第5章 嵐の前の静けさ★6★
俺達は家に戻り夕食を食べながら話をしている。
「まさかジャスティ王があんなに興味を示すとは思わなかったな」
「そうですね。王子のウォーレン様を入れたい等と興奮してましたしね」
「幾らジャスティ王が望んでも入学に関しては公平に試験はするからな」
「入学に関して年齢をもうけた方が良いんじゃない?」
「そうだな。それにどれくらいの期間勉強するのかも決めなきゃな」
その後の話し合いで、入学は13歳で卒業は15歳、成績により飛び級ありという中学校に近い形に決まった。こんな話し合いが度々行われ日中は資金稼ぎと忙しい日々を過ごしていた。
その頃魔族領では‥‥
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薄暗い研究室でルシフェルが1人研究に没頭している。
「やはりこの魔力量なら実験は成功したも同然だ。これ程の魔力を秘めた鉱石があるとは」
ルシフェルは床に魔法陣を描き各所に神魔石を置いていく。そして中心には何かの皮膚のような物が入った入れ物を置く。
「サタンの城の地下の隠し部屋にあったこの禁忌の書を見つけた時からこの瞬間を夢見ていました。破損してわからないところもありましたが遂に邪神エグゾデス様を蘇生させる事が出来ます」
ルシフェルは禁忌の書に書かれている呪文を読み上げる。すると魔法陣が光り、置かれた神魔石が六芒星を描く。辺りは黒い霧に包まれその中に黒い影が浮かび上がる。
『私を呼び戻そうとしているのは貴様か?』
声だけで低ランクの魔物なら気絶してしまいそうな雰囲気を出しているその影は問い掛ける。
「は、はい。私は魔神ルシフェルと申します。あなた様が邪神エグゾデス様でいらっしゃいますか?」
『魔神ごときが良く私の魂を呼び出せたものだ‥‥‥いかにも私が邪神エグゾデスだ。ルシフェルとやら、私を復活させる準備が出来ておるのだな?』
「はっ!エグゾデス様の体の一部と大量の魔力、ご準備出来ております」
『‥‥‥足りんな」
「!私が何かミスをおかしましたでしょうか?」
『私の体の一部は魂を呼び寄せる餌に過ぎない。私の魂を入れる器がないではないか』
「破損して読めなかった所にそんな事が書いてあったとは。申し訳ございません。直ぐにご準備致します」
『‥‥‥それには及ばん。ちょうど良い器を見つけたのでな』
その影は体を霧へと変えルシフェルを覆っていく。
「エグゾデス様、一体何を‥‥‥」
『器を見つけたと言っただろう‥‥‥』
その霧はルシフェルの口から体内へと入っていく。ルシフェルは息が出来なくなり苦しさのあまり胸をかきむしる。憧れの邪神、心から崇拝していたのに自分が復活の為の器にされるとは思っても見なかった。膝から崩れ落ち辺りは暫く静寂へと包まれる。
「この体も中々悪くはない。さて、私がこの世界を去ってからかなりの時間が過ぎているようだ。暫くは色々と見て回るか。まだこの体にも慣れていないからな」
邪神はゆっくりと歩を進め研究室を後にする。魔神をも凌駕する邪神の復活にこの世界の誰しもがまだ気づいてはいない。しかし数日後、ある出来事をきっかけに世界は大混乱へと巻き込まれていく。




