第3章 竜王祭二日目★1★
翌日は誰も二日酔いになることもなく朝食を食べに来ていた。ゴエモンさんはかなり飲んでたみたいだが朝からかなり元気だ。心配だったユキネさんもキュアが効いたみたいでこれで万全の体調で勝負ができる。食事を終えて馬車に乗り込もうとするとユキネさんが俺のマントを引っ張って来た。
「どうしました?」
「昨日はありがとう‥‥でも今日の試合は別だからね」
「わかってますよ。お互い悔いの無いよう全力で勝負しましょう」
昨日ほど睨まれたりはしなくなったが、その分ユキネさんが目をそらす事が多くなった。みんな馬車に乗りコロシアムに向かいながら話をしている。
「ゴエモンさんはフェミニさんの対策は決まりましたか?」
「まぁやってみて駄目ならお手上げじゃがな」
ゴエモンさんはフェミニさんの謎の技の対策はあるようなのでお手並み拝見といきたいところだ。コロシアムに着いた俺達はそのまま観覧席に向かった。他の出場者も来ており昨日負けた人達も決勝まで観覧席で見れるようで席に座っていた。しばらくすると司会のカノンさんが話始める。
「さぁ竜王祭二日目となりました。昨日の白熱した試合の興奮も冷めやらぬなか、今日はどんな試合を見せてくれるのでしょうか?私は早速ユウキ君のファンクラブが出来たとのことで入会をしてきました。ユウキ君頑張ってね!それでは準々決勝を始めます。クレメンス国代表のルージュさんとウェルズ国代表のクレアさんです」
2人と1匹が試合場に上がっていく。ルージュさんのテイムしているサーベルウルフがクレアさんを威嚇しているが、クレアさんが睨み付けると急にルージュさんの後に隠れた。クレアさんは獣人なので獣としての強さを感じとり自分より格上だと感じ取ったらしい。
「それでは試合始め!」
ルージュさんとサーベルウルフは離れてルージュさんを囲むように場所を取る。ルージュさん達は基本サーベルウルフが戦闘のメインになる。サーベルウルフがウインドカッターを使いクレアさんはそれをかわす。
「ウォーターバレット!」
かわしているクレアさんを狙ってルージュさんは親指大の水の弾を放った。威力はそれほど高くはなさそうだがかなりの早さでクレアさんに当たった。
「くっ、かわしたところを狙ってくるか、流石ルージュだね」
それから何度も同じように、クレアさんがサーベルウルフの攻撃をかわしたところをウォーターバレットで狙われ着実にダメージを与えていった。
「そろそろ諦めたらどうですか?私達の連携の攻撃をかわせないでかなりのダメージを受けているようですし」
「ルージュのウォータバレット程度ではまだまだよ。1度に何発も撃たれたら厳しいけどね」
「まだ降参しませんか、わかりました」
再度サーベルウルフがクレアさんに攻撃をしそれをバックステップでかわしたところにルージュさんは先程と違う魔法を放つ。
「ウォーターマシンガン」
先程と違い数十発水の弾がかわしたクレアさん目掛けて放たれた。勝負を決めに行ったルージュさんだがクレアさんはサーベルウルフの首を掴み後に投げ飛ばす。ルージュさんの放ったウォーターマシンガンが投げられたサーベルウルフで防がれクレアさんに当たることはなかった。
「ウルフ!」
自分の放った魔法でサーベルウルフにダメージを与えたことに動揺した隙をクレアさんは見逃さなかった。ルージュさんに走りだし爪を首もとに当てた。
「勝負あったかな?」
「そ、そうね。私の負けよ。ウルフがいなければ勝ち目は無さそうだしね」
「勝負あり!ルージュさんの降参で勝者はクレアさんです!」
クレアさんは言葉巧みに強力な魔法を使うように煽り見事に同士討ちさせるよう演技をして見せた。戦闘に関してはクレアさんが一枚上だった。




