第2章 出発準備★1★
今日は定食屋に行き大量の料理を作ってもらうことになっている。冷めないうちにアイテムボックスにしまうためお店で料理ができるのを待たなければならない。しかし只料理が出来るのを待っているのも暇なので何をして時間を潰そうかと考えながら店に入った。
「こんにちはおかみさん」
「こんにちはユウキ、今取りかかってるからね。最初に時間のかかるカレーを仕込んでるから夕方にもう一度来てくれれば良いよ」
「えっ、わかりました。じゃあ夕方にまた来ます」
ずっと待ってなきゃ行けないかと思ったが予想外に時間が出来てしまった。流石に昼御飯までおかみさんにお願いするのは可哀想なのでどこか別の場所で食べなきゃいけない。ついでにいろんな店を見て回ることにした。今は特に欲しいものがあるわけではない。元の世界みたいにゲームセンターや漫画喫茶みたいに時間を潰せるお店なんて無いだろうしと思いながら歩いていると一軒の気になる店を見つけた。今までは特に気にしたことはなかった魔石のお店だ。宿屋でお風呂に設置されているような魔石を扱っているらしい。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ。ご自由にご覧下さい」
店内は元の世界のパワーストーン等を扱っている店のように沢山の魔石が置かれている。魔石の色によって属性が分かれているようで大きいものほど値段が高くなっているようだ。
「すみません、魔石とかって普通は何に使うんですか?」
「魔道具を作るときや、生活の中でも火を使ったり水を出したりと色んな所に使われていますよ。魔法で代用したりすることも出来ますけれども、例えば煮込み料理を作るとき等何時間も火魔法を使うのは大変ですよね?そんな時は魔石を使ったコンロの方が便利なんです」
その時俺は1つ思い付いたことがある。お風呂だ!お風呂を作ってアイテムボックスに入れれば旅の途中に野宿をする際も便利ではないかと。
「お風呂用の魔石はありますか?」
「ありますよ。こちらの火の魔石と水の魔石になります。大きい魔石は沢山使えますがその分お値段も高くなっております。もし使いきってしまうと魔石自体が灰色になりますので、その際は有料ですが魔力を注入しまた使えるようにもなりますよ」
「誰でも魔力を注入したりできないんですか?」
「そんな魔力を操作できる人なんかいませんよ。お店にある魔道具を使って注入するんです。魔道具に魔石をセットして他の魔石から魔力をうつすんです」
話を聞く限り俺なら魔力を注入することが出来そうな気がする。普通の冒険者なら魔力を使って魔法を使うことは出来るが魔力自体を操作すると言うことは出来ないみたいだ。
「こちらなど一般的で30回程使える魔石になります。どちらも銀貨1枚になります」
「ではそれを下さい。後、お風呂など作っているお店とか、魔道具を作っているお店とかって教えて貰うことは出来ますか?」
「ありがとうございます。お店の場所も教えますね」
俺は先ず魔道具を作っているお店に向かった。お風呂にその都度セットするのではなく、蛇口1つでお湯が出て温度調節のレバーも付けれれば便利だと思ったのだ。それらしい店に着いたので中に入ってみる。
「すみません、どなたかいますか?」
「‥‥‥はい、少し待ってください‥‥」
奥から出てきたのは魔道具作りが大好きで、常に家に引きこもってそうな感じが一目見てわかるような女性だった。
「1つ作って欲しい魔道具があるんですけど‥‥」
俺は作って欲しいものを説明すると女性の目がどんどん輝いて興奮してくる。
「画期的ですね!技術的には全く難しくないので1日もあれば出来ます。何でこんな便利な事に気が付かなかったんだろう‥‥」
「ではお願いします。魔石はこれを使ってもらえれば。ちなみに料金はどれくらい掛かりますか?」
「銀貨3枚もあれば出来ますよ」
俺は銀貨3枚を払うと女性は俺にも興味を持ったらしい。俺の事を色んな角度からジロジロと見ている。
「あなた面白いことを考えますね。もし良かったら今後も何か考え付いたら教えて貰って良いですか?私の名前はアインと言います」
「良いですよ。今後もお世話になるかもしれませんし。俺はタカミヤユウキと言います。Aランクの冒険者をしています」
「その若さでAランクですか‥‥凄いですね。では明日の昼過ぎにでもまた来て下さい」
「わかりました。それではお願いします」
こうして俺は充実した旅の為に次のお店へ向かった。




