第六話 飛竜狩り-1
「すげー断面! 真っ直ぐ斬れてる上に焼け焦げてるぜ。今のがさっき言ってた煉術か!?」
斬り落とした巨大な首を片手で掲げ、しげしげと断面を物色しながらテトが眩しい視線を寄越す。
「まぁ、そうだ。元々はただの剣術だったんだけどな」
へぇ、と不思議そうに目を丸くするなり、テトはあろうことか自分の顔の五倍はある岩トカゲの頭でリフティングをし始めた。無邪気そのものの笑顔。猟奇的な絵面に俺もマリアもドン引きする。
「テト君、それ大事な素材だからやめて。新種なんだよ一応」
「はーい」
この火山地帯はルミエールにとって全くの未踏破領域。出会う存在全てが新種というわけだ。持ち帰れるものは厳選して、なるべく多くの種類を少しずつにしなければならない。
「狂戦士が一、二、三人。うん、今更だけどパーティーバランスめちゃめちゃ悪いね」
笑いながら言われる。心外だ。「心外です」とマリアが同時に目を細め、テトはなぜか照れている。褒められてないぞ。
「ま、面白いからオッケーだよ。陣形は私が支えるから、三人はなんにも考えずに攻撃していいよ。ただし、一つだけ約束! 攻撃するのは、私達に気づいたモンスターだけ。いい?」
「オッケー!」
「まずは環境調査ね。マッピングしていきながら、気候、自生植物、地質なんかを調べたりサンプルをとったりするの。三人とも初めてだよね」
「えぇ〜、つまんねー」
「文句言わない。討伐だけがウォーカーの仕事じゃないんだよ。土や植物をほんの一瓶持ち帰るだけで、討伐何十体分もの情報になることだってあるんだから」
ぶーたれるテトに、内心俺も同感だ。そういう面倒な作業は、そういうのが好きなウォーカーに任せればいい。たとえば、アイツとか。
「ハルもいたらよかったわね」
「……まぁ、次の特別クエストには三人で来ればいいさ」
「三人だけで? どうやって」
「できるだろ。俺たちの誰かが《荊》になれば」
目を丸くしたマリアは、「それ、いいわね」と口の端だけで笑った。傍目にはわかりにくいが、これはけっこうテンションの上がっている顔だ。
背嚢を背負い直し、俺たちは行動を開始した。
赤褐色の地面を踏みしめ、山頂を目指して岩だらけの道をしばらく歩くと、空から埃っぽい色をした雪が降り始めた。ルミエールという快晴の国で暮らしている俺は、空から何かが降ってくるという現象そのものが無性に懐かしく、思わず足を止めた。
「雪……こんなに暑いのに?」




