第5章 嵐の前の静けさ★3★
「学校ですか‥‥‥、お話を聞く限りなるべく広い土地が良さそうですね。それではこちらなど如何でしょう?」
店主が見せてくれた場所は街の外れにある元々は牧場があった土地だった。
「前の持ち主は馬車を引くように馬の生産をしていたのですが、跡取りに恵まれず辞めてしまったんです。街の中心から離れておりますし、整地もされていないので広さの割にはかなりお安くなっております」
見せられた紙を見ると値段は金貨200枚となっていた。広さ自体は俺の屋敷の10倍近くある。
「是非見たいのですが大丈夫ですか?」
「かしこまりました。店の前に馬車を回しますので少々お待ち下さい」
少し待つと店主が用意してくれた馬車に乗り候補地の場所へ向かった。
「紙を見る限りかなりの広さだったわね」
「そうですね。剣や魔法の勉強をするにはそれなりの広さが必要ですからね」
ミネアやユキネは候補地の話題で盛り上がっている。馬車で10分程走ると候補地に着いたようだ。俺の屋敷からだと徒歩で30分位かかるだろう。降りてみるとそこは広大な草原が広がっていた。
「広さは申し分ないと思いますが、何しろ牧場として使っていたので整地などはされていないので、建物を建てるとなると整地代がかなり掛かってしまうので買い手が中々いないんです」
「確かに広さは申し分ないな。整地代はどれくらい掛かりますかね?」
「建物の大きさにもよりますが金貨100枚程は掛かると思います」
かなりの整地代に俺が少し悩んでいるとサタンが口を開く。
「ユウキさんが土魔法で整地をすれば良いんではないですか?」
「!?その方法があったか」
「どういうことですか?土魔法で整地だなんて‥‥‥」
「いえ、こっちの話です。この土地を買わせていただきます。整地は自分達でしますので建物の方だけお店を紹介してもらえませんか?」
「?わ、わかりました。それでは前にユウキ様のお屋敷を補修した業者など如何でしょうか?」
「助かります。後はそちらと打ち合わせしますので」
俺達はお店に戻り契約書にサインをした。これで本格的に学校建設がスタートし始めた。




