第2章 竜王祭予選★1★
俺は朝食を済ませマサムネの所へ向かった。今日は竜王祭の予選があり、それに合わせて防具を仕上げてくれる事になっていた。マサムネもムラマサさんもかなり気合いが入っており良いものが出来るのではと期待をしていた。
「おはようございます」
「おぅ、ユウキ。さっき出来上がったばかりだ。ちょっと見てくれ」
俺は工房の奥へ案内された。そこには黒く輝いた鎧と籠手があった。鎧はプレートアーマーではなくライトアーマーだった。ミスリルは蒼白く輝く水晶なのだが、何故この鎧と籠手は黒なのだろう。鎧の方は赤と青のトライバル模様が入っており、籠手には緑のトライバル模様が入っている。マサムネは防具の説明を始めた。
「鎧の名は闘神の鎧、籠手は闘神の籠手、完全にユウキの為の装備だ。鎧にはキメラの牙を使って、籠手には爪の方を使っている。鎧の効果は火属性と水属性の攻撃の無効化がついている。籠手の方には風属性が付いていて攻撃の速度が上がる効果がある。防御力もミスリルを使っているからかなり高く軽さも兼ね備えた。色はキメラの素材とミスリルを合わせたら何故か黒く耀いて普通のミスリルより硬度を上げることが出来た。俺と親父の最高傑作だ」
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闘神の鎧
ランク:S
丈夫さと軽さを兼ね備えた鎧。火属性と水属性の攻撃を無効化する
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闘神の籠手
ランク:S
丈夫さと軽さを兼ね備えた籠手。風属性が付与されており、その効果で攻撃速度が上昇する。
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俺は鑑定を使ってみるが、確かにマサムネが言うとおり文句の付けようもないSランクの防具だ。
「マサムネ本当にありがとう。親父さんは?」
「頑張りすぎて完成と共に寝ちまったよ。満足する出来だったんだろうな」
「親父さんにも礼を言っといてくれ。必ず予選を通って見せるから」
「わかった。頑張れよユウキ」
俺はマサムネに礼を言い早速防具を着ける。革製の鎧と余り替わらない軽さに驚きながらも、長年使っていたようなしっくり来る感じに満足をし店を出てギルドに向かった。
ギルドに着くといつもより冒険者が沢山いた。しかしほとんどが依頼書を見ていない。俺はユーリさんが受付に居たので話し掛けた。
「おはようございますユーリさん。今日は人が多いですね」
「おはようございます。竜王祭の予選がありますからね。でも殆どの人は参加ではなく見に来ただけですよ。今回の予選の参加人数は8人だけですから」
「そんなに少ないんですか?」
「始めは30人近くいたんですけど途中で辞退する人が続出しまして。Sランクの冒険者が2名参加を希望したからなんですが‥‥‥」
「Sランクが出るならと諦めた人がいたわけですね」
「ええ、そういう事です」
「Sランクが出るからと言って辞退するような冒険者じゃ本選に出てもすぐに負けてしまいますよ。この国のギルドの代表を決めるわけですから本当に強い冒険者が出ないと」
「あなた良いことを言うわね。本選になるとSランクなんて沢山居るんだから、カルナディアの恥になるもの。闘神のユウキ君」
俺に後ろから話し掛けてくる女性がいた。見た感じ二十代半ば位だろうか、明らかに周りの冒険者達とは違うオーラがある。彼女が2人参加するSランクの冒険者の内の1人だとわかった。
「ミネアさん、お久しぶりです」
「ユーリも久しぶりね。前の予選の時以来だから1年ぶりね。どぉ?彼氏は出来た?」
「そんな‥‥変なこと聞かないで下さい」
ユーリさんは俺の方をチラッと見ながら否定をしている。顔は少し赤くなっていたが俺はそれには気が付かなかった。
「好きな人はいるみたいね、私もいい人早く見つけなきゃ。ユウキ君は結婚はまだだよね?良かったらお姉さんと「駄目です!」」
ユーリさんは声をあげた後、俺とミネアさんに見られ急にモジモジし始めた。ミネアさんは何か思うところがあったらしくニヤニヤと笑っていた。
「そういうことならユーリも早く言いなさいよ。それじゃユウキ君もまた後でね。私はライルさんと話をしてくるから」
そう言うとミネアさんは二階のギルド長室に向かい階段を上がっていった。




