活動と自立型生存者探索救助装置(通称救兵衛)による救助活動が行われていた。
しばらくして救急車も到着すると、あたりは一層緊張感に包まれた。
そんな燃え盛る家の中に子供が一人ひどいやけどを負いながら、しきりに黒焦げになった何かに対して謝っていた。なぜか、全身のやけどは負うたびにすぐに消えてゆき、また新たにやけどができるという状態を保っていた。
「パパ・・・ママ・・・ごめんなさい・・・。」
彼は、黒焦げになった両親の前で同じことを譫言のように言いながらたたずんでいた。
すると、玄関の方からガラガラと音を立てて無機質な赤いカニ型の機械が、足の代わりについているキャタピラをキュラキュラ言わせながら近づいてきた。側面には、右から左に文字が書かれており、そこには『帝都消防庁』と書かれていた。
「生存者発見!生存者発見!もう大丈夫ですよ。」
「いいよ、僕はパパやママと一緒に死ぬから・・・。」
「そんなことを言ってはいけません。あなたは彼らの分まで生きるのです。」
そう言うと、カニ型の機械。もとい、救兵衛はゴムでできた刺股のような腕を伸ばしてその子供をつかんだ。
「何すんだ!放せよ!!」
いくら暴れても、しょせんは子供とロボット。そのまま、彼は家の外へ連れ出された。
「いやだよ!!パパ!!ママァァァ!!!」
・・・・・・・
「ウワアアアア!!!」
俺は、嫌な夢を見ていた。燃え盛る家の中で自分だけが助かる夢だ。
俺の体や顔には、冷や汗がどっと流れ出ていた。
周りを見渡してみると、客人用の部屋で四人分の敷布団が敷かれていて、そこに檸檬ちゃん、椿さん、ロボジーさんが寝ていた。ちなみにロボジーさんの方は、どうやら寝るときは寝顔が表示されるのではないらしく、画面が消えたテレビのように真っ暗だった。
「ハア、目が冷めちまった。アー・・・やけ酒のし過ぎで頭いてー。外の空気でも吸ってくるか。」
檸檬を起こさないようにそーっと鞄に近づき中から、彼女のタオルを取り出した。
「檸檬ちゃん。ごめん。あとで、洗って返すから・・・。」
檸檬は、口をもごもごさせただけで起きなかった。
「ふう」
俺は、女性陣を起こさないように気を付けながら素っ裸になり、ひとしきり顔と体を拭いた後。用意されていた貫頭衣に似た民族衣装に着替えて外に出た。
まだ夜中で、光の精霊たちも寝ているのか、墨汁をそこら中に撒いたかのように真っ暗で、唯一の光源である星々と月(?)明かりがきれいだった。
それに、汗をかいたばかりでまだ体が乾ききっておらず、民族衣装一丁で出たものだから、涼しいというより少し肌寒かった。
「ウーッ、ちんさむ!パンツぐらいはいてくればよかった。」
ふと、屋根の方を見ると、エルフ族の女の子が両膝を両腕で抱えて座っていた。
どうやって登ったんだと思って、下の方を見ると彼女が座っている場所から少し右にずれたところに梯子が立てかけてあった。
「なるほどあそこから登ったのか。」
俺もそれに倣って登ることにした。
・・・・・・・・・・
わたしは、思い悩んでいた。助けてくれたのはうれしいものの、もともとここでは忌み嫌われた存在。あのまま、コルトネに連れていかれた方が幸せだったのかも・・・。
私がそう思っていると、誰かが梯子を登ってくる音がした。
「誰?!」
身構えていると屋根の下から顔を出したのは、昨日オードリーさんと一緒に助けてもらった日本人の一人だった。
・・・・・・・・・・
俺は、梯子を登り切り彼女の顔をよく見てみるとそれはシュナラだった。彼女はまさか俺が来るとは思っていなかったのか、驚きを隠せないでいた。
「眠れないの?」
そう言った彼女は、表情がどこか朧気で月(?)夜に輝く金色の髪がなびくたびに、この世のものとは思えない美しさを醸し出していた。
「そっちこそ、こんな夜中に何しているんだ?」
「久しぶりに怖い夢を見て、寝れなくなっちゃったの。」
「奇遇だな、俺もだ。」
そう言うと俺は、彼女の隣に腰かけた。
「どんな夢を見たの?」
「俺が両親を炎系の魔法でうっかり殺しちまった夢さ・・・。」
それを聞くと、彼女はひどく驚いた様子だった。
「うそ・・・私と同じだわ!」
もしかしてと思い、俺はシュナラに彼女が見た夢の内容を問いかけた。
「私はね、昔、両親と一緒によく山菜や果物をとっていたの、その時に群れからはぐれた二匹の角ウサギがこっちに近づいてきたの。その日は、私の誕生日だったからウサギ鍋にしようということで、私が自分で狩りをすることにしたの・・・。」
俺は、静かに彼女の話を頷きながら聞いていた。
「だけど、その兎たちが私の火矢を受けたとたんに、苦し紛れに両親にとびかかってきたの・・・そしてパパとママはなすすべもなく・・・。」
言い切らないうちにシュナラはすすり泣いた。
「それで、いまだにそれが夢に出てくるというわけか・・・。」
俺がそう言うと、シュナラはコクンと頷いた。
俺は、口には出さなかったが、何となく彼女が避けられている理由が分かった気がした。
「なに、気にすることはない。俺なんかよりはよっぽどマシじゃないか。」
俺が自分の両親との些細なケンカの後に、怒りと殺意が限界に達したときに突如として自分が爆弾となって爆発するような感覚に見舞われ、気が付いたら黒焦げになった両親の死体がそこにあったことをシュナラに告げると、彼女は目を丸くして冷や汗をかいていた。
「だから、くじけることはない、落ち込むこともない、結果はどうあれ君は両親を助けようとしたんだ。くよくよせずに前だけ向いて歩いていればいい。」
シュナラは、涙を拭いてまぶしいまでの笑顔を俺に向けた。
気分が高揚しているのか、まだ酔っているのかはわからないが、顔は真紅の色を保ったままだった。
というより少し赤みが増している気がする。
「ありがとう。おかげで元気が出ました。」
その笑顔で俺の息子も元気になりました。
「あっ!そうだわ。」
そう言うと、いきなり俺に近づき熱を帯びた唇を俺のほほに当てた。
「えへへ・・・これで、お返しができました。元気になりましたか?ちなみにあの子たちには内緒ですよ。」
俺は、一瞬頭が真っ白になり、シュナラの方もやってしまったみたいな顔をして、お互いに真っ赤になった顔を見合わせて硬直していた。互いの距離は、あと数センチ動けば、プレーリー流の挨拶もできるところまで来ていた。
童貞の俺には、身に余るお返しにドキドキが最高潮になった瞬間。お邪魔虫・・・いや、お邪魔ロボットがヌッっと顔を出した。
「お邪魔虫かゾイ?」
富士見:「きゃん!!」
俺は、びっくりして変な声が出てしまった。
俺は、正直言うと静かなところからいきなり出てくる類のものはダメだったりする。
「じーさん・・・お前、まさか・・・見たのか?」
じーさんは、「Yes! I saw Fujimi`s bigチ〇チ〇」と訳の分からんお下劣なことを言った後に、画面を虹色にチカチカさせながら、スポーツカーがドリフトしてきそうな音楽を流して頭を高速でぐるぐる回した。
富士見:「どこ見てんのよ!(男性の裏声)」
俺は、恥ずかしさと、雰囲気を壊された怒りでじーさんに飛び蹴りした。
「カカポ!!!」
じーさんは、奇妙な悲鳴を上げながら落下していった。
俺たちは、屋根から降りてじーさんに尋問した。
「おじーさん!正直に言いなさい。私たちの・・・アーアレ!ほ、ほらあれよ!!見たでしょ!?」
かなり動揺しているのか、なかなか言葉が出てこないようだ。俺に至っては、顔を紅潮させたまま目が死んでいるように見えたかもしれない。
「安心するナリ。ちゃんとはじめてのチュウも目撃したナリよ。」
なんも安心できねーよ!親指立てるな腹立つ!!キャラ変わってるし。
「そして、お前さんの過去も・・・。」
「・・・。」
「先に、シュナラちゃんに謝っておく・・・すまないことをしたゾイ。」
「え?う、うん。」
じーさんは、すっくと立ちあがり尻についた土を掃った。
「実は昨日、シュナラちゃんに黙ってこの眼鏡で君の能力を見たのだよ。」
じーさんは、そう言うとあの眼鏡を取り出した。
「それは?」
じーさんは、能力測定眼鏡について知っていることを、ある程度彼女に解説した。
「そんなすごい技術を持っているのね。」
「そして、あることに気づいたんだゾイ。お前さんの使える魔法の中に、富士見君と同じ自爆炎があったことを・・・。」
シュナラと富士見:「!!」
「勿論、お前さんの場合は炎の精霊魔法ありきの自爆炎だから、全く同じとは言い切れんがな・・・。」
「なるほど、能力に何かしらの共通点があるシュナラと俺が話しているところを聞けば、俺の過去がわかるといいたいわけか・・・。っつーかじーさんあんた、まさか寝たふりしていたな?」
「そりゃあ、あんな大声で寝言を言えば誰だって起きるゾイ。一緒に起きた檸檬ちゃんが止めに入ったが、わしはそれを振り切ってここに来たんだゾイ。」
富士見:「・・・・・。」
じーさんは、何も言わない俺に対して肩を優しくポンと叩いた。
「水臭いゾイ!富士見君。わしらは同じ任務でこの星に来た仲間ゾイ!!ぬっと出てきたわしに女の子のように驚いたなんちゅう恥ずかしい過去以外は、全部わしらに曝け出せい!!」
それを聞いた俺は、涙が溢れそうになったが女の子がいる手前カッコつけたかったので急いで涙をぬぐった。
「ああ、ああ!そうだったすまなかったな。じーさん!!」
「(*^皿^)b」
「ところでじーさん。少し気になったことがあるんだが。」
「ん?なんゾイ?何でも言うがよいゾイ。」
俺は、先程までじーさんがロボットであるにも関わらず、充電らしき充電をしていないのに自力で動けていたこと、この集落に来た時に話した息子がいたという会話で引っ掛かりを覚えていたので、それをもい切って打ち明けた。すると、じーさんは安堵とも不安ともとれるなんとも複雑怪奇な表情をしていた。
「ようやくその質問をしてくれたか。」
「?」
「実は、ワシは世界で初めて人の魂を原動力にして動くロボットして開発された第一号なのだゾイ。」
次回更新は五月二十二日です。




