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《けもみみシリーズ一覧》

【けもみみ番外】こずえちゃんはサムライ?~こずえちゃんにVRでサムライになれるゲームを体験してもらいました

作者: 賀茂川家鴨

挿絵(By みてみん)

イラスト・著作:賀茂川家鴨


 僕、麦野むぎのこずえは、は、キャンパスさんの喫茶店で、メディアちゃんと一緒に緑茶を飲んでいました。すると、ディエスさんがやって来て、歴史を知るために役立つかもしれないものがあるというのです。僕はてっきり本だと思いましたが、なにやら怪しい機械を渡されました。ディエスさんによれば、サムライを体験できるゲームだそうですが……侍じゃなくてサムライらしいです。だいじょうぶかな?

 -・ ---・- -・-- ・-・-- ・-・-・・

 このおはなしは、『けもみみさんとあそぼう!!』の番外編です。

 時系列は、本編#1の後です。

 番外編では、登場キャラクターの紹介を、かなり、はしょっています。

 また、ちょっぴりネタバレがありますので、さきに本編を読んでおいたほうが楽しめると思います!


~登場キャラクター~

 麦野むぎのこずえ(こずえちゃん) 探検服に麦藁帽子をした、ヒトの女の子らしいです。たぶん。

 フェリス・メディア(メディアちゃん) りんごが大好きで、ねこの獣耳をした女の子です。とっても力持ちです。

 フェリス・キャンパス(キャンパスさん) 木造の喫茶店にいる、エプロン姿をした、ねこの獣耳をしたお姉さん。料理上手です。

 ディエス(ディエスさん) ニジイロチョウの羽を研究をしているスタイルのよいお姉さんです。普段は黒いスーツを着ています。


~その他~

 2019/02/17 加筆・修正

 2019/04/12 マグネットに転載予定

 僕は、青空の広がる朝、キャンパスさんのお店で、緑茶を一口すすりました。、

 木造のお店の中には、もわもわと湯気が立ち込めています。

「ふー、ふー」

 メディアちゃんは湯のみに息をふきかけて、緑茶を冷まそうとがんばっているみたいです。

「いやぁ、お客さんが毎日来てくれてうれしいよぉー」

「こちらこそ、いつもありがとうございます。タダでいただいてばかりでいいんでしょうか? 僕も何かお手伝いしますよ」

「いーの、いーの。こうやってみんなとお茶するだけで楽しいからねぇ」

「そ、そうですか……? うーん……いいのかな?」

「あれ?」

 メディアちゃんの獣耳がぴくりと動きます。

「こずえちゃん、誰か来たよ。お客さんかな?」

「邪魔するよ」

 ディエスさんがダンボール箱を持って、お店にやって来ました。


   *


「はぁ、おもかった」

 ディエスさんは、机を挟んで、向かいの席に座りました。

 木のテーブルには、重そうなダンボールが置かれています。

「なあ!」

「は、はいっ?」

 ディエスさんは身を乗り出してきました。

 メディアちゃんは僕の隣で、まだ、ふーふーしています。

「キャンパスから聞いたけれど、歴史が知りたいんだろう?」

「はい」

「なら、これを使ってみるといいよ」

「もしかして、歴史書ですか?」

「いや、ゲーム」

「えっ、ゲームですか?」

 ディエスさんはダンボールに貼られたガムテープをはがそうとがんばっています。

「あれっ。と、とれない……」

「ボクに任せて! すーっと……」

 メディアちゃんは、爪で、すーっとガムテープを切り裂くと、ダンボールのふたを力任せにこじあけました。

「できたよ!」

「メディアちゃん、ありがとう」

 メディアちゃんの獣耳の後ろを撫でると、尻尾をぴんと立てて頭を寄せてきます。

「うみゃ……」


   *


 ディエスさんは、ダンボールから、ごついヘルメットのような眼鏡を取り出しました。

「なにそれー! きかい?」

「いや、ゲームだってば……。ちょっと古いけど、ちゃんと動いたよ。サムライを体験できるゲームなんだ」

「えっ。侍ですか……?」

「侍じゃない。サムライだ」

「さ、さむらい」

「サムライ」

 メディアちゃんがキラキラした瞳で、僕のほうを覗き込んできました。

「ねえねえ、こずえちゃん。ゲームってなに?」

「簡単に言えば、あそびのこと……かな?」

「サムライは?」

「ええっ。さ、サムライは……えっと……わかりません。たぶん」

 きっと僕の知っている侍とは別物のような気がします。

「そうなんだ。僕もこずえちゃんとゲームしたーい!」

「まあ待て、これは1人用だから、順番な。じゃあ、これ、かぶってみて」

「えっ。重くないですか?」

「いや、これは大して重くないんだけど、付属品がおもいのなんの」

「わかりました」

 ごつい機械を被ります。あまり重くはないみたいです。普通の眼鏡のように、前が見えます。

「そんでもって……。あっ、コンセント借りていいかい?」

「どうぞぉー」

「ありがとう。じゃあ、こうして……」

 ダンボール箱から伸びだ線が、コンセントにさされました。

「ねえねえ、こずえちゃん。コンセントってなに?」

「交流の電りゅ……えーっと。機械を動かすときに、電気をとるためのプラグっていうものがついていることがあるんだ。コンセントは、プラグをさしこむための穴なんだよ。でも、コンセントに電気が届いていないとだめなんだけどね」

「うーん……? きかいを動かすのに必要なときがあるんだね?」

「そういうことだよ」

 ディエスさんによれば、まちとは違って、自然豊かな場所の電線は地中に埋められているといいます。遠くのまちにある大きな発電所が、この辺りの電力をすべてまかなっているそうです。まだ僕は見たことがありませんが、普段は機械が全部管理してくれているといいます。ディエスさんは、ときどき発電所や工場の点検をしにいくそうです。

「で、スイッチを入れる、と。えーと、これだっけ?」

 ディエスさんは、ダンボールの中に手を入れて、ごそごそと何かを動かしています。

「わっ、なんかでてきました!」

 軽快な三味線と太鼓の音楽とともに、木の棒が表示されました。

「棒きれが見えたら、持ってみて。握るふりでいいから」

 僕はホログラムの棒を握ります。あんまり握った感じがしませんが、ちゃんと僕の手の動きに付いてきます。

 メディアちゃんが僕の手をつんつんしてきました。

「メディアちゃん、危ないよ。たぶん」

「うみゃ?」

 メディアちゃんはうずうずしながら、僕を見守ります」

 ふと、画面が切り替わって、左右に瓦屋根の建物が生えてきて、でっかくて、ものものしい赤鬼さんがでてきました、

 まだ遠くのほうにいますが、ずしり、ずしりと、建物を踏み潰しながら、こちらにゆっくりと迫ってきます。

「ひえっ」

「なんか怪物が出てきたら、斬ってみて」

「ええっ、怪物がいるの? こずえちゃんがあぶない! ボクがなんとかしなきゃ!」

「いやぁ、ゲームだからね、これぇ」

「……うみゃ?」

 メディアちゃんが立ち上がるのを、キャンパスさんが肩をおさえて制止します。

「メディアちゃん。これは、あそびどうぐだから、怪物さんがいるように見せかけているんだ。実際に怪物さんが出ているわけじゃないよ」

「そうなの?」

「うん。だから心配しなくてもいいよ」

「わかった!」

 僕はホログラムの棒きれを握りしめ、迫り来る赤鬼さんと向き合いました。

 赤鬼さんは、お腹の底まで響くような雄たけびを上げています。

「こ、こっちにこないでください!」

 ホログラムの棒きれを振り回すと、打撃音とともに、赤鬼さんがふらつきます。

 遠近感がよくわかりません。

「えいっ、えいっ!」

 赤鬼さんは怒って金棒を振り回しましてきます。

「ひええっ」

 金棒はとっても長くて、僕のいる場所まで届くようです。

 棒切れで防ぐと、小高い音とともに、金棒を弾くことができました。

 赤鬼さんの隙を突いて棒切れを叩き込みます。

 すると、赤鬼さんはまた怒って、懇望をさっきよりもすばやく振り回してきます。

 僕は難なく受け流しました。

「……うーん?」


   *


 僕はごつい機械を取り外して、机に置きました。

「終わりました!」

「そうかい。で、どうだった?」

「赤鬼さんがかわいそうになってきました!」

「そ、そうか。まあ、ゲームだから、多少はね?」

「でも、ちゃんとクリアできましたし、楽しめました。ありがとうございます」

「あはは、まさか1回でクリアされるとはね、びっくりだよ。これ、けっこう難しいんだよ?」

 メディアちゃんが僕にとびついてきました。

「さっすがこずえちゃんだね!」

「えへへ、そうかな……」

 ディエスさんは頬杖をついて、うさぎさんのビスケットの耳をかじりました。

「じゃあ、交代するか?」

「いや、ボクはいいや。キャンパスさんにやってもらってよ。こずえちゃん、とっても楽しそうだったよ。でも、ボク、こずえちゃんが遊んでいるのを見ているだけで、ちょっぴりさみしかったから」

「メディアちゃん……」

「キャンパス、ボクの代わりにやる?」

「んー、わかったよぉ。やってみるねぇ」

「じゃあ、はい!」

 メディアちゃんはきかいを持ち上げて、キャンパスさんの頭にかぶせました。

 ディエスさんがキャンパスさんにゲームの説明をします。

「それぞれステージがあって、攻略方法が違うんだ。説明書にも書いてあるんだけど、1面は大江戸ステージで、赤鬼が出てくる。2面は遺跡のステージで、宇宙船が出てくるんだ。3面は荒廃した都市のステージで、突然変異した怪物がわんさか出て来るんだよ。全部やってみたけど、3面はどうやってもクリアできなかったんだ。エンドレスモードかな? で、さっきは1面をやってももらったけど、どれにする?」


   *


 メディアちゃんは僕の手首に尻尾をくるくると巻きつけて、頬を寄せてきました。

「よしっ。こずえちゃん。お外で、おにごっこ? しよう!」

「お、鬼……。メディアちゃん、足、速いからなあ。じゃあ、今日は僕が鬼をやるよ」

「へっへーん。負けないよ? いこう!」

「うわあっ」

 メディアちゃんに腕を引っ張られて、外に連れ出されました。

 Q.これ、何時に書いたの?

 A.深夜2時。

 Q.タイトルが長いよ?

 A.「~」の下はサブタイトルです。

 Q.続きはまだ?

 A.#2は完結しました。シリーズ一覧からご覧下さい。

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