第5章 嵐の前の静けさ★9★
部屋の中に入るとライルさんとジャスティ王がいた。二人とも神妙な顔をしている。
「ユウキ君、急に呼び出してすまない」
「いえ、依頼を終えた所だったんで戻ってくるつもりでしたし。でも一体何があったんですか?」
「セフィールドのハンターギルドから伝書鳩が届いたんだが1人のハンターが虐殺を繰り返しているらしい。それでうちのギルドに助けを求めてきた」
「セフィールドって、あのナルシストのレオンとか言うハンターがいる国じゃない?」
「あぁ、竜王祭で俺とやった‥‥‥でもアイツもSランクだったはずだけどやられてしまったのか?」
「その事なんだか‥‥‥手紙にはそのレオンと言うハンターが事件を起こしてるらしいんだ」
「アイツがですか!確かにSランクでそれなりの強さでしたけど1度に何人もの冒険者を相手に出来るほどではないと思うんですけど」
「そうですよ。それだけの犯罪を犯せば国の兵も動くはずですし。それなのにカルナディアのギルドに助けを求めてきたんですか?」
「確かにそうだな。ウェールズは王都だ。王宮には数百の兵や騎士はいるはずだ。幾らSランクとはいえ敵うはずがない」
皆が考え込む。
「やはりユウキ君達にセフィールドに行って貰うしか‥‥‥」
「ちょっと待ってくれライル。この件は一旦国で預からせてもらえないか?」
「別に構わないがどうしてだ?」
「実はセフィールドの王子と俺の娘の縁談が前から持ち上がっていたんだ。だからウェールズの様子を確認する為にも国から使者を送る予定になっていたんだ」
「そういう事ならば別に構わないが‥‥‥」
「状況がわかり次第連絡はする。勿論ユウキ達にもな」
「わかりました」
俺達はギルドを後にした。ジャスティ王達の方で問題が片付くのであればそれに越したことはない。俺はあまり面倒事に巻き込まれたくないので少しほっとした。
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「なぁジャスティ、様子を見に行かせるんだったらそれこそユウキ君達が適任だったんじゃないか?」
「いつも厄介事ばかり押し付けていたら申し訳ないだろ?それにあの4人はギルドに所属しなくても特に困ることもないだろう。機嫌を損ねて冒険者を辞められたらそれこそ大きな損失だろ?まぁ俺達の手に終えないような場合は別だがな」
「余計な気を使わせたみたいだな。すまない」
「なぁに、気にするな」
酒を飲みながら二人は談笑する。しかしこの時まだ二人は気付いていなかった。セフィールドだけではなく、この世界全てを巻き込む大きな問題になっていくことを‥‥‥




