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第2章 Aランクの異世界転生冒険者 ★6★

 前に倒したゴーレムの時は一撃で仕留めることが出来たが、このキメラはそうはいかない。俊敏がかなり高いので急所を狙うことが難しいのだ。そもそもこの腕では天照を使うことも出来ない。何とかダメージを与えたまま動きを止めて最強の一撃を食らわせるしかない。俺の今の最高の技は魔力闘衣だ。だが、魔力闘衣を使って止めを刺せなければそこで終わりだ。俺は魔力闘衣ではこれまでの雷の付与ではなく火を付与するつもりだ。そうすれば腕の氷を溶かしそのまま天照で攻撃出来ると思ったからだが、雷の時は身体能力が上昇し、特に俊敏が半端なく上がった。まぁ限界以上に上がって身体に負担を掛けすぎてしまった。火を付与するとどんなリスクがあるのかまだわからない。 まさに一か八かの勝負だ。


「先ずはどんな方法で動きを止めるかな」


 キメラは俺へ飛びかかってきて鋭い爪を振るってくる。ギリギリでかわしてるはずだったが頬が切れたり服が避けたりしている。俺がライルさんと模擬戦した時、俺が使ったウインドカッターに近い技を使っていた。


「風魔法も使えたんだったな。敵に使われるとほんとに厄介な技だ。取り敢えずこれで時間稼ぎだ!」


 俺は闇魔法で目眩ましに使えそうなを黒い霧をイメージし目眩ましにする。


(よし!上手くいった。これはダークミストと名付けよう。今後何かトラブルがあったらダークミストを使って逃げればいいな)


 俺は忍者の煙玉と同じような使い道を考えながらキメラの背後に周りウインドカッターを使おうした時だった。足に激痛が走った。尻尾の蛇に噛まれていた。


「‥っ!そうか蛇は確か温度で獲物を見分けれるんだったか。目眩ましも効果無しかよ」


 俺は再度距離をとる。しかし急に目眩がしはじめた。蛇から噛まれたときに毒を受けてしまったのだ。直ぐ様俺は光魔法で状態異常を治すイメージをして「キュア」と唱える。直ぐに目眩は治まったがダークミストの効果も消え始めていた。


「かなりえげつないがこれならどうだ!アースメイデン」


 俺は地面に手を着き土魔法を唱える。中世ヨーロッパの拷問器具で針の付いた入れ物のアイアンメイデンと言うのがあるが、俺は地面から土魔法で固めた針を出し串刺しにして動きを止めようと考えたのだ。


「グォー」


 キメラの鳴き声が響きダークミストが消える。するとキメラは地面から突き出た大量の針に串刺しになり動きを止めていた。


「よし、今だ!魔力闘衣」


 俺は火の魔力を身体に纏った。真っ赤な魔力が俺の身体を包んでいるが特に火傷などはせず身体中に力がみなぎってくる。火の魔力を纏うと筋力が上昇するようだ。そして予想通り凍っていた腕も溶けていた。そのまま天照に手を掛けると、天照にも火の魔力が付与された。俺はそのままキメラに向かって行き真横に切り払った。アースメイデンで串刺しになっているキメラを針ごと真っ二つに斬り、その後斬られた箇所から炎が上がりキメラはそのまま炎に包まれた。超再生も追い付かずキメラを討伐する事が出来たようだ。


「‥‥何とか倒せたみたいだな」


 俺はその場に腰を降ろし魔力闘衣を解く。今のところ魔力闘衣を使った反動はない。全身を電気の力で限界以上に動かすのと違い、火の力で筋力を上げるのはそこまでリスクは無いようだ。


「おーい。もぉ大丈夫みたいだぞ」


 ソリティアは今目の前で起きていたことが全く理解できないでいた。とんでもない化け物が現れ、自分へ向けられたブレスを庶民の冒険者に助けて貰ったこと。そのせいでその冒険者の腕が凍りついてしまったこと。王宮の騎士が、冒険者風情に助けて貰うなど恥も良いとこなのだが、自分が腰を抜かし失禁迄してしまったこと。自分が恐怖に怯えた化け物を相手に、冒険者が見たこともない魔法やスキルを使い圧倒したこと。いくら騎士とはいえ貴族の娘に理解できるはずもなかった。

 

「せっかく倒したのにこれじゃあキメラを持って帰れないな。この際、燃え残った牙と爪だけでも持って帰るか」


 俺は燃え尽きていたキメラから牙と爪を引き抜きソリティアに見えないようアイテムボックスに入れた。すると部屋の真ん中に魔方陣が現れた。部屋の扉はまだ開かないのであれは転移魔方陣なのだろう。


「ほら、もぉ行くぞ」


「‥‥‥‥」


 ソリティアは無言でついてくる。俺達は魔方陣に入ると光に包まれた。気がつくと遺跡の入り口に転移し、魔方陣は消え直ぐ様ソリティアの名を呼ぶ女性兵士の声が聞こえる。俺は女性兵士に説明をするのが面倒だったので「ゴーレム討伐は完了した」とだけ話した。


「では依頼は達成したので帰らせて頂きます」


 俺は直ぐにその場を立ち去ろうとした。女性兵士達は、「もっと詳しく話せ」とか「ソリティア様になにかしたのではないか?」等の声も聞こえたが、俺は無視して歩き出すとソリティアが大きな声をあげる。


「お、おい!‥‥‥貴様の名前はなんというのだ?」


 俺は特に後ろも振り返らず後ろ手に手を振った。


 街に戻りながら昼飯を食べていないことに気付きアイテムボックスからおにぎりを出し食べながら自分を鑑定してみる。



タカミヤ ユウキ

年齢 16 LV 67

種族:人間 職業:冒険者

体力:670

魔力:720

筋力:480

耐久:420

俊敏:565

スキル: 〔武術の極み〕 〔魔術の極み〕 〔成長の極み〕〔鑑定〕 〔アイテムボックス〕 〔言語翻訳〕 〔魔力闘衣〕 〔詠唱破棄〕 〔状態異常耐性〕New


〔状態異常耐性〕:状態異常にかかりづらくなる。



「新しいスキルも覚えたしレベルも上がってるな。もう少しでライルさんに追い付きそうだ」


俺は笑顔で街へと足を進めた。


ギルドの受付の女性の名前が途中から間違ってましたm(__)m

全てユーリさんに直しました。

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