第3章 竜王祭二日目★3 ★
俺が魔力闘衣を使い更に天照に風の魔力を流して放った斬撃はとてつもない威力で、ユキネさんがかわさなければ真っ二つに切り裂いていただろう。斬撃の威力でユキネさんが放ったウインドカッターもわけなく切り裂き、無傷でユキネさんの技を防いだ。
「俺は無傷で防いだぞ」
ユキネさんは俺の放った斬撃の威力に驚き目が点になっている。
「おーいユキネさーん」
「はっ!今のは‥‥‥咄嗟に避けたからよかったけどまともに食らったら‥‥」
流石にユキネさんも食らったらどうなるかわかっているようだ。しかし俺が魔力を纏ったことまでは気付いていないようだ。
「さぁユキネさん、構えてください。ユキネさんの全力の技を見せてもらったお礼に今度は俺の全力の技をお見せします」
「さっきのじゃないんですか?」
「あれは咄嗟に防ぐためにやっただけで‥‥‥」
「咄嗟にって‥‥何処まで常識外れなんですか」
「そんなに誉めないでくださいよ」
「誉めてないです!」
「えっ?そうなんですか?そんな事より行きますよ」
俺は魔力闘衣で雷の魔力を纏う。バチバチッと俺の身体から放電をしている。そのまま天照にも雷の魔力を流す。
「ま、魔力を纏っている!それだけじゃない、刀にまで魔力が!」
ユキネさんは俺が魔力を纏っているのを見て驚いている。無理もないだろう。各属性の魔力を纏うなんてこと出来たものが今までいないのだから。観覧席の冒険者だけでなく観客も息を飲んで見ている。
俺は刀を返してユキネさんに向かって飛び込みなぎ払う。勿論峰打ちだ。俺が飛び込んだのを目で追える者はおらず、それこそ消えたように見えただろう。攻撃を受けたユキネさんは吹き飛ばされ雷の追加ダメージまで受けている。俺は魔力闘衣を解きユキネさんを見ると、雷のダメージで着ていた服から巻いていた晒しまでボロボロになっており、今にも晒しを破り大きな胸が溢れそうになっていた。すぐさま俺はマントを外しユキネさんに掛けた。
「しょ、勝負あり!勝者はユウキさんです」
俺はユキネを抱き抱え観覧席に戻り念のためヒールをかけておいた。試合場から出ればダメージは消えるのだが自分の攻撃で気を失っているので心配になったからだ。
「ちょっとユウキ!今のは一体?雷の魔力が身体を覆っていたわよね?」
「確かに、その前の攻撃も風の魔力を纏っていたようにも見えたのしゃが‥‥‥」
「あれは魔力闘衣というスキルで各属性の魔力を纏うことで身体能力を上げたりすることが出来るんです。雷属性だと速さが増したりとか。因みにこの天照も魔力を流すことで色んな効果があるんですよ」
今のところ雷属性の俊敏上昇と炎属性の筋力上昇しか効果はわからないがそう説明しておいた。風属性の効果は結局わからなかったが、あの凄い威力の風の斬撃はかなり使えそうだ。
「んっ‥‥、師匠、私は負けたんですね」
「ユキネ、目を覚ましたか。やはりユウキは強かっただろう?」
「‥‥はい。全く手も足も出ませんでした。剣の道の頂を見たような気がしました」
「そうか、目指すべき頂がわかったのだ。儂も今以上に稽古しなければな」
「ユウキさん。約束通り私は貴方の妻になります。見た目だけでなく強さまで兼ね備えてまさに私の理想なのです。私が剣の道を学んで来たのは貴方に会うためだった気がします」
まさかいきなり逆プロポーズされるとは思ってもいなかったので驚いていたら、ミネアが声を上げた。
「ちょっと何で行きなりあんたがユウキと結婚することになってるのよ!」
「前に言ったではないですか。私に勝ったら嫁にでもなんでもなってやると。それに私はユウキさんのことがタイプですし。他に何人奥さんがいようと構いません。私がユウキさんを好きなことは変わらないのですから」
「それは私だってそうよ!ユウキを好きな気持ちは誰にも負けないわ!」
「モテる男は辛いな。ユウキ、ユキネを幸せにしてやってくれよ」
「ふざけないで下さいよゴエモンさんまで」
ゴエモンさんは俺を見てニヤニヤ笑いながら俺の背中を叩いてきた。




