第3章 竜王祭二日目★6★
俺とミネアは順調に勝ち準決勝に進むことが出来た。次はゴエモンさんとイース国代表のフェミニさんだ。フェミニさんは俺の鑑定のスキルでもステータスを見ることが出来ず、しかも時間を止めてるとしか考えられないようなスキルを使っている。
「ゴエモンさん、勝ってくださいね!」
「まぁ、やれるだけのことはやってみるが考えた対策が効かない時はお手上げだがな」
ゴエモンさんは笑いながら試合場に上がっていく。
「では準々決勝最後の試合です。日の本の国代表のゴエモンさんとイース国代表のフェミニさんです」
試合場に上がってきたフェミニさんを見て少し違和感があったがどこでそう思ったのかがわからない。
「それでは試合始め!」
ゴエモンさんは直ぐに刀を抜き闇雲に刀を振るっている。
「貴方はおかしくなったのですか?日の本の国の冒険者もたかが知れてますね。直ぐに終わらせてあげますよ」
フェミニが話を終えたと思ったら急に体の至るところから出血している。
「やはりお主は時間を止めているようだな」
「くっ、貴様一体何を?」
「自分の手の内をわざわざ教えるわけなかろう」
「ねぇユウキさん。師匠は一体何をしたんですか?あのフェミニさんも急に体中から出血してダメージを受けているようですけど」
「ユウキはわかるの?」
ユキネさんとミネアが俺に聞いてくる。多分ゴエモンさんは自分の剣術と風魔法を使い、刀を振るっている時に斬撃のトラップを仕掛けたんだと思う。刀で切ったところに真空の刃を残し、自分の周りに見えない刃のトラップを設置したのだろう。風魔法と剣術の極みを持ってして出来る芸当だ。もしフェミニさんが時間を止めてゴエモンさんに近付いて攻撃しようとすればダメージを受けてしまうはずだ。俺は自分の見解を二人に教えた。
「流石師匠です」
「やるじゃない、あのオッサン」
俺達が話している最中、フェミニさんもゴエモンさんに話しかけていた。
「何か見えない刃が当たったような気がしたのですが、貴方は動いていなかったはずですし‥‥‥何か見えない攻撃を使ったみたいですね。それも設置型の技か何かを」
「当たらずしも遠からずと言ったとこかの」
「それではこれならどうでしょう」
フェミニさんは同じ国のネフィルさんが使った黒い霧を出す魔法を使った。だが会場が見えなくなる程ではなく、うっすらと黒い霧が覆う位だがゴエモンさんの周りは仕掛けた斬撃のトラップが見えた。
「それが正体ですか。1回戦と同じく腕でも切り取ろうとすれば逆に私が切断されていたようですね。でも仕掛けが解れば意味がありませんね」
ゴエモンさんのトラップの正体を暴いたと思った瞬間、今度はゴエモンさんの肩口にいつの間にかフェミニさんが持っていた短剣が刺さっていた。
「要は近づかなければ良いだけの話です」
フェミニさんがそう言った瞬間、今度は太腿から大量の出血をしている。
「そろそろ降参したらどうですか?私も飽きてしまいましたし」
「最近血が有り余っておってな。丁度いいわい」
ゴエモンさんは中々降参をしない。いくら試合場を出れば怪我は治るといっても傷を受けたときの痛みは変わらない。ゴエモンさんは俺達の方を見て何か訴えている。きっとフェミニさんを倒す策を俺達が考え付くように何度も技を食らってくれているようだった。
「ゴエモンさん!大丈夫です!俺達が何とかして見せますから!」
「くっ、後は将来有望な若者達に任せるとするか」
そう言い残しゴエモンさんは前のめりに倒れた。
「勝負あり!勝者はイース国のフェミニさんです」
俺は直ぐ様試合場に上がりゴエモンさんを抱えて観覧席に戻った。俺達をあきれた顔で見るフェミニさんを見て試合前に感じた違和感が何かわかった。




