第5章 連合軍VS邪神★19★
「そんなに悲しむことはない。直ぐに貴様らも同じ場所に送ってやるからな」
邪神の言葉にサタンは怒りをあらわにして立ち上がるが直ぐに異変に気付く。
「ユ、ユウキさん‥‥?」
俺はユキネが攻撃された後自分の中で何かが変わるような感じがした。ただそれは理性がなくなりバーサク状態に成るような物ではなく、押さえ付けていたリミッターが外れるような感じだ。
「サタン、下がっていろ。あいつは俺が殺す‥‥」
「ユ、ユウキさん‥‥」
今まで戦っていた時相手を倒すとは言っていたが、殺すと言ったことはなかった。ただ今回は躊躇することなく自然に殺すと言葉が出た。俺の大切な物を奪った奴は許してはおけない。前にサリーを誘拐された時とは比べ物にならないほどの殺意が自分の中を埋め尽くしているのがわかる。さっきまではどうやったら邪神を倒せるか、そう考えていたが今はどんな苦痛を与えて殺すかと考えている。倒せるかなんてことは微塵も思っていない。俺はゆっくりと邪神に向かって歩を進める。
「自分から死にに来るか。ならばお前からだ!」
邪神はまた指先に魔力を集め俺に向かって放った。
「ユウキさん!」
放たれた魔力の光線を俺はタケミカヅチで目にも止まらぬ速さで切り裂く。先程迄ならそんな事は出来なかった。しかし邪神の攻撃は受けていないが俺の腕からは血が吹き出す。
「ユウキさんの動きに体がついていけていない‥‥‥。ユウキさん!そんな戦い方をしていたら体が持ちませんよ!」
「来るなサタン!俺のことはいい!」
人間は普段体を守る為脳がリミッターをかけている。そのリミッターを外せば人間の限界を超えた動きをすることは出来るが体の組織はそれについていくことは出来ない。最悪命を落としてしまう。しかし今の俺はそんな事は1つも気にしていない。邪神だけは俺がこの手で殺さなければいけない。ミネアとユキネを奪った邪神を殺せるならばそれでいい。俺のただならぬ殺気に邪神は後ずさりを始める。
「なんだその力は。私が怯えている‥‥‥そんな馬鹿な‥‥」
俺は何事も無かったかのように邪神に向かっていく。




