第3章 竜王祭★9★
買い物を済ませ宿屋に戻るとちょうどルナさんも帰って来た所だった。
「ユウキさん、ミネアさんも今お戻りですか。何か良い買い物は出来ましたか?」
「とても美味しいサンドイッチとコーヒーのお店を見つけたのでテイクアウトを大量に依頼してきました」
「それは帰りの道中も楽しみですね。ミネアさんは?」
「私はこの髪飾りをユウキに買ってもらっちゃった」
「ミネアさんにとても似合ってますよ。それでは夕食まで後少し時間がありますから少し休んだら皆で夕食を食べましょうか。明日の激励も込めてここの主人に何時もより豪華な料理をお願いしてきますね。それでは後程」
俺は部屋に戻り明日の竜王祭の事を考えていた。余程の事がない限りは優勝出来るとは思うがその後、聖女様辺りが面倒を起こさなければ良いのだが。カルナディアのクレンスフォード家の時みたいにならないかだけが心配なのだ。もしもの時の対処を考えているとミネアがそろそろ夕食だと迎えに来た。
「ユウキさん、ミネアさん明日は二人揃って初戦突破出来るよう頑張ってください。乾杯!」
ルナさんが頼んでくれていた果実酒で乾杯をし目の前に並べられている料理を取り分ける。サラダやスープもあるがメインは何の鳥かわからないが丸焼きになっている。見た目はクリスマスに食べるターキーに近くお腹の中には香草等が詰められている。
「ミネアに教えて欲しいんだけど、竜王祭は何処の国が参加するんだ?」
「ユウキは全然知らないんだね。良い?先ずは私達のカルナディア国、そして今居るアルヘイム、後は南の砂漠の国のイース国、西の森の中にある狩人の国のセフィールド、アルヘイムと対をなす魔導師の国のフェスティア、魔物をテイムして戦うクレメンス、沢山の種族が居る獣人の国のウェルズ、最後が東の島国の日の本の国の8つの国から2人ずつの計16名が参加するのよ」
「獣人も参加するのか」
「獣人は種族によっては人間よりも基本ステータスが高いし、種族固有のスキルも有ったりするから中々厄介よ」
本物のケモミミは確かに見てみたい。種族固有のスキルは俺の鑑定があれば対処は出来るだろう。ただ日の本の国も出るとなるとやはり侍とかが出てきそうだ。もしかしたら陰陽師等も居るかもしれない。こんな大きな大会は空手の世界大会以来なので心配もあったが楽しみの方が大きくなってきた。夕食も終わり今日は早く休もうとしたのだがミネアが果実酒を沢山飲み気持ち悪がっていたので部屋まで送りヒールとキュアをかけておいた。これで明日は二日酔いに悩ませられることはないだろう。俺は自分の部屋に戻りシャワーを浴びてからベッドに入った。
翌日は何時もより早めに目が覚めた。空手の世界大会の時もそうだったが興奮していた為だ。入念にストレッチをしてからシャワーを浴び終えるとミネアが朝食の誘いに来て朝食を済ませた。
「それではそろそろ出発しますので馬車に乗ってください」
「コロシアムに向かう前に1つ寄って欲しいお店があるんですけど」
昨日のサンドイッチとコーヒーを受け取りに寄って欲しいと説明し馬車で向かった。
「おはようございます。昨日頼んだ物は出来てますか?」
「おはようございます。サンドイッチは出来てますしコーヒーも今出来たところです」
俺はミネアにも手伝って貰いサンドイッチを馬車に運ぶ。コーヒーは昨日買った容器に入れて貰う。馬車に積み終わりお礼を言って出発したら直ぐにアイテムボックスにしまった。これで何時でも温かい入れたてのコーヒーが飲めるので帰りも充実しそうだ。
コロシアムの入り口前には既に行列が出来ていたが昨日受付した場所に行くと出場者用の入り口を案内された。
「それでは私は此処までです。試合は会場で見させていただきますのでお二人とも頑張ってください。帰りは試合が終わりましたらまたこちらに馬車で来て待っていますので」
「ありがとうございます。頑張って来ます」
俺とミネアはルナさんにお礼を言ってコロシアムの受付の人に話し掛けた。
「竜王祭に出場するカルナディア代表ですけれども‥‥」
「お待ちしておりました。それではご案内致します」
受付の人に案内をされ俺達は出場者の控え室に向かった。




