第5章 嵐の前の静けさ★1★
俺達は王宮を出て家に向かっていた。
「そうだユウキ、ユーリとサリーにも本当の事を話してね」
「本当の事?‥‥‥あぁ、俺が転生者だって事か。わかった、夕食の時に話すよ」
ミネア達はすんなりと受け入れてくれたが、多分ユーリとサリーも大丈夫だろう。
「ただいま!」
「!ユウキさん、お帰りなさい。ミネアもユキネもサタンもお帰りなさい」
サリーが走ってきて俺達を出迎える。俺はそのままサリーを抱きしめてキスをする。始めは驚いていたサリーだが、久しぶりで嬉しかったようだ。
「ちょっとユウキ、ズルいわよ!」
「そうですよ!」
「‥‥‥羨ましいです」
ミネア達の視線が少し痛い。
「ほら、ユーリとサリーは何時も一緒に行けないからさ‥‥‥」
「まぁそうだけど。ねぇサリー、ユーリは仕事?」
「はい、今日は早く出てったので夕食前には戻ってくると思います」
「なら今日はみんなで夕食を食べれるな。サリー、今日は豪勢に頼む」
「わかりました。ユウキさん達も無事に戻って来たお祝いですね。では買い出しに行ってきます」
サリーは笑顔で買い物に出掛けた。大量に買ってもアイテムボックスのスキルがあるから問題ないだろう。俺達は夕食が出来るまで少し部屋で休んだ。いつの間にかベッドで寝ていた俺は美味しそうな香りで目を覚ました。部屋を出るとキッチンからはサリーだけでなくユーリの声もする。
「ユーリも帰ってたのか。お帰り」
「ユウキさんもお帰りなさい。王宮から連絡がギルドにも来ましたよ。無事魔族討伐出来たみたいですね。ライルさんも驚いてましたよ。まさか4人で魔族の殆どを討伐するとは思わなかったって」
「まぁ、他の連合軍と一緒だと俺達について来れないだろうからな。それにしても良い香りだな」
「マサムネさんのお母さんに教えて貰ったすき焼きと言う料理です。日の本の国では特別な時などに食べると伺っていたので」
「確かにそうだな。それじゃあみんなで食べようか」
俺達は夕食のすき焼きをお腹一杯食べた。久しぶりのすき焼きに大満足だった。夕食後、俺はユーリとサリーに今まで言えなかった俺の素性を話す。
「そんな世界があるなんて‥‥‥」
「ユウキさんが転生者だったなんて‥‥‥」
流石に驚いたようだが、その後はミネア達と同じように俺のいた世界の事を沢山聞かれた。俺の話で特に興味を持ったのが学校の話だった。この世界では学校はなく、親が読み書きを教えるのが普通らしい。一部の貴族や王族は別らしく専門の家庭教師を雇い勉強するとのことだ。しかしそれでは秘めた才能を持った者がその才能を発揮することは出来ない。
「なぁ皆、もし魔神の件が片付いたら学校をやってみないか?」
「良いじゃない。ユウキが先生になって、その学校って言うのをやってみたら」
「皆も先生をやるんだぞ。ユキネが剣を教えたり、ミネアが魔法を教えたり、サタンが体術を教えたり、ユーリは勉強、サリーだって料理を教えれるだろ?」
女性達はお互いを見合いながら笑みを浮かべる。俺も自分の思い付きで話したが確かに面白そうだ。この世界に初めての学校を作る。金なんか取らないで生まれや種族で差別もしない。その人の長所を伸ばしてあげる場所、そんな学校があったらこの世界はもっと良くなるんじゃないか?その夜は皆でどんな風にしていきたいか、夜遅くまで意見を出し合った。




