第3章 竜王祭★3★
すっかり日も暮れ俺達は夕食を済ませてくつろいでいる。ハンバーグを出したがこれも美味しかった。
「ユウキ君、そういえば楽しい事があるって言ってたけど」
「そうでした。ちょっと待っててくださいね」
俺は馬車から少し離れ地面に手を置く。土魔法で簡単な小屋をイメージして作り上げ、中に入りアイテムボックスから大理石の浴槽を出して設置する。ちゃんと排水出来るように浴槽の底と小屋の床には穴を空けてあるし、換気用に煙突も作ってある。オーダーした給湯の魔道具をセットしお湯を入れ準備完了だ。
「ミネアさん、ルナさん中に入って見て下さい」
「いきなり魔法で小屋を作ったからビックリしていたけど、まだ他にもあるの‥‥‥ってこれお風呂じゃない!」
「本当ですかミネアさん?‥‥‥ユウキさん、最早何でもありですね」
「やっぱり疲れを癒すならお風呂かなと思って準備してみました。小屋も一度作ってしまえば、後はそのままアイテムボックスにしまえばいいし」
「確かに私もお風呂は大好きだから旅の時にも入れたら嬉しいけど、本当に入って良いの?」
「どうぞ、順番に入って下さい。周りの警戒は俺がしておきますので」
俺は給湯器の魔道具の使い方を説明した。ついでに石鹸やタオル等もアイテムボックスから出しておいた。街をぶらぶらした時に買っておいた物だ。
「じゃあお言葉に甘えて」
ミネアさんが先に入り次はルナさんが入った。二人とも馬車に乗ってるとはいえ、それなりに疲れが溜まっていたようでお風呂で癒されたようだ。最後は俺が入ったのだが途中でミネアさんが、お背中流しましょうか?と言って覗き見してきた時は焦ってしまった。
「ユウキさんお風呂ありがとうございました。まさか旅の途中で街に宿泊する以外でお風呂に入れるとは思いませんでした。ユウキさんなら今後家ごとアイテムボックスに入れたりしそうですね」
「その手がありましたか‥‥‥気付かなかった‥‥、それいいですね。お金を貯めたら小さい旅用の家を買おうかな」
「本当にやるんですね‥‥‥」
ルナさんは冗談半分で言ってみたのだがまさかの本気でやろうとするとは思わなかったようで少し呆れていた。
こうして俺達3人は食事は温かい出来立ての料理を食べ、夜はお風呂で疲れを癒すという王族でも出来ないような恵まれている旅をしながらアルヘイムを目指していた。
その頃、聖地アルヘイムでは‥‥‥
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「聖女様、今年も竜王祭は我がアルヘイムの優勝で間違いないでしょう。なんと言っても去年の優勝者が今年も出場してくれるとは思わなかったですからな」
「そうですね。武器など野蛮な物を使う冒険者と違い、魔法こそが神より与えられた力なのですから」
「アルヘイムから出場する二人とも得意な属性がレベル8もありますからな。高火力の魔法で倒してくれるでしょう」
「魔法国家の力を見せてあげてください」
聖女達は魔術を極めたものが出場することはまだ知らず、自国の勝利を疑うことはなかった。




