第3章 竜王祭★20★
前日のお昼に前話の投稿が途中の状態でされた為、夕方前に直しております。まだの方はそちらを見てからにして頂けたら助かります。ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。
鑑定が上手く出来ないなんてことは初めてだ。シヴァさんは出来ているのでフェミニさんが何か隠蔽できるスキルやアイテムを持ってるのかもしれない。
「それでは試合始め!」
シヴァさんはアルヘイムの1級魔導師なのでわかるが、フェミニさんはどんな戦い方をするのだろうと気になった。シヴァさんが何かの魔法を使おうとした時だった。フェミニさんも何かの魔法を使おうと手を出すと姿が消えあっという間にシヴァさんの後ろにいる。シヴァさんは気付いていないが観覧席の冒険者達の視線で後ろを振り返りやっと気付いた。しかしそこには見慣れないものがあった。何かおかしいと思いシヴァさんが魔法を使おうとした時にやっとわかった。右手で魔法を使おうとしたら激痛が走りそこでやっと自分の右腕がなく、フェミニさんが持っていることがわかった。
「くっ、いつの間に。一体何をした!」
特に返事をすることもなくシヴァさんの右腕を投げ捨てる。
俺はゴエモンさんに近づき話しかけた。
「ゴエモンさん、今の動きわかりましたか?」
「ユウキも気づいたか、あの動きあきらかにおかしかった。動いたと言うより消えたと言った方がしっくりくる」
「ゴエモンさんもですか。あれは早く動いたのではなく確実に消えてますよ。瞬間移動したと言った方が納得できます」
俺は〔武術の極み〕のスキルはおかげで大体の動きは見切れる自信があったのだがフェミニさんはその場から消えてシヴァさんの後に現れたのだ。その際に攻撃までしている。
「転移魔法だと移動は出来ても攻撃をすることは出来ない。そもそも神様でもない限り転移魔法なんて使えるはずがない」
「となると答えは1つだな」
「はい、多分フェミニさんは時間を止める事が出来る」
「やはりそうなるだろうな。しかしそんなスキルや魔法があるなんて儂は聞いたことがないぞ」
「俺達の知らない魔法やスキルなのかも知れないですね」
時間を止める事が出来ると確定したわけではないがもしそれが本当な場合、その力を使われたら勝ち目がない。しかし時間を止めるスキルなんて物が本当にあるのか?あっても何の代償もなく使うことが出来るのか気になった。
「まだ続けますか?続けるなら今度は左腕も頂きますけど」
「ふざけないで。やれるものならやって‥‥」
シヴァさんが言い終える前に急に前のめりに倒れた。両足が膝から斬られたのだ。観客からは悲鳴が聞こえている。おそらくアルヘイムではシヴァさんはかなりの実力者なのだろうが、手も足も出ず更に腕と足まで切断される光景にショックを受けていた。
「それまで!勝者イース国代表のフェミニさん」
勝ち名乗りを受けたフェミニさんは高笑いをしながら観覧席に戻って来た。同じ国の代表のネフィルさんが駆け寄る。
「どうしたフェミニ!あんなに強かったのか!凄いじゃないか」
驚きながらフェミニの肩を叩いていると急にフェミニさんがその手を払いのける。
「初戦で負けるような弱者が馴れ馴れしくしてくるな!」
「な、何を言っているんだ?どうしたんたフェミニ?」
「黙れ!お前も腕を切り落とされたいのか?」
驚くネフィルさんを残し不適な笑みを浮かべながらフェミニさんは控え室に1人で戻って行った。
「本日の1回戦は全て終了しました。明日は準々決勝と準決勝を行います。本日の勝者は明日も頑張って下さい」
司会のカノンさんの声が響くなか、観覧席にいた人達はフェミニさんの不適な笑みが気になっていた。




