第2章 王宮★1★
翌日は特にやることもないので街の中を散策して歩いた。竜王祭までにある予定は二日後に王宮に行くこと以外に特に無い。急ぎではないがすることと言えばいつもの定食屋さんに行って大量の料理をアイテムボックスに入れることだ。しかしこれをやるためにはアイテムボックスの事を説明しなくてはならない。今日は思いきって話してみようと思い定食屋さんに向かう。
「こんにちは」
「いらっしゃい。いつも来てくれてありがとうね」
「そんな、美味しいから通ってるだけですよ」
俺は席に座りメニューを見る。メニューの中でアイテムボックスに入れやすいものを探してみる。お米は絶対に必要だ。これは大量に炊いてもらい鍋ごと入れてしまえば良い。後はカレーは外せない。後は唐揚げも欲しい。そのままおかずでもいけるしカレーのトッピングにもなる。となればトンカツも外せない。後はハンバーグも忘れてはならない。取り敢えず今はカツカレーを注文する。運ばれて来たカツカレーを食べるがやはり美味しい。マサムネやムラマサさんが羨ましくなってくる。こんな美味しいご飯が毎日食べられるなら料理のできる日の本の国の女性は必ずハーレムに欲しいと思った。
「おかみさん、ちょっと良いですか?」
「どうしたんだい、あらたまって」
「実は、今度竜王祭に出場することになって後2週間位したら聖地アルヘイムへ行くのですが、その際にここの料理を旅の途中でも食べれたらなぁと思ってるのですけど」
「旅に同行しろってことかい?」
「いえ、実は俺のスキルにアイテムボックスというのがあるんです」
「あんたも持ってるのかい。一度だけ日の本の国に居たときそのスキルを持ってる人に大量に料理を作ったことがあるんだよ」
「本当ですか!かなりレアなスキルなんですけど‥‥、俺以外にもいるんですね。それでこのスキルなら入れている物の時間も止まるので、料理も出来上がりの状態のまま保存することが出来るので是非お願いしたいと思って」
「かまわないよ。それでどれくらい作れば良いんだい?」
「お米は50人前、カレーは20人前、唐揚げ、トンカツ、ハンバーグは各15人前。後は味噌汁を30人前なんですけど」
「流石にその量となると店にある材料や道具ではちょっと無理だねぇ。冷める前にそのアイテムボックスにしまわなきゃならないんだろ?そうなると店を閉めての1日仕事になるし、出来ればあんたにも店に居て、出来上がった側からしまって貰えれば助かるね」
「わかりました。材料や必要な道具の代金は払いますんで。準備出来たら出来る日を教えて下さい。店も休ませてしまうのでこれで足りますか?」
俺は銀貨を50枚渡す。おかみさんは「十分すぎる、むしろ多すぎだよ」と言っていたが店を閉めてまでやってくれるので迷惑料も含めての代金だ。聖地アルヘイムまでの間、保存食等の料理で食事を済ませるのは我慢がならないのだ。後日、日程が決まったら教えてくれることになった。店を出た後は他にも旅に必要そうな物を物色して歩く。旅の途中簡単に肉を焼いたりして食べることもあるかもしれないと思い塩と胡椒は買っておく。着替えなどは前から考えていた浄化の魔法を使えば大丈夫だ。昨日の夜風呂に入らず試していたのだ。光か水の属性があれば出来るだろうと思い試したが、服の汚れがとれたので問題ないだろう。綺麗になるだけでなく殺菌、消臭もイメージしているので衛生面も問題ない。必要なものは全部揃ったかな?とは思ったが1つ気になっていたことがあり一度ギルドによってみた。
「ユーリさんこんにちは」
「ユウキさん、ちゃんとお祝いを言ってなかったですね。優勝おめでとうございます」
「ありがとうございます、でもまだ予選ですけどね」
「それでも凄いですよ。現役のSランク冒険者二人を破っての優勝ですから。でもあの後のキスはちょっと‥‥‥」
「いや、あれは俺からしたことじゃ‥‥ってそんな事より聞きたい事があって来たんです」
「そんな事って‥‥私には大変なことなのに‥‥‥それで何を聞きたいんですか?」
「昨日ライルさんに、後日王宮に挨拶にいった後、昼食会に参加すると言われたんですけど」
「毎年予選の後は代表の方を連れて行ってますね」
「それなんですけど、どんな服でいけば良いのかなと思って。流石に普段着や鎧を着たままだと不味いですよね?」
「そうですね。何かの報告だけなら構わないと思いますが、その後昼食会にも参加するとなればそれなりの格好でないと不味いですね」
「やっぱりそうですよね。買わなきゃ駄目か」
「‥‥あの、ユウキさん。もし良かったらなんですけど、私、明日は休みなので良かったら一緒に買いに行きませんか?」
「良いんですか?助かります。こういうのは女性に選んでもらった方が助かるんで」
「(やった!ユウキさんとデート出来る)それじゃあ明日の10時頃、この間お茶したカフェで待ち合わせでどうですか?」
「良いですよ。それじゃあ明日楽しみにしてますね」
俺は手持ちもまだ10金貨以上あるので多少高価な服になっても心配無いと思い宿屋に戻った。寝る前に精霊の涙のネックレスをユーリさんに渡すのを忘れていたことを思い出し、明日会った時にしようと思いながらベッドに入った。




