第2章 王宮★3★
昨日はイリスさんの店で買った服を着たまま宿屋に戻ろうとしたらいつも以上に女性の視線が凄く、人だかりが出来るほど声を掛けられた。その為一度イリスさんの店に戻り着替えをする羽目になってしまった。同じ事にならないようにと普段と同じ格好で俺はギルドに向かった。
「おはようございます」
ギルドに入るとユーリさんとミネアさんが話をしていた。ミネアさんはいつもと同じ様な服装だ。
「ユウキさんおはようございます」
「ユウキ君おはよう。あれ?今ユーリと話していたんだけど、格好いい服を買ったんじゃないの?お姉さんは楽しみにしていたのに」
「色々あったんでこっちで着替えようと思って。ユーリさん、何処か着替えを出来る場所ってありますか?」
「それならギルド職員用の更衣室があるのでそこを使って良いですよ」
「私も着替えしてこよう」
ミネアさんもこれから着替えをするらしく更衣室に向かった。俺はアイテムボックから昨日買った服を出し着替えをする。着替えを終えて戻るとミネアさんはもう着替え終えていた。ミネアさんは黒いワンピースに黒いマント、紫のラインがアクセントで入っている。胸元は大胆に開き谷間が強調されている。正にセクシー魔女だ。
「ユウキ君も着替えが終わったみたい‥‥い‥
‥‥」
ミネアさんも昨日のユーリさんと同じく固まっている。さっきまでざわざわしていたギルド内も一瞬にして静まり返る。
「ミネアさん!固まってないでライルさんの所にいきますよ!」
俺はミネアさんの肩を揺さぶるがミネアさんは中々戻らない。一度見ているユーリさんですら何とか自我を保っている状態だ。俺はファーストキスを奪われた仕返しにちょっとからかってみた。
「ミネア、一緒にライルさんの所に行くよ」
俺はミネアさんの髪を耳にかけて耳元で囁く。
「ひゃっ!」
ミネアさんは声にならない悲鳴を上げた。いや悲鳴と言うよりはちょっと卑猥な声と言った方がいい。どうやら耳は敏感だったらしく、我に返ったミネアさんは今度は腰が抜けへたり込んでしまった。結局ミネアさんが元に戻るまで30分程かかってしまった。
「ほら行きますよ。ミネアさん」
「ユウキ君、私もぉお嫁に行けない‥‥‥責任とってね」
「冗談は良いですから」
俺達はやっとライルさんの部屋にいくことが出来た。
「やっと来たか。随分遅かったじゃないか。何かあったのかい?」
「ミネアさんのいつものですよ」
「ユウキ君が悪いんでしょ!私にあんなことするから‥‥‥もぉ‥‥」
「さぁ話はそれくらいにして行くよ。少し遅れてるからね」
俺達3人は外に用意してあった馬車に乗り込んだ。王宮までは馬車で10分程かかるとの事だ。
「それにしてもユウキ君の服とっても似合ってるわ。かなり高かったんじゃない?高級な素材を使ってるみたいだし」
「イリスさんのお店のオリジナルなんですけど、宣伝がわりにタダで良いって言ってくれて」
「この素材はキングスパイダーの糸を使っているね。Aランクモンスターの素材を使っているし、銀糸を贅沢に使っていてデザインも良い。普通に買おうと思ったら金貨3枚はするぞ」
「そんなに高価な服なんですか!」
「ユウキ君に似合ってるから良いんじゃない。あの人も見た目はあんなんだけど、こういうセンスは良いのよね」
「わかります。あの見た目でクネクネされると冷や汗が出ちゃいますもんね」
話をしていると大きな門の入り口に着いた。入り口の兵士に入る許可を貰う。この入口を入ってからも馬車でまだ5分程掛かるらしい。流石はカルナディアの王宮だ。とんでもなく広く庭も綺麗で噴水などもあり、竜王祭に出るのでなければ、俺なんかは一生縁がない気がした。
「さぁそろそろ着くぞ。ミネアは初めてじゃないから大丈夫だろうが、ユウキもあまり緊張しなくても良いからな」
元の世界でも庶民だったのに国の王様に会うのに緊張するなと言う方が無理である。馬車を降り扉の横に居る兵士達が扉を開けてくれ俺達は中に入った。




