第3章 竜王祭★2★
午後も問題なく俺達はアルヘイムへ向かっていた。何度かルナさんから魔物がいると言われたが俺のサンダーボルトで倒していく。ホーンラビットや雑魚モンスター代表のゴブリン等が殆どだったので特に素材を取ったりすることもしなかった。
「ねぇユウキ君、教えれる事だけでいいんだけどユウキ君は幾つの属性の魔法を使えるの?」
「属性だと火、水、土、風、雷、闇、光は使えますよ」
「それって全属性じゃない!ユウキ君は武器も色々と使えてたよね?」
「大体の武器は使いこなせますね。見た目が好きなのでメインは刀ですけど」
「完璧過ぎるじゃない。スキルとかすごい数になってるでしょ?」
「そうでもないですよ。〔武術の極み〕と〔魔術の極み〕になってますから」
「ちょ、何なのそのスキルは?」
俺は2つのスキルの事を説明する。もしかすると自分の妻になるかも知れない人だし、転生したことに関わるスキルさえ隠しておけば良いだろうと思ったからだ。
「そんなスキルがあったのね‥‥‥初めて聞いたわ。多分今までそんなスキル持ってた人はいないわよ。もしかしたら伝説の英雄見たく合成魔法とかも使えたりするの?」
「合成魔法なんてあるんですか?」
「英雄アレスは複数の属性を合わせた合成魔法を使ったっていう記録が残っているの。有名なのが火属性と光属性を合わせたセイントフレイムと言う魔法でアンデットに効果の高い魔法を使ったっていう話よ。これから行くアルヘイムはそういった魔法を研究してるみたいだけどまだ実現出来てないみたいだけど」
〔魔術の極み〕を持っているから多分俺でも使えるだろう。むしろ俺の方が色々な合成魔法を使えそうな気がする。もしかして英雄アレスも転生者だったりするのかとも考えた。
「やったことはないですけど多分出来ますよ。今度魔物が出たら試してみますね。ミネアさん、教えてくれてありがとう」
ミネアさんは少し照れながらも早く魔物が出ないかとワクワクしている。しかし待っていると中々でないもので、だんだんと日が沈み始めてきた。俺はどんな合成魔法を作るかを考えていた。元の世界で参考になるゲームやアニメ等を思い出しながら1つの魔法を考えた。その時だった。
「ユウキさん、ミネアさん魔物です。あれは多分ゴブリンだと思います」
タイミング良く現れてくれたので俺は合成魔法を試してみる事にした。
「ミネアさん、見ていてくださいね」
俺は馬車からおり魔力を込める。英雄アレスが火属性に光属性なら俺は闇属性を合わせる。すると俺の手のひらから赤ではなく黒い炎が現れる。
「喰らえ、ヘルファイヤー!」
放たれた黒い炎は禍々しくゴブリンに当たるとゴブリンは黒い炎に包まれた。
「ミネアさん、水魔法であのヘルファイャーを消してみて下さい」
「良いけど‥‥それにしてもあの炎とても禍々しいわね。ウォーターボール!」
ミネアさんが放ったウォーターボールがゴブリンに当たったが黒い炎が消えることはなくゴブリンは絶命した。ミネアさんはおかしいことに気付いたようだ。水魔法の威力が足りず消せないときは、炎によって水魔法は蒸発させられるのだがミネアさんが放ったウォーターボールは蒸発せずにゴブリンに当たったのだ。
「今のって‥‥‥」
「気づきましたか?あの黒い炎は水魔法では消えないんです。イメージは相手を燃やし尽くすまで消えない地獄の炎です」
「そんなの最強の魔法じゃない!」
「そうでもないですよ。光属性の魔法で結界を張ったり火属性でも高火力の魔法で相殺出来ると思いますし。でも初見では難しいと思いますけどね」
「ますますユウキ君に勝てる気がしなくなってきたよ」
ミネアさんはそんな事を言いながらも何処か嬉しそうだった。自分が好きになった人が伝説の英雄アレスと同じく、合成魔法を使うほどの冒険者と知ったからだろう。いつもは少しエッチなお姉さんポジションのミネアさんが、英雄に憧れる少女のような目で俺を見ていたので少し照れ臭くも嬉しかった。




