第3章 竜王祭二日目★10★
クレアさんの体がうっすらと輝き光の魔力を感じる。魔力闘衣と違い何か補助魔法みたいなものを使っているようだ。クレアさんはそのまま攻撃を仕掛けてくる。速さも先程と同じくらいなので何が変わったのかと思いながら攻撃を避けたはずだった。俺は吹き飛ばされ口の中に血の味がした。確かに攻撃はかわしたはずなのに何故かダメージを受けている。
「形勢逆転のようですね」
上から目線でクレアが言ってくる。耳をピンと張り何処か誇らしげな表情だ
「じゃあ続けるよ」
クレアさんはまた攻撃をしてくる。爪で攻撃をされてはダメージが多すぎるので確実に避けないといけない。先程と違い紙一重でなく少し余裕を持って避ける。しかし避けた筈なのに今度は腹部を蹴られた感触がして俺は吹き飛ばされた。
「貴方、全力でやってないでしょ?前の試合で見せた技や魔法も使わないし、何よりその腰に下げた武器を抜こうともしないじゃない!」
「流石にこれ以上食らうのはきついですね。俺のポリシーで相手の土俵で戦って勝ってこそ強さを証明出来ると思うので、けして相手をなめたり何かしてませんからね」
「その考え嫌いじゃないわ。でも後で全力を出していないから負けたとかって言い訳はしないでよ」
「勿論ですよ」
再度クレアさんが攻撃してくる。今まで食らった攻撃は全て見えなかったが、速くて見えなかった訳ではない。確実に見えない攻撃をしているのだ。そこで俺は1つの仮説をたてた。何故光の魔力をクレアさんから感じているのか、クレアさんが最高の技と言っているからにはその光魔法が関係しているはずではないかと。俺はあえて目に見える攻撃を避けないでみる。もしそのまま食らってしまえばダメージを食らってしまうが、俺のたてた仮説が正しければダメージは食らわないはずだ。振り下ろされた爪を俺はそのまま受ける。するとその攻撃は俺の身体をすり抜けていく。そよあと俺の腕に爪で切り裂かれた感触がしてダメージを受けた。防具がない箇所を狙って攻撃をされダメージを食らったようだ。俺はクレアさんから距離を取る。仮説が当たっていたと確信したからだ。
「やっとわかりましたよクレアさん」
「わかったって、一体何が?」
「見えない攻撃の正体ですよ。クレアさんは光魔法で光の屈折率を変えて蜃気楼のように見せていたんですね?だから最初の攻撃は当たらず、その後避けたのと同じ攻撃を食らったんだ」
「ご名答。流石ね、でもわかったからと言ってかわせなければ意味は無いわよ」
「それならご心配なく。対処法もわかりましたから」
「それならば見せてもらおうかしら!」
クレアさんが攻撃をしてきたが俺は身体に魔力を纏わせる。ただいつもの魔力闘衣と違うのは属性を付与していないことと、纏う魔力を自分の体から1メートル程まで広げている。かなりの魔力を使うが俺の魔力に攻撃が触れればわかるはずだと思ったからだ。一撃目の攻撃の後、俺の魔力にクレアさんが攻撃してきたのがわかりその攻撃を掴んだ。すると始めに攻撃をしてきたクレアさんは消え、俺に腕を捕まれたクレアさんが姿を表した。
「なっ、は、離せ!」
「もう同じ攻撃は通じませんよ。それでも続けますか?」
「私の技が見切られたら貴方に敵わないのはやってみてわかったよ。降参するよ」
「クレアさんの降参により勝者はカルナディアのユウキさんです」
俺は無事決勝まで進むことが出来た。後は問題のフェミニさんとの試合を控えたミネアの番だ。




