第3章 竜王祭★10★
控え室に入ると誰も居なかった。てっきり各国の代表が居ると思ったが不正やトラブルがないように国ごとに別れているらしい。
「暫くこちらでお待ちください。開会式が始まるときにお呼びしますので」
「わかりました」
暫く時間があるようなのでミネアに竜王祭の日程を確認する。
「ねぇミネア、今日は1回戦だけなんだよね?」
「うん、そうだよ。明日が2回戦と準決勝、明後日が決勝と表彰式だよ」
俺は控え室にあったコップにアイテムボックスから出したコーヒーを入れてミネアにも渡す。
「ユウキと一緒だと荷物がかさばらなくて本当に良いわね。羨ましいな、そのスキル私も欲しかったなぁ」
「スキルとか覚えるアイテムはないのか?」
「あるけども市場には殆どでないわね。ダンジョンの宝箱から希に出たりするけど、殆どがダンジョンボスを倒した時にドロップするくらいかしら」
「ダンジョンなんてあるんだ」
「殆どのダンジョンは攻略されてるからお宝はないし、魔物は出るんだけどもダンジョンボスの魔物を倒してもドロップしなくなるから、最初に攻略した人だけがドロップするんだろうって言われてるのよ」
練習や戦闘経験から覚えるスキルと違ってアイテムボックスは何か他の物からでないと覚えたりは出来ないだろう。レアなスキルと言っていたが、マサムネのお母さんが過去にも同じスキルを持った人に料理を作ってあげたと言っていたから覚える手段はありそうな気がする。もし生まれつきのスキルだったら諦めるしかないが。
「そろそろ開会式が始まるのでよろしいですか」
俺達は係の人に付いていき呼ばれたら入場するとの事だ。コロシアムの会場の入り口は何ヵ所もあり、各国の代表がそれぞれの入場口から入るらしい。俺達は呼ばれるのを待っていた。
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「さぁ、会場にお集まりの皆さん。今年も竜王祭の開催となりました。昨年はアルヘイムのマーリンさんが優勝しましたが、今年はどなたが勝ち残るのか!司会は私カノンが昨年に続きさせていただきます。それでは選手の入場です」
観客の大きな声援と共に各扉が開かれ司会のコールと共に入場を始める。
「先ずはアルヘイムから昨年度優勝の1級魔導師マーリンさんと同じく1級魔導師のシヴァさんです」
昨年度の優勝者と言うこともあり会場からの声援が凄くそれに手を振りながらマーリンは応える。
「お次はアルヘイムと同じく魔法を極める国、フェスティアより1級魔導師のスクアートさんと2級魔導師のシリアさんです」
「次は狩人の国セフィールドよりSランクハンターのレオンさんとAランクハンターのシーラさん」
セフィールドと呼ばれた男性が入場すると観客より黄色い声援が上がる。昨年も出場しており沢山の女性ファンが付いている。ハチマキをしている女性もおりファンクラブ迄あるらしい。
「どんどん続きます。次はカルナディアからSランク冒険者のミネアさんと、本大会最年少のAランク冒険者のユウキさんです」
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「呼ばれました。入場してください」
「は、はい」
開けられた扉から俺達は入場を始めた。




