第4章 魔族VS人間★12★
「うぉー」
ベルゼバブは大声を上げ俺に向かってくる。俺は魔力闘衣を使う。特に属性は付与しない普通の魔力だけだ。ベルゼバブはかなりの速さだがかわせない程ではない。俺はベルゼバブの攻撃をかわしながら隙を見て攻撃するがなかなかの耐久力だ。まぁ俺もタケミカヅチを使わないで素手で殴り付けているからしょうがない。
「なかなかやるが圧倒的にパワーが足りないな。そんな攻撃なら何百回当てようが傷1つつけることは出来ないぜ」
「確かにそうかもしれませんね。ならば少しだけ本気を見せて上げますよ」
俺は火の属性を纏い筋力を上げる。俺はベルゼバブの攻撃をかわしながら空いたボディーに拳を叩き付ける。
「ぐぅっ‥‥‥やるな小僧。俺も手を抜いて戦える相手じゃないようだな」
ベルゼバブの足元に魔法陣が浮かび上がり、ベルゼバブの体を土が覆い鎧へと形を変えていく。見るからに耐久力が段違いに上がっているのがわかる。それに腕を覆うようにガントレットらしき物まである。あれなら筋力も上昇しているに違いない。
「どうだ俺の土魔法は。強度もかなりのもんだぜ」
「確かに悪くはないんだけど明かに欠陥魔法だぞ、それ」
「何を言う。俺の土武装の何が欠陥だと言うんだ?」
「説明するから掛かってこいよ!」
「吠えずらかくなよ」
魔法を欠陥扱いされたベルゼバブは怒りをあらわにして向かってくる。振り下ろした拳は地面にクレーターを作るほど強力だ。
「大した威力だな」
「そうだろう、これの何処が欠陥なんだ」
次々と繰り出される攻撃を俺はかわしていく。ベルゼバブも苛つきを見せながら一旦距離を取る。
「まだわからないか?」
「だから何が欠陥なんだ小僧!」
「確かに筋力、耐久はかなり上がってるようだし今の俺の攻撃はさっきほど効かないだろう。だがそれほどの土を硬質化させたら一体どれくらい重くなるんだ?さっきまでの速さでも俺に攻撃を当てれなかったお前が、そんな重い物を身に付け同じ位の速さで動けてると思っていたのか?」
ベルゼバブは俺に言われてやっとわかったようだ。よく考えれば直ぐに気付く筈だが、今までそれで攻撃をかわされるような相手と余り戦って来なかったのだろう。悔しさの余り顔を真っ赤にし怒りが爆発しそうになっているのがわかる。
「お前の土武装は所詮俺の魔力闘衣の劣化版でしかないんだよ。魔力や属性を纏えばステータスを上昇させる事だけ出来るからな」
「ち、ちくしょう!こんなに恥をかかされたのは始めてだ。手段なんて選んでられねぇ。てめぇは確実に潰してやる!」
ベルゼバブは土武装を解くと紫色のオーラに包まれている。
「ぐあーっ!」
ベルゼバブの目が赤く光り体の大きさが倍近くに巨大化する。爪は鋭く伸び、額からは相手を串刺しに出来るほどの角も生えている。おそらく鑑定でみたバーサクのスキルだろう。
「油断しているうちに倒しておくべきだったな」
俺は姿の変わったベルゼバブを見て呟いた。




