第3章 竜王祭★4★
翌日以降も食事は俺がアイテムボックスから出し、夜はお風呂を小屋ごと出し疲れを癒しながら旅を続けていた。
「ミネアさん、去年の竜王祭の優勝は何処の国だったんですか?」
「去年はアルヘイムの1級魔導師のマーリンが優勝したわ」
「1級魔導師って何ですか?」
「アルヘイムは魔法国家だから冒険者のランクの分け方が少し違ってるの。1級魔導師は他の国のSランク冒険者と同じよ」
「そうなんですか。それでそのマーリンさんは強いんですか?」
「去年の大会で準決勝で戦ったけどかなり強かったんだけど‥‥‥私がユウキ君と戦った時にユウキ君が使った魔法を見た後だとマーリンの優勝は今年はないなぁって思うわね。私も去年より強くなってるから負ける気は無いけどね」
ミネアさんの話を聞く限り余程の事がない限りは優勝出来そうだと思いながらも、こんなこと考えるとフラグが立つなぁと不安も覚えていた。
カルナディアを出発して5日目ははちいさな村に泊まることになった。ルナさんの話だとこの村はアルヘイムの国の領土らしく確かに村の中心には教会らしき物があり、村の人達もローブを着ている人が多かった。
「それでは私は宿屋を手配してきます。お金は後日ライル様から頂くので大丈夫ですので」
どうやら必要経費は後でライルさんが払ってくれる事になってらしい。俺達が馬車を下り待っていると村の女性達が男性の俺に興味を持ち声をかけてくる。
「お兄さん何処から来たの?結婚してる?」
「カルナディアからだよ。結婚はまだ‥」
「このお兄さんは先約がいるから駄目よ!」
俺が答える前にミネアさんが余計な虫は来るなと言わんばかりに追い払う。初対面の男性に結婚してるか聞くのはアルヘイムでも男性が少ないからだろう。特に大きな街でもなければ結婚出来る女性は少ない為仕方がない。
「カルナディアならユウキ君も名前が通ってるから襲われる事は無いけど他の国に来ると危ないわね。こんなことなら今までと同じく野宿の方が良かったかしら」
ミネアさんがそんな話をしていると宿の手配に行っていたルナさんが戻って来る。
「取り敢えず一軒だけ宿屋はあったのですが、部屋が1つしか空いてない様なのです。大きめのベッドらしく二人なら寝れるらしいのですがよろしいですか?」
「い、良いわよそれで!」
「俺もそれで良いですよ。じゃあ何処かでご飯でも食べますか」
「その宿屋で酒場も兼ねているのでそちらで食べますか?」
「そうですね。ミネアさんもそれで良いですか?」
「‥‥‥そ、そうね」
少しミネアさんがおかしいが俺達は宿屋に行き夕食と軽くお酒を頂いた。料理はカルナディアと余り変わらず主食はパンで他はシチューやステーキ等だった。
「ご飯も食べたので俺はそろそろ馬車に戻りますね。明日の朝食も此処で食べますか?」
「ユウキさん、何を言っているのですか?確かに朝食も此方で頂こうとは思いますが馬車で寝るのは私ですよ」
「えっ?だってベッドには二人しか寝れないって言ってましたよね?」
「だからユウキさんとミネアさんが寝るんですよ。従者の私がどちらかを差し置いてベッドで休める訳ないじゃないですか」
「でも女性のルナさん一人だけ馬車で寝るなんて‥‥‥」
「こういう時は従者は普通そうですよ。それに女性よりも男性が一人で馬車で寝る方が危険ですよ。襲われたりしたらどうするんですか!あんなに旅の最中イチャイチャしていたのだから良いじゃないですか。では明日の朝食の時にまた来ますので」
そう言い残しルナさんは外へと出て行ってしまった。困った俺はミネアさんを見ると少し頬を赤くし、普段のエッチなお姉さんキャラとは対照的な恥じらいを見せるミネアさんがこちらを見ていた。




