第2章 Aランクの異世界転生冒険者 ★15★
「全くあのユウキとかいうガキのせいでめんどくさいことになったぜ。俺とパーティー組んでりゃ貴族に直で素材を売ってもっと稼がせてやったのに。1回味を覚えりゃ貴族のお抱えになりたがると思ったのによ」
男は町外れのスラム街のとある一軒家で酒を飲みながら悪態をついている。
「それにしてもこの娘、ガキのくせして良い体してやがる。まぁ後十年すれば俺好みの女になるんだがな」
男はサリーを見ながら呟く。クレンスフォード家から受けた依頼も明日で約束の3日目だ。
「取り敢えずこの娘が居なくなったと奴が知った後、俺が見つける代わりにクレンスフォード家に仕えるのを条件にすれば依頼達成だな」
きしむ椅子に腰を掛け酒を飲みほした。
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俺はギルトを出て宿屋に戻った。おかみさんに挨拶をするがいつも居るサリーちゃんがいない。パン屋に夕食用のパンを取りに行ったらしいがまだ戻ってきてないとのことだ。その時1人の女性が入ってきた。
「なかなか取りに来ないから持ってきたよ」
女性はパン屋の主人らしい。パン屋にはサリーちゃんが行ったとおかみさんが言ってたはずだが‥‥
「ユウキはサリーを見なかったかい?出掛けてからもう二時間はたつんだが‥‥‥」
「俺、ちょっと町の中探してきますよ」
「悪いねユウキ。頼んだよ」
俺は町の中を探して回るがなかなか見つけることはできなかった。一度人に聞いてみたが「私は貴方をずっと探していました」と手を握られてしまったので人には余り聞けないでいた。その時この街に来るときに世話になった商人のミレーヌに会った。
「ユウキさん!お久しぶりです。(これは運命の出会いかしら?)」
「お久しぶりですミレーヌさん。丁度良かった、ちょっと人を探してまして。この先の宿屋の娘でサリーという名前の娘を探しているんですが見かけたりしていませんか?」
「あの胸の大きい女の子ね。なに。ユウキ君は胸の大きい子がタイプなの?それなら私は‥‥‥」
「そう言うことを聞いてるんじゃないんです。おかみさんに探して欲しいと頼まれたんです!」
「そう言うことだったんですね。少し前に男性冒険者の人と走っていたのをみましたけど、どこに行ったのかまでは」
「どんな感じの冒険者でしたか?」
「全身真っ黒でマスクもしてましたよ」
「ギルか。あの糞野郎!」
「ちょっ、ユウキさん。どうしたの?」
「いえ、なんでもないです。教えてくれてありがとうございました」
俺は取り敢えずギルドに戻り、レイラさんに話を聞くことにする。ライルさんだと無茶しそうだと止められると思ったからだ。俺の大事なものを奪った奴は相応の罰を与えなければ気がすまないのだ。
「レイラさん、ちょっと良いですか?」
「ユウキ、どうしたんだい?さっき帰ったばかりなのに」
「ギルのいそうな場所とかってわかりますか?」
「ギルかい?アイツは確かスラムの出身で、まだスラムに住んでたはずだけど‥‥」
俺はレイラさんからスラムの場所を聞いたが、レイラさんは俺が慌てているのに気付いたらしく何があったのかと聞いてくる。
「俺の大事なものをを奪ったんですよ。だから今から天罰を与えるんです。〔闘神〕の天罰をね‥‥」
そう言うと俺はギルドを飛び出しレイラさんから聞いたスラム街へと向かった。




