第5章 嵐の前の静けさ★10★
ギルドにセフィールドから救援の手紙が届いてから2週間が過ぎた。俺達は相変わらず資金集めをしている。学校の建設も半分近く進み資金も7割程集まっている。そんな時だった。
「これから王宮にですか?」
「そうだ。セフィールドの様子を見に行った件だと思うんだが‥‥‥」
いつも通り依頼を終えてギルドに戻ってくるとライルさんが待っていてこれから王宮に一緒に行って欲しいとの事だった。 俺達はライルさんと一緒に王宮へと向かいジャスティ王と面会をした。
「急に呼び出してすまなかった。今回はセフィールドに騎士を数名向かわせ様子を見に行かせたのだがとんでもないことになっていたのだ」
「一体何があったと言うのですか?」
ライルさんが声を荒らげる。
「セフィールドには王宮騎士を6名、後は私の補佐をしている公爵に行ってもらったのだが戻ってきたのは騎士が2名だけだったのだ。他はセフィールドの街で襲われ助からなかったらしい」
「襲われたって、レオンにですか?」
「詳しいことはセフィールドに行った騎士に話して貰う」
「そ、それではお話させて頂きます。私達が襲われたのは街の住人と思われます。しかしその者達を見る限りまるで生気がなく死人が動いてる様だったのです。斬りつけても叫ぶわけでもなく向かってくるのです」
「死人がですか‥‥‥」
「‥‥もしかしてネクロマンサーのスキルでは?」
サタンは思うところがあるらしく口を開く。
「サタン、ネクロマンサーのスキルって一体‥‥」
「魔族領に伝説として伝わるスキルです。魔族の王となるものは死者を操りアンデットの軍勢を従え世界を統一する、そういう伝説が残っているのです」
その時だった。セフィールドに行ったと言う騎士の内、先程話をした騎士ではない者が急にサタンに剣を抜いて襲い掛かってきた。サタンは問題なくその騎士の腕を掴み剣を叩き落とす。
「‥‥神の気配がする。貴様が女神か?」
騎士の女性が話しかける。しかしその声は明らかに本人の声ではない。先程までと違いこの騎士からも生気を感じられなくなっている。
「貴女は何者ですか?」
「私の名はエグゾデス‥‥‥。この世界の神となる者だ」
「!!エグゾデス!」
「サタン!知っているのか?」
エグゾデスと言う名を聞いたサタンは直ぐに騎士から距離をとる。
「エグゾデスは魔族に伝わる神の名です。邪神と言えばわかりますか」
「じゃ、邪神だと!」
ジャスティ王が叫ぶ。勿論邪神の話は人間の世界にも伝説として伝わっている。それに俺のタケミカヅチの素材である神魔石は神と邪神の魔力が結晶化した物だ。そんな邪神が復活したとなれば世界は壊滅の危機にさらされてしまう。
「今度こそこの世界を混沌の闇へと変えさせて貰う。今から貴様の顔が恐怖に怯えるその日を楽しみにしている」
そう言うと騎士は倒れ込み動かなくなった。確認すると息はしておらず騎士は死んでいた。
「この騎士も操られてたみたいだな」
「邪神が甦ったのであれば直ぐに他国にも連絡を取り、今一度連合軍を組織しなければならない。相手は魔物だけでなくウェールズの国民もアンデットとして襲い掛かって来るだろう」
「確かに私達がセフィールドに向かうまでに敵の戦力はどんどん増えるわね」
「ジャスティ王、今回の連合軍はカルナディアが代表で結成するのですか?」
「そう言う事になるな」
前回魔族の軍勢がアルヘイムに攻めてくるときはアルヘイムが主導で連合軍を結成した為色々と厄介だったが、今回は勝手知ったるジャスティ王が音頭をとるのであれば俺の意見も聞いてくれるだろう。
「邪神は俺達に任せて貰いますよ」
ジャスティ王は始め驚いていたが、俺達に邪神討伐を任せるしか手はないのをわかっていた為すんなりと頷く。
「君達に1番大変な役割を押し付けてしまって本当に申し訳ない。戦略等に関しては邪神討伐だけでなく、アンデットや魔物に関しても君に一任したい。ダメだろうか?」
「‥‥‥わかりました。その代わり俺のたてた戦略通り動いてもらいます。変更は聞きません、それで構わないのなら」
「それは私が責任を持って約束しよう」
こうして連合軍対邪神の話は世界中に広まり、各国から腕に覚えのある者や、王宮の騎士達等がカルナディアを目指して集まる事となった。




