第3章 竜王祭★1★
俺とミネアさん、そして従者のルナさんは竜王祭にカルナディア国代表として参加するために聖地アルヘイムへと向かっている。アルヘイムまで馬車で1週間の旅だ。
「ミネアさん、アルヘイムってどんなところなんですか?」
「アルヘイムは聖地の名のとおり聖女が国を治める魔法国家だよ。ギルドの冒険者も近接武器で戦うよりも魔法主体で戦う冒険者の方が多いわね」
「アルヘイムにも貴族とかいるんですか?」
「カルナディアよりも酷いって聞くわね。でもカルナディアと違って実力主義みたいらしいけど魔法が使えないだけで蔑まされるらしいわ」
「それは酷いですね。もし魔力が低ければさっさと別の国に引っ越しした方が得策そうですね」
「ただアルヘイムは聖女が絶対的に人気なのよ。神に近い存在にまで祭り上げられているから国民が聖女様の為ならとか言って、言うことを聞くらしいわ」
「魔法国家と言うより宗教国家に近いですね。それよりミネアさん、前はその腕輪してませんでしたよね?もしかしてそれが」
「マサムネに作って貰った〔魔女の腕輪〕だよ。魔力を上げてくれる腕輪でキメラの爪も素材で使っているみたいで風魔法の威力も上がってるんだ。キメラなんて伝説の魔物の素材を何処から手に入れたんだか‥‥」
多分俺の〔闘神の籠手〕に使った余りを使ったんだろう。俺がキメラを倒した事は言わないでおこう。
「この腕輪でユウキ君に勝って結婚しようとしたんだけど‥‥‥でも今は料理のスキルレベルを上げる装備にすれば良かったと思ってる」
「ミネアさんの魅力は料理出来なくても変わりませんよ」
「それって‥‥‥プロポーズ?」
「何でそうなるんですか。人それぞれ得意不得意があるんですから。無理してまで料理を覚えなくてもいいんじゃないですか」
「そんなのユウキ君のタイプの女性になるために覚えようとしたに決まってるでしょ。酷いよユウキ君‥‥」
「ごめんなさい、そんなつもりじゃ‥‥でも料理なんか出来なくてもミネアさんはとても素敵だと思います」
「ユウキ君‥‥‥」
「イチャイチャするのは二人っきりの時にして貰って良いですか?こっちが恥ずかしくなるので」
「「スミマセン」」
特にイチャイチャしていたつもりはないのだがルナさんに注意されてしまった。そろそろお昼だと言うことでミネアさんは積み込んだ荷物から保存食を出そうとするがそれを止める。ルナさんは前に見たのでわかっているらしい。俺はアイテムボックスからご飯とカレーを出して皿に盛り二人に渡す。
「ちょっとユウキ君‥‥今のは一体?」
「アイテムボックスのスキルです。生物でなければどんなものでも出し入れ自由で、中に入ってる物の時間は止まったままになるんです。だから中に入ってる料理は出来立てのままですよ。さぁ食べましょう」
「アイテムボックスって‥‥‥、本当にユウキ君は凄いわね。ますます好きになっちゃう」
「夜になったらもっと凄いものを見せますから期待してて下さいね」
「まだ何かあるの?ユウキ君といると常にドキドキさせられちゃうわね」
これで夜にお風呂を出したらどれだけビックリするのかと思うと少し面白くなった。もしかすると王族の旅よりも恵まれてるかもしれない。俺達は熱々のカレーに大満足して馬車に乗り込み旅を再開した。




