第4章 魔族VS人間★20★
1台の馬車が街中を走る。その中にはため息混じりで聖女のいる城へ向かうルイと受付の女性の姿があった。
「はぁ‥‥‥」
「ルイさん、お気持ちはわかりますが元気を出してください」
「また聖女に文句を言われるんですよ‥‥‥ユウキさん達もいくらカルナディア王からの指名依頼とはいえ、ギルド所属の冒険者ですからね。ギルドとしての教育がなっていないとか、神の使いである私の言うことを聞こうともしないとか‥‥‥」
「お気持ち察します」
「ユウキさんたちが話をしてくれれば良いんですが、助けて貰った恩もあるので強くは言えないですし‥‥‥」
「魔族をあれだけ倒せる冒険者の機嫌を損ねる訳にもいきませんしね」
「連合軍の面子は丸潰れですし‥‥‥今から胃がいたいですよ‥‥‥」
城に着いたルイはユウキ達の話を聞いた通り話した。案の定ルイは聖女にネチネチと文句を言われたのである。その後ルイさんは心労のためしばらく寝込んでしまう。今回の魔族侵攻でギルドでの唯一の被害はルイさんであった。
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翌日ギルドに向かうとルイさんは体調を崩したらしく休んでるとのことだった。サタンはお決まりのごとく吹き出して笑ってしまう。おそらくストレスから体調を崩したのだろう。受付の女性が連合軍も戻ってきて、負傷者は出たが命に別状はないと教えてくれた。これで心置きなくカルナディアに戻れる。俺達は早々ギルドを後にしてカルナディアに転移で戻った。転移で王宮近くに戻った俺達はそのままジャスティ王へ面会を希望した。直ぐ様俺達は王の元へと通された。
「良く戻ったな。その表情から察するに‥‥」
「はい、無事魔族の侵攻を食い止めて参りました。ただ1つ、魔神に関してですが、ベルゼバブは討伐出来たのですがルシフェルには逃げられてしまいました」
「そうか、しかし其処まで気にすることではあるまい。無事アルヘイムをお主らが守りきって見せたのだ。それでどのような戦いになったのだ?」
その場にいた誰しもが1番気になっていたことのようだ。伯爵や騎士団の人達も興味津々でこちらを見ている。俺はあったことをそのまま話した。先制でサタンとミネアが魔物に殲滅魔法を放ったこと。ユキネが1人で500もの魔物を倒したこと。俺が1対1でベルゼバブを倒したこと。ついでにミネアがクズマ草原に巨大な裂け目と、山脈を俺が切断したことまで話してしまった。
「‥‥‥昨日大きな揺れの後、山の形が変わっていると報告が入ったがユウキだったとは‥‥」
おれ自身は殆ど覚えてないが、カルナディアにまで被害が出ていたとは思わなかった。俺は愛想笑いをしながら王宮を後にした。後日ギルドに報奨金を渡しておくらしいので貰っておいてくれとのことだった。
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「くそっ!人間風情が私に2度までも恥をかかせやがって!もっと実験をしてからと思ったがそんなにゆっくりとしていられない‥‥‥計算ではこれで大丈夫なはずだ。後は大量の魔力さえあれば‥‥‥あの方が復活すればあんな奴等など‥‥‥」
ルシフェルが見る先には不思議な液体の中に浮かぶ肉片があった。ユウキ達はまだ知らない。ルシフェルが禁忌をおかそうとしていることを‥‥‥‥




