第3章 竜王祭閉幕★2★
ゴエモンさん達と食堂で話をしているとミネアが遅れてやって来た。
「ごめんごめん。ユウキが無事だってわかったら気が抜けちゃって寝過ごしちゃった」
「気にするな。皆無事だったのだ」
「それで結局この後はどうなるんですか?」
俺が優勝でミネアが準優勝なったと聞いたが後は帰って良いのか気になった。
「例年であれば決勝の後に表彰式をするんだけど、今回はユウキが目を覚ましたら連絡を欲しいって聖女様のお付きの人から言われてるわ」
「大々的にはやらんだろうな。聖女が表彰したついでにあの魔族の事を詳しく聞きたいと言った所だろう」
「やっぱりそうなりますよね‥‥」
余り堅苦しいところは好きではないが魔族が大会に乱入してきたのだ。国のトップとしては事情を把握しておかなければいけないのだろう。
「じゃあ朝食が終わったら聖女様の所に行きますか‥‥」
「あからさまに嫌そうな顔をしているな?まぁわからなくもないがの」
「ユウキさん、私と師匠も付いていきますので。ユウキさんの関係者という事で同行の許可は貰っていますから」
少しでも知り合いが一緒に行ってくれるので気持ちは幾らか楽になる。俺達は朝食を終え魔法国家本部の教会へ向かった。
「あの‥‥聖女様に面会に来たのですけど」
俺は入り口の魔導師に話しかける。
「冒険者が聖女様に面会など‥‥‥!あ、貴方は竜王祭の優勝者のユウキ様ですね。今聖女様に面会の許可を頂いてきます。中に入りお待ち下さい」
俺達は待合室的な部屋に案内され聖女様との面会を待った。入り口から此処まで調度品の数々が飾られており、聖女様も贅沢をしているのだろう。これで質素な生活をし毎日神に祈りでも捧げていれば尊敬出来たのだがやはり権力を手にしたものはこうなってしまうのだろう。
「お待たせしました。聖女様のご準備が出来ましたので案内いたします」
俺達は案内され聖女様のいる部屋に入った。見た目は二十歳そこそこの女性だが身に付けている服は如何にも高そうできらびやかな宝石も身に付けている。
「よく来てくれましたカルナディア国代表の優勝者ユウキさんと準優勝者のミネアさんですね。今回は予想外の出来事で表彰式がこんな形になってしまってすみません。これが優勝と準優勝の証です。受け取ってください」
お付きの魔導師が箱を渡してくれた。俺の箱には竜の紋章が入った指輪が、ミネアには素材が違うが同じ指輪が入っていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
竜王の指輪
ランク:S
竜王祭の優勝者の証。オリハルコンで出来ており装備した者はステータスがかなり上昇する
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
竜の指輪
ランク:A
竜王祭の準優勝者の証。ヒヒイロカネで出来ており装備した者はステータスが僅かに上がる
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
何時あの魔族が来るかもわからないのでステータスが上がるアイテムが手に入ったのはラッキーだった。
「話は変わるが試合中に乱入してきてイース国のフェミニを殺した者の事を教えてほしい」
ようやく聖女様も本題を切り出してきた。俺は鑑定をしたことは言わずルシフェルが自分で話したことにして正体を教えた。
「やはり魔族でしたか。しかも魔神のルシフェルとは‥‥‥他にも何か言ってませんでしたか?」
「実験がどうとかって言ってました。何かのアイテムをフェミニさんに使わせて実験していたみたいです」
「近いうちに魔族の間で何か有るかもしれないですね‥‥ユウキさん、もし良ければ私に使えてみる気はありませんか?神様から貴方と共に聖地アルヘイムを守りなさいとお告げがあったのです。了解してくれますね」
「すみません、予定が色々とあるので遠慮させていただきます」
「そうですね。神の御告げですから‥‥‥‥今断りましたか?」
「はい、そうですけど」
「この世界の偉大なる神ゼウス様の御告げですよ!」
「魔族の事以外にもやらなければ行けないことが有りますので申し訳御座いません」
俺はそう言って席を立ち部屋を後にする。ミネア達も俺の態度に慌てていたが後をついてくる。俺は喚いている聖女様に一言話してから部屋を出る。
「因みにこの世界を管理しているのはゼウスではなく女神のエリスですよ」
俺の言った言葉に少し驚いていたがそのまま部屋を後にした。




