第4章 魔族VS人間★9★
「ユウキさん、見えてきたあの平原がそうじゃないですか?」
ユキネに言われて見てみるとそこは辺り一面芝生が広がっており、今にも横になって寝てしまいたくなる程広大な草原だった。
「これなら敵も隠れるところなんてないから良さそうね」
「そうだな。後は魔族待ちか‥‥‥」
今日はここで野宿しこの場所で魔族を迎え撃つことにした。別動隊の魔物位ならば連合軍でなんとか出来るだろう。俺達は早めに食事を取り休む。
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「それではオークジェネラルとキングリザードマンの別動隊に連絡を入れなさい。明日、日の出と共にアルヘイムに向かって侵攻しろと。人間共がそれに対抗してきたら我が本隊が動くと」
「了解しました」
「やっと体を動かせるな。今日は肉をたらふく食って休んでおくかな。ルシフェル、余り余計なこと考えなくても俺が皆殺しにしてやるから心配すんなよ」
そう言い残しベルゼバブは部屋を出ていく。
「ベルゼバブの言うとおり心配しすぎでしょうか‥‥‥でもなんでしょう、この不安は‥‥何事もなければ良いのですか」
こうして翌朝に別動隊の出撃の指示が出された。西と東からアルヘイムへ向けて侵攻し始める。
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「聖女様!ギルドの言うとおり西と東から魔族の群れが侵攻中!数はおよそ各100」
「マーリン、シヴァ、連合軍を率いて撃破に向かいなさい!」
「「はっ!」」
連合軍は西にマーリン、東にシヴァがそれぞれ向かう。数は別動隊と同じ各100程度だが竜王祭にも参加していた高ランクの冒険者や、国の威信を掛けギルド長自ら連合軍に参加している国もあった。それからおよそ数時間後各地で戦いの幕があけた。
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「そろそろ私達も動きますか。各軍侵攻開始!目指すは聖女の治める地アルヘイムです」
ルシフェルの掛け声と共に魔物達は侵攻を始める。その数はおよそ2000。過去にこれ程の魔族の侵攻があったのは魔神と英雄アレスが戦った時以来だ。あの時は魔神4人がいたにも関わらず魔族は撤退を余儀無くされた。今度はそんな失態はおかしてはならない。ルシフェルは注意を払いながら進軍する。
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「ユウキさん‥‥」
「あぁ、動き出したみたいだな」
普段であれば今ぐらいの距離が離れていれば気配を感知することは難しい。しかし今回は気配と言うよりも、あまりの数の侵攻に大気が震えているのだ。
「良し、そろそろ準備するか。今の侵攻速度だと30分もすれば視界に入るだろう」
「魔女の名は伊達じゃないってことを見せつけてやるわ」
ミネアが不適な笑みを浮かべる。余程今回の魔法に自信があるのだろう。
「皆も余り無理はするなよ。1番は生きて帰ることだ」
「わかってます」
「勿論よ」
「魔神程度に遅れはとりません」
こうして人間対魔神の戦いの火蓋が切って落とされた。




