第5章 連合軍VS邪神★20★
「自分が狩られる立場になってみてどうだ?」
「な、何を言う!人間ごときが私を狩るなどとふざけたことを!」
邪神は怒り狂い魔力を更に上昇させる。邪神も全力の様だが恐怖など1つも感じない。邪神の攻撃を俺はタケミカヅチで造作もなく捌く。まるで上級者が実力の劣る者に稽古をつけるかの様に。
「それで全力か‥‥‥。そろそろ終わらせよう‥‥」
俺は邪神の攻撃を捌き距離をとる。身体中至るところから血が噴き出し口からも血が流れ落ちる。しかし痛みは感じない。痛みなんかよりも自分がミネアとユキネを守れなかったこと、皆が来る前に邪神を倒せなかった自分が許せなかった。俺はタケミカヅチを鞘に納め居合いの構えをとる。ユキネが得意としていた技だ。
居合いの構えをとるユウキを見ながらサタンは戸惑っていた。自分では邪神を倒すことは出来ない。ユウキに加勢しようにも今の自分では足手まといにしかならない。だがこのままユウキを戦わせていては体がもたないのは今のユウキを見れば直ぐにわかる。何も出来ずただ見ているしかない自分が悔しく頬を涙がつたう。その時だった。ユウキの姿が消え邪神の背後に現れた。かなりの強さを持つサタンでさえユウキの動きを捉えることが出来なかった。そして邪神の体が切断され地面に崩れ落ちる。身体中から血を流しながら振り返ったユウキは指先から纏っている魔力と同じ輝きの炎を邪神に放つ。セイントファイヤーよりも強い輝きを放つその炎は邪神の体を燃やし光輝く塵へと変える。ユウキはその輝く塵が空へと舞い上がるのを見上げていたが大量の血を吐き倒れる。
「ユウキさん!」
サタンはユウキの元へ駆け寄るが間近で見たユウキの状態は酷かった。ユウキの体を抱き起こすと直ぐに身体中の骨が折れていた事に気付いた。やはり人間の限界を超えた動きをした為にユウキの体が持たなかったのだ。余りの状態にサタンは声を失う。
「サ、サタン。結局俺はミネアとユキネを守ることが出来なかったよ。俺なら全てを守れるって過信していた。会ったらちゃんと謝らなきゃな‥‥‥」
「ユウキさんしっかりしてください!私やユーリ、サリーを置いて行く気ですか!」
微かにサタンの声は聞こえたが俺はそのまま意識を失ってしまった。そして目を覚ました場所は前に見たことがある場所だった。
「また俺は死んじゃったのか‥‥‥せっかく異世界に転移させてもらったのにな。それにミネアやユキネは‥‥‥」
辺りを見回すがエリス様の姿はない。すると急に後ろから声を掛けられる。
「君がユウキ君か?」
後ろを振り返るとそこには白髪の老人と女神のエリス様の姿があった。




