第3章 カルナディアへ★1★
今日はアルヘイムを出発する日だ。昨日は何処に観光に行っても「竜王祭優勝のユウキさんだ!」「魔族からアルヘイムを守った英雄様よ!」等と人だかりができてしまい、観光どころではないので早々とカルナディアに向けて出発することにしたのだ。聖女様から引き留めようと色々動かれても困りそうだという思いもあったのだ。
「それでは皆さん宜しいですか?出発しますよ!」
ルナさんが皆に出発して良いか確認する。ゴエモンさん達は特に大きな荷物などなく、アルヘイムに来るときも魔物を狩ったり魚を捕ったりしながら来たらしい。俺は準備万端でないと気がすまないタイプなのでゴエモンさん達みたいにふらっと旅に出るみたいなことは出来ない。まだアイテムボックスに食料もあるしお気に入りのサンドイッチとコーヒーは昨日追加で買えるだけ買っておいたのだ。旅の人数が増えたのでそこら辺は大丈夫だ。出発してからゴエモンさんが酒を買ってなかったと騒ぎ、俺がアイテムボックスを持ってるのを良いことに果実酒を一樽買った。
「ユウキ、これもアイテムボックスにしまっておいてもらっても良いかの?」
「初めからそのつもりですよね?こんな大きな樽を載せたら狭くなりますし‥‥」
「折角のスキルだ、使わないと勿体ないだろ?それに食料は道中いくらでも捕れるが酒は買うしかないだろう?」
「まぁそうですけど‥‥」
結局ゴエモンさんに上手く言い負かされ酒樽を1つアイテムボックスへしまった。
道中はユキネさんがミネアにユーリさんとサリーちゃんの事を色々聞いていた。やはり二人の事が気になるらしく、ミネアは渋々俺の嫁候補になることを了承したようだがユーリさんとサリーちゃんをどうやって納得させるか二人で考えているようだ。
「ユウキも大変だの。モテる男は辛いな」
ゴエモンさんは笑いながら言うが実際魔神の事よりも大変そうな気がする。
「笑い事じゃないですよ。ゴエモンさんがユキネさんを俺の嫁にってけしかけたんですから」
「嫌なら断れば良いだろうに。でもユキネの魅力に満更でもと言った所だろう?」
確かにユキネさんは俺との試合が終わった後から胸を隠すように巻いていた晒を今は谷間を強調するように巻いている。俺が胸が大きいのを好きと思っているのか、世の男性に効果的と知っていてやっているのかはわからないが会った時よりも女性フェロモンが出まくっているのがわかる。
「あれだけ綺麗だとそうなりますよ‥‥」
「まぁ親代わりの儂から言えるのは、ユキネだけをひいきしろとは言わん。ただ幸せにしてくれればそれでいい。それだけだ」
「わかりました。自分の出来る限りの事はしますよ」
「頼んだぞ」
ユキネさんとミネアには聞こえないように話をしていたが、ゴエモンさんが頭を下げた事でユキネさんとミネアが気になったらしく何を話していたか聞いてきたが、ゴエモンさんは大したことではないとはぐらかせていた。
しばらく馬車を走らせ辺りは段々と暗くなってきた。川沿いの開けた場所を見つけて野宿することにした。俺のアイテムボックスから出した食事を食べながら話をしていた。
「ねぇユウキ、今日もあれ出すんでしょ?」
ミネアは風呂の事を言っているんだろう。
「そのつもりだけど」
「あれって一体何なんですか?」
「それは後のお楽しみよ」
ミネアはユキネさんにそう言って驚く顔がみたいようだった。夕食を終えた後俺は風呂を寝る場所から少し離れた場所に出した。




